Net4u レンタル掲示板を作る
あげは
過去掲示板から引き継ぎました。
以後、過去掲示板からのコピペです。
ここは、ドリメに関係ない短編を書くところです。
ドリメ意外の、個人小説のテストアップに使っていただいても構いません!
過去の短編を貼るのもいいですし、突発的に思いついたけどどこに投稿すればいいか分からないのを貼るのも結構です。
以前別所に投稿したけど、流れてしまった小説などを貼るのも良しだと思いますナリ。
過去の短編小説コンテスト投稿作品は、秋葉さんに頼めば出してきてくれると思うので、その依頼等もこちらにどうぞ……!
2011/01/03 Mon 16:33 [No.14]
kaku
太郎と宏は、クリスマスだと言うのに、男同士でドライブに出かけようとしていた。
「ほんま、どこもかしこもアベックばっかりやんけ。クリスマスに恋人同士でファミレスら来んなや」
助手席に座る太郎は、憤っていた。
クリスマスくらいは、みんな高級なところに行くだろうと思って、「彼女いない歴=年齢」仲間の太郎を誘ってガストに来たというのに、客は皆アベックばかりだったのだ。
その時、店員がまるで自分を笑っているような気がして腹立たしかった。
二人は、とにかく機嫌が悪かった。
「もうええ!今から、時速300で走ろうや!!」
「ほんまや!俺らは地獄の走り屋やからな!!」
そういうと、宏はアクセルペダルを踏み込んだ。
二人の体が、座席へと吸い込まれていく。
「イヤッホー!!」
叫んだ時、遂にスピードメーターの針が150を振り切った、次の瞬間!!
車は、ガソリンスタンドへと突っ込んだ!!
ドォーーン!!
ものすごい音を立てながら、車は爆発する!!
その炎はガソリンスタンドの石油にも引火し、更に恐ろしいほどの爆発が起こった。
「う、うぅ・・・・」
宏は、命からがら車から抜けだした。
その体は黒焦げで、足は動かず、手だけで這い出すような形だ。
「さかもっちゃん・・・・さかもっちゃんどこや・・・・」
隣を見ても、さかもっちゃん(太郎の苗字は坂本)がいない。
辺りを見回すと、なんとさかもっちゃんは、頭が地面に突き刺さった状態で、逆さまになっていた。
「さ、さかもっちゃん!」
宏は、さかもっちゃんの方へと歩み寄る。歩み寄るというか、手をつかって這いよる。
「ヒロシ君・・・・俺はもう、あかん。頭が抜けへん。俺を見捨てて、ここから逃げてくれ。また、次の爆発がおこるかもしれへん」
さかもっちゃんは、手で地面を押して、なんとか抜けだそうとしているが、全く抜けない。宏は手助けしてやろうと思ったが、立つことができない以上、それも叶わない。
だが、宏は、諦められなかった。
「何言うとんねん、さかもっちゃん!わいらは、友達やないか!!見捨てていくことなんて、でけへん!」
そう言って泣く宏に、さかもっちゃんが声を懸けた。
「ふふふふ・・・・貴様、その言葉を待っていたぞ!」
言うやいなや、さかもっちゃんは、パンツの中から銃を取り出した。
「貴様、さては・・・・!」
宏は、さかもっちゃんの正体に気づくが、もう遅い。
「死ね!!」
カチ、と引き金を引く音。しかし、銃声はならない。
「なんでや!!」
焦るさかもっちゃんに、立ち上がった宏が言った。
「俺が貴様の正体に気づいていないと思ったか・・・・弾はすべて抜いておる。死ね!!」
そういうと、パンツの中から鎌を取り出し、さかもっちゃんの首を切り取った。
「ふははは!!俺こそが、この世を支配する!!」
遂にさかもっちゃんを殺した宏が、勝ち誇って笑う。
そして、ガソリンスタンドの天井から伸びているホースの先にあるハンディクリーナーてきなアレを手にとった。
ガソリンの注入口にくちをつけ、そのまま息を吸い込み、ガソリンを吸引する。
「うっ!!」
たらふくガソリンをのんだ宏は、動かなくなった。
そのまま、宏は、死んだ。
2011/01/04 Tue 02:00 [No.19]
あきはばら博士
「すみません、お客様の中に、ドクターはいらっしゃいませんか〜?」
「私です。」
「タブンネ!」
「おらっ! 経験値よこせっ! おらっ!」
「やめたげてよぅ!」
2011/01/04 Tue 02:13 [No.20]
kaku
少年の頭に、カマキリがとまっていた。
ちょうど、鎌を使って、頭に掴まっている形だ。
「お前、頭にカマキリとまっとるやんけ!」
「まじで?」
少年が、頭に手を伸ばすと、カマキリの頭に手が触れた。
次の瞬間、カマキリの鎌が少年の頭にくい込んだ!
そのまま、彼は、三枚に下ろされた。
「何さらすんじゃカマキリこら!!」
少年の友達は、カマキリを捕まえ、食った。
「うっ!!」
そのまま、友達は動きを止めた。
そして、友達は、死んだ。
2011/01/04 Tue 02:18 [No.21]
いぬ
↑
笑ってはいけないポケモンセンター
2011/01/04 Tue 02:20 [No.22]
仙桃 朱鷺
「ポケモンゲットだぜ!」
「ウッソウッソ」
「ソーナンス!」
「ソーナノ?」
「タブンネ。」
2011/01/04 Tue 02:24 [No.23]
いぬ
「このアカギにさからららららららららららr(ガリッ)」
アカギはそのまま動かなくなった。
ギンガ団は、壊滅した。
2011/01/04 Tue 02:31 [No.25]
PQR
パルシェン「つのドリルには 勝てなかったよ…」
2011/01/04 Tue 02:34 [No.26]
あきはばら博士
パルシェン「しかし、きゅうしょには当たらない」
2011/01/04 Tue 02:38 [No.27]
PQR
メタモン「君にはオリジナリティが足りない」
2011/01/04 Tue 02:39 [No.28]
フリッカー
※このスレに気付いていなかったので、修正を加えた後移動させました。
私の名前は、シキミ。イッシュポケモンリーグを守る四天王の一人であり、小説家としても活動している。
私は、世間でもあまり類を見ない、ゴーストポケモンを好んで使うトレーナーだ。それだからか、周囲からはあまりよくない目で見られたり、さまざまな憶測が飛び交ったりしている事多いが、ゴーストポケモンの使い手となったのには、もちろん理由がある。
それは、オカルトものが好みな訳でも、変な宗教に惹かれた訳でもない。単に、純粋な興味からだ。
ゴーストポケモン。
未だ起源が不明なポケモンの中でも、特に謎が多い存在。他のポケモンとは明らかに異なる特徴を多く持ち、そもそも『生物』なのかすらもわからない種族。だから幽霊(ゴースト)。世間に存在する物事が科学の力で解明されつつある中で、ゴーストポケモンだけは未だ科学の力では説明不能な部分が多くある。だからこそ、ポケモンの中でも特に人々に畏怖されるのだろう。
そういう所に、私は惹かれた。
当時の私は、好奇心が強くて怖いもの知らずだったらしい。科学では解明できない未知の存在と行動を共にし、共に勝負をする事ができる。それが、まだ幼い私にとっては想像してみただけで胸が躍る事だった。きっと、今までの生活では体験できもしない出来事を体験できるだろうと思って。ドラゴン使いも鳥使いも、幼い私にとってはありきたりな存在でしかなく、誰もが未知故に敬遠するゴーストポケモンの使い手になる事の方が、ずっと魅力的だと思っていた。
だから私は、親の反対を振り切ってゴーストポケモンのヒトモシを手に入れ、ポケモントレーナーとして旅立った。周りに何と言われようとも、私は自分の決めた道を信じて進み続けた。結果、私は四天王の一角となるまでに実力を伸ばす事ができた。
それだけ言えば、ありふれたサクセスストーリーのように見えるのだが――
――思えば、今でも後悔する。
どうしてその時の私は、ゴースト使いになる事を少しでもためらおうとしなかったのだろうか、と――
*
フィールドが、青白い炎の爆発に飲み込まれた。
爆発により起きた熱風はこちらにも伝わってきて、思わず顔を腕で遮る。まるで自分が噴火している火山の真っただ中にいるような錯覚がする。
桁外れの熱量だ。私が使うシャンデラもほのおタイプを有しているが、ここまで激しい熱量は出せない。いや、世界中のほのおポケモンを探しても、ここまでの熱量を出せるポケモンはいないだろう。それは既に、ポケモンが放つ炎の領域を超えている。では、この炎を放った主は果たして何者なのだろうか。
熱風が収まった所を見計らって、遮っていた顔を上げる。
フィールド上に燃え上がる青白い炎の中に、蜃気楼のようにそびえ立つ巨大な白い影。それは全てを焼き尽くす灼熱の炎の中でも、神々しい輝きを失っていない。まるで、この世の存在ではないかのように。
「これが、伝説のポケモンの力……」
はくようポケモン・レシラム。
曰く、争いが絶えなかったイッシュ地方をその炎で焼き尽くしたと言われる、伝説のポケモン。
曰く、大気を動かして世界中の天気を変えられるほどの熱量を放てるという、伝説のポケモン。
その、伝説の中での存在でしかないはずのポケモンが、今の私の敵だった。
最近になってイッシュ地方においてさまざまな事件を起こしている謎の組織、プラズマ団。
その王だという青年・Nが自らの力を証明するべくチャンピオンに挑もうとしている、という話を聞いたのはつい最近の話だ。旅をしていてリーグを長く留守にしていたチャンピオン・アデクさんが戻ってきて、すぐにこの話を聞かされた時は私も驚いた。
プラズマ団の中心人物だというのなら、有無を言わさずすぐに警察を呼び出して捕まえさせればいいと思ったが、Nの実力はもはや警察では手も足も出ないレベルにまであるらしく、そして彼は正々堂々とチャンピオンに挑もうとしているというアデクさんの話もあり、結果として通常と同じようにポケモンリーグで普通の挑戦者として迎え入れる事になったのである。
そして数日後、果たしてNはやってきた。
チャンピオンに挑むためには、まず四天王に勝利しなくてはならない。そのルールに従い、彼は私にも正々堂々と試合を挑んだ。全てのポケモンを解放する、という理念を掲げて。
犯罪組織の中心人物に公式試合を挑まれるという事に、私は苛立ちを覚えた。犯罪組織の人間ならそれらしく、強行突破してチャンピオンの元に向かおうとしない所が、相当な自信を誇示しようとしているように見えたのだ。
いつもの公式試合でもそうだが、今回は特に手を抜かずにはいられないと思った。Nが何を目論んでいようと、犯罪組織の人間を黙って先に通す訳にはいかない。そう意気込んで、試合に臨んだ訳なのだが――
Nが繰り出したポケモンは、私の予想を大きく超えたものだったのだ。
「……」
中性的な顔立ちが特徴的な青年であるNは、レシラムの戦いを黙って見守るだけで、ポケモンバトルの基本である指示を行おうとすらしない。絶対的な信頼をレシラムに向けているその瞳が、『指示をするまでもない』と自惚れているように見えて、私は歯噛みした。
私は、未だレシラムに一矢報いていない。ブルンゲルも、デスカーンも、そしてゴルーグさえも、レシラムには全く力が及ばなかった。最後の手持ちは私の手持ちの中でシャンデラだが、それでもレシラムの強大な力に圧倒されている。先程の“あおいほのお”の直撃を免れたのは、奇跡としか言いようがない。しかし、直撃を免れ、しかも特性の効果により無効化できるはずのほのおわざにも関わらず、シャンデラはかなりのダメージを被ってしまっている。辛うじて浮いているが姿勢は安定せず、今にも墜落してしまいそうな状態だ。
一方で、こちらの攻撃は一切レシラムに通じている様子がない。シャンデラとて攻撃力はほのおポケモン・ゴーストポケモンどちらにおいてもトップクラスだ。にも関わらず、攻撃を一撃受けてもレシラムは動じないのだ。
まさに力の差は天と地ほどの開きがある。これでは、勝負にすらならない――!
「はあ、はあ、はあ、はあ――!」
私の息が荒くなっている。
その場から動いた訳でもないのに、まるでマラソンを走った後のように心臓は激しく高鳴り、肺は貪欲に酸素を欲しがっている。だがそのお陰で、自分が追い込まれているという事を実感できる。
レシラムが、次の攻撃を放とうとしている。口から放とうとしているそれは、恐らく“りゅうのはどう”。標準的な技だが、レシラムのパワーを持ってすればどんな破壊力になるのかはわからない。
このままでは、自分の力が及ばないままNを通す事になる。それだけは避けなければ。
たとえ、諸刃の剣を使う事になろうとも――!
「シャン、デラ……!」
左手で握るダークボールを、更に強く握りしめて、命令する。
「周りの炎を吸収して“だいもんじ”!!」
すると、フィールドの大半を包んでいる炎が、シャンデラの体に引き寄せられ、吸収していく。
シャンデラは、炎を吸収して自らの力に変換する『もらいび』の特性がある。直接的なほのおわざはレシラムの特性『ターボブレイズ』によって打ち消されてしまったが、フィールドで燃えている炎なら吸収てきるはず、と私は判断したのだ。
だが、間に合うか。
いや、そもそも問題は――
レシラムが“りゅうのはどう”を放つ。
同時にシャンデラも、吸収した炎を一転に集めて放つ。
単純なわざそのものの威力は“りゅうのはどう”より上回る“だいもんじ”だが、これに『もらいび』の効果を上乗せしても、レシラムの“りゅうのはどう”を受け止め、相殺させる事しかできなかった。
だがそれでも、相殺できさえすれば、起点とするには十分だった。
「顔に“ニトロチャージ”です……っ!!」
ダークボールを握る左手を突き出し、指示を出す。
すると、シャンデラは全身を炎で包み、爆発の煙を隠れ蓑にしてレシラムに突撃する。レシラムには煙の中から急にシャンデラが飛び出したように見えただろう。レシラムは炎の弾丸となったシャンデラの突撃を顔面に受けた。
「はあ、はあ……“シャドーボール”で連続攻撃を……っ!!」
指示通りに、シャンデラはレシラムの背後から反転し、“シャドーボール”の連続攻撃をレシラムに浴びせる。
“ニトロチャージ”による顔への攻撃で怯んだ隙に、“ニトロチャージ”で得た加速力を活かして不規則に周囲を回りながら連続攻撃。レシラムはシャンデラを捉える余裕もなく、反撃の余裕を与えられない。
しめた。この調子なら、レシラムを畳み掛ける事ができる。いくら一発だけではダメージにならない攻撃でも、何度も浴びせられれば響いてくる。そして何より、このままうまく行けば私も――
「後ろだ、レシラム!!」
そこで、何を思ったかNが口を開いた。
その直後、ちょうどシャンデラはレシラムの背後に回り込んでいて、“シャドーボール”を放とうとしていた――
レシラムは顔を向ける事なく、そのロケットのバーニアのような尾から炎を吹き出す。シャンデラはその炎に突っ込む形となってしまい、そのまま炎をもろに受けて落ちてしまった。
「そんな!?」
どうしてNは、シャンデラの位置を特定できたのか。
加速して目まぐるしく動き回るシャンデラを、肉眼で捉えて行動を読んだのか。いや、あの不規則な動きを読むなど、常人にできるはずがない。まるで、未来予知でもしたかのような――
その思考を強制終了する。
なぜなら、落ちたシャンデラに、再びレシラムは“あおいほのお”を放とうとしていたからだ。
あの桁違いの炎が、再びシャンデラに放たれようとしている。受けてしまえば、それで勝負が決まってしまう。だが、完全にかわす事も不可能だ。なら、同レベルの攻撃をぶつけて、相殺するしかない。
もう、選択肢は一つしかない。
「……っ、“オーバーヒート”です!!」
使えるのは、シャンデラが持つわざの中で一番強力な“オーバーヒート”だけ。余計な事を考える余裕もなく、指示を出した。
そして、レシラムの“あおいほのお”と、シャンデラの“オーバーヒート”が放たれたのは、ほぼ同時だった。
赤と青の炎が、二匹の間でぶつかり合う。
二つの炎の力は互角。一歩も譲らぬまま、周囲に熱風を巻き散らしていく。
こうなれば、後は純粋な持久戦だ。どちらか一方が力を緩めた瞬間、敗北が決定する。
それはつまり――
「は……ああ――っ!!」
先に耐えられなくなったのは、私の方だった。
一瞬視界がぼやけたと思うと、足の力が抜けて、力なく崩れ落ちる私の体。
そして、二匹の炎のぶつけ合いも連動し、周囲が青い炎に飲み込まれて終わりを告げた。
「はあ、はあ、はあ、はあ――」
周囲で何が起きたのか、もう把握できない。
もう意識が薄くなり始めていて、周囲の状況を把握する事に気が回せない。
ただ、この状況になっているという時点で、私は敗れたという事には気付いていた。
かつんかつん、と誰かが歩いてくる音。
それが誰なのか把握しようと残った意識を向けた時。
「どうして君は、無理をしてまでポケモンを手放さないんだ? それを続ければ、君は破滅するというのに」
私の目の前で、そんな声が耳に入った。
2011/01/04 Tue 10:25 [No.30]
フリッカー
・
意識が戻った時は、体力は何とか体を動かせるほどにまで回復していた。
それでも重い体を引きずって、バトルフィールドから自分の書庫へと戻る。
「……あぁ」
力なく木の椅子に座り込み、背もたれに体を預ける。
今回はまずかった。ここまで体力を使った――いや、“使わされた”のはいつ以来か。下手をすれば戦闘中に気を失ってもおかしくなかった。それだけ、あのレシラムは強すぎたのだ。
「『その男、瞳に暗き炎をたたえ、ただ一つの正義を成すため、自分以外の全てを拒む』……はあ、こんな時に何を考えているのでしょうかアタシ……」
ふと思いついた一節を口にして、自分の癖に呆れる。
小説家が本業故か、印象に残った事はどんな事でも小説の一節のような言葉でまとめてしまう事はよくある。こういうどうでもいい時に思い浮かんでしまうのは、問題ではないかといつも思う。
私はゴースト使いとなった代償として、一つの『呪い』を受け取ってしまった。
始めは些細な事だった。ポケモンバトルをしている中で、動いてもいないのに運動したような疲れが襲ってくるような事があったと思うと、次第にそれが日常茶飯事になり、手持ちを増やしていくと急に疲れやすくもなってきた。
そして、私は気付いたのだ。
自分の体力が、自分のポケモンに“持っていかれている”という事実に。
ゴーストポケモンは、出会った人間の生命力を吸って生きている。シャンデラの炎に包まれると魂を吸い取られて燃やされ、抜け殻と骨だけが残ってしまうという話もあるし、ブルンゲルは住処に迷い込んだ船の乗組員の命を吸い取るという話もある。
つまり私は、手持ちにしたポケモン達に“寄生されて”しまったのだ。私の手持ちになる代償として、私の生命力を差し出すという形で。
だから私は、常に4匹ものゴーストポケモンに生命力を吸われているのだ。平時でも激しい運動をするとすぐに息が切れてしまう。そして戦闘時に、この影響は顕著に表れる。
ポケモンは戦闘時に、多くのエネルギーを消費する。そのために、私のポケモン達は消耗するエネルギーを私の生命力で補っている。つまり私のポケモンの戦闘は、私自身の戦闘とほぼ同義。私のポケモンが戦うほど、私は体力を消耗していくのだ。逆に言えば、この手段で力を得ているからこそ、私は四天王にまで上り詰められたのかもしれないが。
これが、私にかけられた『呪い』。つまり私は、普通にポケモンを手にしたつもりで、悪魔と契約を交わしてしまったのだ。
物語に出てくる悪魔は、契約した人間の願いを叶える代償として、その人間を最終的に殺してしまう。ならば私が辿り着くのも、同じ結末。いずれこの体を食い尽くされる私は、人並みに長く生きる事はできないだろう。私を待ち構える最終章は、どう足掻いてもバッドエンドだという事が決められてしまっているのだ。
「ポケモンの解放、か……」
プラズマ団、そしてNが謳っていた事を思い出す。そして、シャンデラを納めているダークボールを手に取って見つめる。
私は多くの人と同じようにポケモントレーナーになる事を願い、ポケモンを手にした結果、ポケモン達の苗床にされるという結末に至ってしまった。ポケモンを利用する人間が、逆にポケモンに利用されるという矛盾。これを知っているからこそ、私はプラズマ団の思想に共感できる所があった。やり方こそ間違っていると思うが。
考えてみれば、私はポケモンを愛していたつもりになっていて、本当に愛していた訳ではなかった。気が付けば、ポケモンの事をステータスだけで評価していた私がいた。つまり私は、ポケモンを自分の目的を果たすための道具にしか見ていなかったのだ。私のポケモン達も、私を自分達が利用するための存在としか見ていないのかもしれない。それはきっと、他の人も同じなのだろう。
なんて、なんて歪な、ポケモンと人との絆。
彼は言っていた。
このままでは、私は破滅すると。
なら、このポケモン達をすぐに手放せば、私は楽になれるかもしれない。ポケモンに生命力を吸われる苦しみから解放されて、自由になれるかもしれない。
だが、手放したら主ではなくなった私に、何をするかわからない。それこそ、私の生命力を吸い尽くして殺すかもしれない。そう、寄生されている以上、私がポケモン達に逆らう権利はないのだから――
「……はぁ」
考えていても答えがまとまらない。
私は考えるのをやめて、疲労を回復させる事を優先する事にした。Nに正々堂々と戦って敗れた以上、もう敗者である私がNの行動に干渉する権利はないのだ。だからどの道、今日やる事はもう何もない。ならば疲労を回復させるのが一番だ。
背もたれに背を預けたまま、目を閉じる。
すると睡魔が急に襲ってきて、私はすぐに眠りに落ちていった。
*
――だが。
その後、何ともう一人の挑戦者が現れた。
まるでNの後を追うように現れたその挑戦者は、一般のポケモントレーナーだった。
トウヤと名乗ったまだ10代前半に見える少年は、何と本当にNを追ってやってきたトレーナーだった。
「すみません、早く始めてくれませんか! 俺、時間がないんです!」
トウヤは余程焦っているのか、私に勝負を急かしてくる。
私としては、二人目の挑戦者である彼は迷惑な存在だった。Nとの試合の疲れが、まだ私は十分に取れていない。ポケモンは問題ないのだが、体力を消耗する関係上、一日の間に連戦はきつい。だから普段は、試合を極力一日一試合とするようにしている。だがトウヤは頑なに今ここで試合をする事にこだわり続けた。
何でもトウヤは、Nを自らの力で何としてでも止めようとしているらしい。だが、あんなポケモンの範疇を超えたレシラムに一般のトレーナーが挑むのは無謀すぎる。実際に対戦したからこそわかる。
だから私は、尋ねた。
「どうして急いでまで、Nを止めようとするんですか? 彼は、並のポケモントレーナーでは歯が立たない相手なんですよ?」
「そんな事はわかってます。俺は何度も対戦したんです。だからあいつの実力がどれくらいなのかも把握しているつもりです。それに――」
「それに?」
「俺は、あいつの目を覚ましてやりたいんです! ポケモンが人間と切り離されて暮らすなんて、間違いだって! そんなのは、差別と同じ事なんだって! だから俺はあいつに追いついて、あいつに勝たないといけないんです! 俺と、ポケモン達の力で!」
「……それは、自分の力でできると本当に思っているんですか?」
「できないってわかってたら、ここになんて来ませんよ」
トウヤの瞳には、明確な意志が宿っている。Nに追いつくために、四天王に勝利しなければならないという強い意志が。
こうなってしまってはもう、言葉で追い返す事は不可能だ。ここは試合を受け入れてトウヤの心意気と実力を見るしかないらしい。体への負担を減らすためにも、できるだけ早く試合を終わらせなければ。
「わかりました。ゴーストポケモン使いの四天王シキミ、お相手いたします!」
かくして、試合の火蓋は切って落とされた。
トウヤが最初に繰り出したポケモンはおおひぶたポケモン・エンブオー。対して私が繰り出したのは手持ちの中で一番の巨体を持つゴルーグ。二匹の体格差はあまりにも大きい。鍛えられていないポケモンなら、その体格差を思い知っただけで戦意を喪失する事もあるが、エンブオーは倍もある体格差に臆せずに見構えている。そういう所はちゃんと鍛えられていると言える。
「行くぜヒート! お前の力、俺と一緒に見せてやろうぜ!」
エンブオーには『ヒート』というニックネームを付いているようだ。それは、それほど自らのポケモンに愛着を持っている事を意味する。だが、引っかかったのは『俺と一緒に』という言葉。そしてトウヤ自身も、まるでこれから自分も戦おうとしているかのように身構える。
「何を言っているんですか? ポケモン勝負というのは、ポケモンだけが行うものですよ? トレーナーはあくまで指示をするだけです、ポケモンと共に戦う存在ではないでしょう?」
「そんな事はありませんよ! ポケモン勝負っていうのは、ポケモンとトレーナーが一心同体になって、初めてできるものですよ! それを見せてやります! ヒート、行くぞ!!」
トウヤの言葉を合図に、エンブオーがゴルーグに向けて飛び出した。その体つきに似合わない速度だが、シンプルすぎる、愚直なまでの正面突撃。
ポケモンとトレーナーが一心同体になって、初めてできるもの――トウヤはそんな事を言っているが、果たしてエンブオーは同じ事を思っているのだろうか。私のポケモン達と同じように、都合のいいようにトウヤを利用しているだけではないだろうか――
「“シャドーパンチ”です!」
ゴルーグの拳がエンブオーを迎え撃つ。さすがにまずいと気付いたのか、エンブオーは腕を組んで防御体勢になる。
ゴルーグの拳は、エンブオーを吹き飛ばすのに十分だった。しかしエンブオーは、“シャドーパンチ”の衝撃を吸収しきり、フィールドの隅まで吹き飛ばされながらも踏み止まって倒れる事はなかった。
「……さすが四天王だ、一筋縄じゃ行かないか……ならもう一度だ!」
トウヤの瞳に怯みはない。その勇敢さこそ評価できるが、それでもう一度先程と同じ戦法を取るのはあまりにも迂闊すぎる行為だ。それとも何か、策があるというのか――
「“アームハンマー”です!」
ともかく近づいてくるのならば、間合いに持ち込まれる前に応戦するまで。左手に握るダークボールを突き出し、指示を出す。
ゴルーグが両手を組んだ腕を振り上げる。向こうから近づいてくるので、自分から近づく必要はない。正面突撃するエンブオーは、ゴルーグの間合いに自ら飛び込む形になってしまう。これでアームハンマーを当てられれば、エンブオーを確実に倒せるだろう。
「右だ!!」
しかしそこで、エンブオーは急に方向を転換し、ゴルーグの側面へと飛んだ。ゴルーグの腕は空を切り、誰もいない空間を叩くだけ。
そこで懐に飛び込むのか、ととっさに思ったが。
「よし、“ねっとう”!!」
「な――!?」
その指示に、私は不意を突かれた。
ほのおタイプなのに、みずタイプのわざを――!?
「いけええええっ!!」
トウヤの素振りストレートと共に出された掛け声に合わせるように、エンブオーは口から熱水を放つ。
とっさにエンブオーを視線で追おうとした顔に、“ねっとう”が直撃する。“アームハンマー”を放った直後のゴルーグに、これをかわせる手段はなかった。これが近接攻撃だったのなら、まだ対処する手段はあったのだか。
効果は抜群。ゴルーグが初めて体勢を崩す。膝を付く程度で済んだものの、ダメージは相当なものだ。
「今だ!! “フレアドライブ”行くぞ!!」
エンブオーの体が炎に包まれたと思うと、動きが鈍ったゴルーグに隙ありと飛び込む。
まずい。今あの一撃を受ければ、ゴルーグは倒されてしまう。受け止めて、そこから反撃の糸口を――!
「ゴルーグ!!」
私が呼ぶと、ゴルーグはすぐに反応して、両手を盾にして飛び込んできたエンブオーを両腕で受け止める。まるで、ボールを受け止めるゴールキーパーのように。
ゴルーグのパワーは、エンブオーに全く遅れを取らない。遅れを取るはずがないのだが――ゴルーグの腕は明らかに押されている。パワーを和らげる事が精一杯だというように。
そこで、私はようやく気付いた。
ゴルーグの体が、“ねっとう”による『やけど』を負っている事に――
「いっけええええっ!!」
トウヤも自分も力を出しているような声に圧倒されたのか。
ゴルーグはとうとうエンブオーのパワーを相殺しきれなくなり、エンブオーの“フレアドライブ”をもろに受けてしまった。
2011/01/04 Tue 10:27 [No.31]
フリッカー
・
ゴルーグの巨体がフィールドに倒れ込む。同時に起きたまるで地震のような揺れが、ゴルーグが戦闘不能になった事を知らせていた。
「う……くっ」
途端に、胸が苦しくなり、思わず胸に手を当てる。
息が切れた時に酸素を欲しがるように、倒れたゴルーグは私の生命力を吸い出したのだ。つまり私の負担は、手持ちポケモンが倒れるほど大きくなる。だから損害は最小限にしたかったのだが――
「どうしたんですか?」
「……いいえ、何でもありません」
このトレーナーの実力を、私は少し侮っていたらしい。
トウヤは間違いなく、相当な実力を持つトレーナーだ。力を出し惜しみしていては、この相手は倒せない――!
そうして、試合は熾烈を極めた。
Nの時のような一方的な展開ではなかったが、トウヤは私の手持ちに対して臨機応変にポケモンを入れ替えて対応していた。私が倒せたポケモンこそいたものの、気が付けば私の残りの手持ちはシャンデラのみとなっていた。
単純に試合の流れだけ見れば、とてもいい試合だった。トウヤのポケモンが繰り広げる戦術は、目を見張るものがあった。私が劣勢になったとはいえ、そんな相手との対戦は純粋に楽しめるものであっただろう。
だが私には、そんな試合を楽しむ余裕すら与えられていない。
「おおおおおおっ!!」
トウヤが共に突撃するかのように叫びながら、エンブオーが“もろはのずつき”で突撃してくる。いわタイプの最高レベルの攻撃わざを受けてしまっては、シャンデラはただでは済まない。
「はあ、はあ……“シャドーボール”で……!!」
迎撃すれば間に合う。
だが、その指示は遅かった。指示が届いてシャンデラが応戦しようとした時にはもう、エンブオーはシャンデラの懐に飛び込んでいた。
シャンデラは“シャドーボール”を放つ事なく、エンブオーの一撃を受けてしまった。力なく宙に放り投げられたシャンデラは、そのまま私のすぐ前に落ちる。大ダメージを被ったのは明白だ。そういう意味では、既に勝敗は決したも同然と言える。
「あ……はあ、はあ、はあ、はあ――!」
既に心臓は悲鳴を上げている。整えようとしても全く治まる気配がない。指示の遅れにまで響いてくるとは、もはや致命的だ。自力で立っている事が不思議に思える。
「あ、あの……大丈夫ですか? 息荒いですよ?」
さすがに様子がおかしいと思ったのか、トウヤも気になり始めている。この状態で気付かない方がおかしいだろう。常識的に考えて、これ以上の試合続行は不可能だ。普通ならここは、誰もが試合を中止すると決めるだろうが――
ふと、地面に落ちたシャンデラに目を向ける。
なぜか、こちらに向けていたシャンデラと目が合う。その目はなぜか、私を気遣っているようにも見えた。
「……?」
いや、そんなはずはない。シャンデラが私を気遣うなどあり得ない。
きっと、私の指示を待っているだけなのだ。この後私がどんな指示をするのか、気にしているだけなのだ。つまりシャンデラは、まだ試合続行を望んでいるのだろう。そう、私はトレーナーの役割をポケモンに無理やりやらされている奴隷のような存在だ。だから、ポケモンに指示する立場というのは名ばかりのもの。シャンデラが戦うと望むのなら、私も同意するしかない。
そう。たとえそれが、私の破滅に繋がるのだとしても――
「う、く……」
とうとう足に力を入れられなくなる。私の体がばたりと崩れ落ち、視界が暗転する。
「ああっ!? どうしたんですかシキミさん!?」
トウヤの声も、もはやはっきりと聞こえない。
そのまま私の意識は、闇へと落ちていった。
*
「う……」
どれくらい時が立ったのか。
私の視界が、ゆっくりと開かれた。視界に最初に入ったものは――
「……え?」
目の、錯覚なのだろうか。
私の顔を覗き込んでいるシャンデラがいる、ように見える。
焦点が定まってくる。
すると目の前には、間違いなく私のシャンデラがいた。なぜかひどく心配しているような顔で、私を見つめている。
「シャン、デラ……?」
わからない。
どうしてシャンデラが私を心配しているのか。私を利用しているだけのシャンデラに、私を心配する理由なんて何も――
「よかった。目を覚ましたんですね!」
横から聞こえてくる声。
見るとそこには、トウヤがいた。彼はシャンデラのちょうど側にいる。状況からして、私は彼によってここに寝かされていたのだろう。
「どうなるかと思いましたよ。シキミさんのポケモン達も、みんな心配していましたし」
「え……?」
私のポケモン達が、みんな心配していた――?
体を起こすと、すぐシャンデラも含む私のポケモン達の姿がある。みんな、私の顔を見るなり嬉しそうな顔をして、一斉に集まってきている。
「どうして……? なぜアタシの事を……? アタシは、ポケモン達に心配される理由なんてないはずですが……」
「な、何言ってるんですか? ポケモンがトレーナーの事を心配しない訳ないでしょう?」
それが当たり前だと思っているかのように、トウヤが尋ねる。私はすぐに首を横に振る、
「いいえ、そんなはずはありません……アタシに寄生しているような存在のアタシのポケモン達が、そんな事をする訳――」
「き、寄生!? どういう事ですか、それ!?」
激しく狼狽するトウヤ。
そんな彼に、私は事情を説明する。私は、ポケモン達に生命力を常に奪われているのだと。だから私はポケモン達に利用され、ポケモン達は私を利用しているだけにすぎないのだと。これが、私にかけられた『呪い』なのだと。
その話を聞いたトウヤは、激しく動揺していた。当然だろう。こんなに残酷なポケモンとの関係なんて、私以外にいないだろうから――
「変な事言わないで下さいよ!!」
だが、トウヤはなぜか違う、と言わんばかりに声を上げた。
「そんな、シキミさんのポケモン達がそんな事している訳ない!! それだったらどうして、シャンデラ達はこうやって心配してるんですか!!」
「え――」
その言葉は、まるでバケツ一杯の水をかけたかのように、私の思考から余計なものを取り去った。
「シキミさんの生命力を吸っているって話は本当だと思いますけど、それでもシャンデラ達はシキミさんが倒れている間、ずっとシキミさんの事を心配していたんです!! なら、シキミさんの事を粗末に思っている訳ないでしょう!!」
「……」
シャンデラ達に目を向ける。
一斉に私に向けているその瞳は、先程とは一転して落ち込んでいる。まるで、自らの罪を謝罪しようとしている子供のように。
「本当、なんですか……?」
シャンデラに尋ねる。
するとシャンデラは私の前で、いかにもごめんなさいと言うように、サッと頭を下げた。そして他の三匹も続けて頭を下げる。どう見ても、嘘をついているようには見えない。シャンデラ達は本当に、私に謝っていた。
あなたの力を吸いすぎてごめんなさい、と。
謝る事と言えばこれしかないのだから、言葉を交わせずともすぐに理解できた。
「シキミさん。その、あまり偉い事は言えませんけど、シャンデラ達がしていたのは、『寄生』じゃなくて『共生』だと思います。その、生命力を少しもらう代わりに、自分達が力になるって感じの。だってシキミさんとシャンデラ達、勝負中も凄く一体感がありましたから。シキミさんが力送ってるって感じで。だからそういうのは、『寄生』とは言わないと思いますよ」
……ああ、そうか。
考えてみれば、伝承通りにシャンデラ達が見境なしに人の生命力を吸うのなら、私は出会った瞬間に死んでいるはずだ。そんな事をせずに私が生きられた理由。それはトウヤの言う通り、私という人間と『共生』するという意志があったからなのではないか。
シャンデラ達は私の生命力を殺さない程度に吸う代わりに、私の期待に応えてくれた。ポケモン勝負をしている時の疲労も、私に共に戦っているという実感を沸かせ、それで得た勝利には喜びもあった。だからこの喜びを得たいと、強くなりたいという願いを抱き、四天王という立場を手に入れる事ができた。
そう。私が勘違いしていただけだった。シャンデラ達にとっては、私は共に道を歩んできた存在。だから今回はやりすぎてしまって私の体に負担をかけすぎた事を謝っているのだ――
「シャンデラ……」
自然と、シャンデラに手が伸びる。その手がシャンデラの頬に触れた瞬間、僅かに顔を上げるシャンデラ。
ゴーストポケモンは実体を持たない。だから人の手で触れる事はできない。だけど私の手は、シャンデラの頬に触れた感触を、確かに感じていた。
「謝らなければいけないのは、アタシの方です……アタシが、勝手にアタシを利用したと思い込んで……シャンデラ達の信頼に、気付かないまま……」
罪悪感で、自然と顔がうつむけられる。頬を、何か熱いものが流れていくのを感じる。
立ち上がって、シャンデラから離れる。今度は、残りの三匹だ。デスカーン、ブルンゲル、ゴルーグの順に、そっと撫でていく。
ごめんなさい、と謝りながら。
「この疲労感は、アタシ達が繋がっている証だった……それを間違った方向に解釈して、自分のポケモンを疑うようなアタシは、トレーナーとして失格ですね……こんなアタシを、許してくれますか……?」
全員に対して、そんな事を質問する。そうしないと、本当に呪いを受けても文句は言えないと思ったから。
すると、シャンデラ達は微笑みで答えてくれた。それは、私を許してくれるという意思表示だった。それは、久しぶりに見た手持ちポケモンの笑顔だった。
「……アタシのポケモンでいてくれて、いいという事ですね?」
シャンデラ達は、はっきりとうなずいた。
それが私には、とても嬉しかった。私達の間には、確かな『絆』があったんだと確かめられたから。
「――ありがとう、みんな」
*
私が抱いていた間違いに気付かせてくれたトウヤは、他の四天王三人にも勝利してNに挑み、伝説のポケモンであるゼクロムに選ばれ、プラズマ団の野望を打ち砕いたという。
彼とはそれ以来、顔を合わせていない。きっとより高みを目指して、旅をしている事だろう。だが、ただ一度だけの出会いでも、わかった事がある。トウヤは私の間違いに気付くほど、ポケモンに対し純粋な気持ちで接し、大切にしていたトレーナーなのだ。だからこそ、ポケモンの解放を謳うプラズマ団にも勝てたのだろう。
そんな彼に倣って、私もポケモンリーグを後にして、旅を始めた。
初心に返って自分のポケモンを疑うような自分の考えを鍛え直したい、というのが一つ。そして、私の目を覚ましてくれたトウヤに会えたらいいな、というのがもう一つ。彼に会えたら、改めてお礼を言いたいのだ。いつ、どこで会えるのかは、私にもわからない。ただ、そうなって恥ずかしくないように、私は私自身を、ポケモン達の力を磨いている。
私達はポケモン勝負という形で、ポケモンと日々を過ごしている。
考えてみればそれは利用し、利用されているような歪な関係だが、それは少し変わった共生であるだけで、決して間違いではない。
――だって。
自らの生命力を差し出す私と、それを吸うシャンデラ達の間にも、確かな絆というものがあるのだから。
終
2011/01/04 Tue 10:29 [No.32]
ジャグラー
※この短編は『パワポケ甲子園』というゲームを元に書いてます。
甲子園。
それは野球をする者達にとっては聖地であり、一度は行ってみたい場所。
その甲子園を目指すために、野球の道を選んだ高校生達は日々努力を積み重ねている・・・。
「・・・というわけで、我が道尾高校のキャプテンは小波となった。みんな、小波を中心に頑張ってくれ!」
「よーし、みんな!甲子園目指して頑張るぞ!!」
「「「おー!」」」
しかし、弱小高校が甲子園を目指すのはあまりにも無謀すぎていた。
「それぐらいの理由で練習を休ませるわけにはいかないな。別の日に回せばいいじゃないか?」
「・・・ちぇっ、分かったよ。行けばいいんだろう、行けば」
キャプテンとしての責任を果たしていくなか、部員達の不満は高まっていく。
「これからもう帰るのかい?お疲れ、気をつけて帰れよ」
「・・・ああ、じゃあな・・・」
「・・・?」
仲間達との間に生まれる溝・・・。
「俺達は道尾高校の生徒だ。そして俺はキャプテンの小波だ。」
「道尾高校・・・?聞いたことがないなぁ。あ、僕は五十嵐。この学校のピッチャーをしてるんだ」
「五十嵐君、か・・・いずれ戦う時があったら、その時は・・・」
「そうだね。いい勝負にしよう」
ライバルの出現。そして小波は、五十嵐に勝つことを目標にする。
が、現実は非情だった。
「(無死ランナー満塁・・・0−7とこちらが不利・・・もうみんな走れるほどの体力がない・・・ヒット一本でも打たれれば・・・おしまいだ・・・!)」
「(ならここは・・・三振を狙うしかない。そのためには・・・外角ギリギリのスローカーブを!!)」
キィン!
「ゲームセット!」
負けのスパイラルを止めることは出来ず、ずるずると甲子園への道が遠のいていく道尾高校。
そんな中、新たな野球部員と出会う。
「えー、今日から野球部に転部した十文字君だ。みんな、仲良くしてやってくれ」
「テニス部から転部した、十文字です。ポジションはピッチャーとライト。持ち球はSFFです。」
「十文字君か・・・」
「小波君の持ち球はスローカーブ、十文字君はSFF。これはいいライバルになれるでやんすねぇ?」
「いや・・・むしろ、共同戦線を張れるよ」
「へ?」
新たな仲間、十文字と共に道尾高校を引っ張っていく小波。
そして・・・。
「ピッチャー、十文字!」
「頼むぜ、十文字君!」
「ああ。任せてくれ、小波。」
「(チームのみんなが、守り抜いてきたこの1点差・・・この回を抑えれば、俺たちは甲子園への第一歩を踏み出せる・・・!)」
「(行くぞ、小波。お前の持ち球、真似させてもらった!)」
「ゲームセット!」
「やった!ついに勝った!」
「やったでやんすー!ついにオイラ達は甲子園への長い一歩を踏み出せたでやんすー!」
彼らはついに甲子園への踏み出した。
そして――――
「まさか、君達が本当に来るとは思わなかったよ。小波君」
「正直、連敗続きで俺も諦めかけてたんだぜ?五十嵐」
小波と五十嵐は、甲子園を賭けた最後の戦いに臨む。
「プレイボール!」
「さあ、行くよ小波君。僕の球を、打てることはできるかい!?」
「望むところだ。お前こそ、俺の球を打てるか?」
彼らの熱い戦いが、幕を開ける。
パワポケ甲子園、好評発売中。
あとがき
自分で何を書いてるのか分からなくなった。
やっぱりいいところがないゲームからいい部分を探すのは難しい・・・。
とまあ、一部オリジナル要素が混ざってしまってますが・・・パワポケ甲子園に興味のある方は一度買ってみてはどうでしょう?
2011/01/05 Wed 02:26 [No.34]
あげは
短編番外編:トウコさんのクリアまでの最終パーティ
キャサリン(ダイケンキ♂)※本編登場
ジョセフィ(ゼブライカ♂)
チョコ(バイバニラ♀)
ハト(ケンホロウ♀)
ちょうちん(シャンデラ♀)
クロ(ゼクロム)※本編登場
12位マジでありがとうございます(涙
大体レベルは平均52くらい。
一番強いのはキャサリンっぽい。
ジョセフィの本名はジョセフィーヌ。元ネタは某ボカロ。
チョコはどう見てもバニラ味です本当にry
ハトはそのまんま。
ちょうちんは…ゲット当時蝋燭だったんだけどなぁ…
クロは本編参照。
他にもハハコモリ♂の「おかあさん」とガマゲロゲ♂の「どやすけ」がボックスで待機しています。
2011/01/11 Tue 11:30 [No.48]
あげは
あらすじ(仮)
一卵性双生児の沙夜子(さやこ)と真夜子(まやこ)は中学一年生の夏に、父との死別により母の実家がある「隠詩村(かくしむら)」へと引越しをする。
新たな学校生活が始まった。
転校一日目にクラスメイトと初めて対面すると、クラス中からどよめきが起こった。
不審な目を向ける者、驚きの目を向ける者、泣きそうな目を向ける者――様々ではあったが、沙夜子と真夜子の登場によりクラス中が凍りついた。
しかし、すぐに仲の良いクラスに溶け込んだ沙夜子と真夜子は、ある日村の言い伝えを耳にする。
『悪い子は、綾神様に喰べられてしまうよ』
それが何を意味するのかは解らない。
そして、未だ二人の耳に聞かされてないこのクラスの過去。
彼らは必死に隠している、このクラスの過去。
彼らは取り返しのつかない罪を犯してしまったと。
クラスの一人一人の罪と、全員の同じ罪、そして、双子自身の罪。
そして、『綾神様(あやがみさま)』が、目を覚ました。
色んな設定
・一応主人公は沙夜子。真夜子はサブ主人公的な。
・主人公の学校は学年一クラス。しかも十数人。
・田舎。ドが三つくらい付くド田舎。
・年号は平成の始め辺り。現代真っ只中でもおk。
・担任の先生は超新米。
・綾神様=オヤシロ様的な物。
徐々に設定が組まれていくと思われます。
ある程度設定が固まったらキャラ募集予定。
2011/01/12 Wed 18:13 [No.49]
ゆな
短編コンテストの裏設定
少女
言わずと知れたグラトニー。でも喋ったのは最初と最後のみであり、彼女にする必要も実は無かったりします。
彼女の台詞で始まり、彼女の台詞で終わる。何故なら彼女はポケモントレーナーであり、主人公なのだから。
エンブオー
言わずと知れたステーキ。喋り方が敬語じゃないのは、初見の人に合ったイメージで書いたのとラストバトル要員だから。
敬語にしてもよかったのですが、かっこよさが出しにくかったのでやめました。彼の敬語はグラトニー相手にのみ発揮させました、始まりの時からの相棒なのだから。
バトルの時は結構熱い人ですが、それ以外だと口うるさいです。
ドレディア
二連続レギュラー獲得キンレンカ。まさかのカード化おめでとう。彼女を出したのは見栄えと好み、及びにいやしの願い要員。
彼女の場合、個人的にも気に入ってるし主力なのでエンブオーに続いて出る事は確定済み。地味に色々やらかした為、シビルドンがめっちゃ不幸な事になりました。
シュバルゴと絡ませたかったのですが、話の関係で断念。しかしヒロインらしさは出せた筈。
シュバルゴ
ピクシブ「姫と騎士」タグにはまってたのとクリスマスに友人の協力でゲットできた為、急きょ参戦決定した。
当初はガマゲロゲの予定だったが、ゲーチスの手持ちと被るのでその代理人。結果、バッフロンとの激闘を描く事が出来て満足です。
強化された虫タイプを入れれて嬉しいですが、早期退場が心残りでした。ちなみに名前は友人によりヨシツネとなりました。
フリージオ
バイバニラと比べた結果、こっちの方が個性強いしインパクトあるという独断で登場した。名前はカキゴオリ。
カタカナ言葉をサザンドラで使う事は決定してたため、無機質さを出すために漢字一色の台詞にしました。おかげでインパクトに残ったらしく、思わぬ成果を上げてくれました。
ガマゲロゲを圧倒し、シビルドンにトドメをさした実力者。サザンドラ戦の秘密兵器にしようかと考えましたが、それはそれでエンブオーがかっこ悪いんで退場してもらいました。
シャンデラ
多分一番ダメージが大きい子。名前はミホンであるが、前に上げた設定とは異なり活発ちゃん。
元よりデスカーンとぶつける事は決めていた為、三番目に確定した。しかし状況の関係により、同士討ちで終わってしまった。ただしタダでは終わらなかった。
エンブオーVSサザンドラが無かったらもうちょい深く書きたかったですが、ドレディアとは違う女の子らしさを書けて良かったです。
ウォーグル
女の子を守り、サザンドラを隔離した影の功労者。女好きで、ひょうひょうとしたキャライメージ。名前はテバサキ。
飛行対戦で最初からサザンドラの噛ませ犬になる事は決定してた。なので、最初に登場しただけで終わった不憫。負け戦を書いてあげたかった。
実は彼の敗北はフリージオ退場の為でもあったりしました。……無理矢理臭いのは認める。
サザンドラと愉快な仲間達
ラスボス・ゲーチスの手持ち。サザンドラ以外は結構やられ役に徹してしまった為、バトルが短かったのが残念。書きたかったネタは書けたので、それに関しては満足です。
その中でもラスボスを勤めたのが、みんなのトラウマ・サザンドラ。エンブオーとの激戦に相応しい相手として、トラウマのラスボスとして、カタカナ語にしたらこれが似合う似合う。
その為、シビルドンやガマゲロゲ、キリキザンなどがやられ役になってしまった。もう少しバトルを書きたかったです。
2011/01/12 Wed 21:17 [No.50]
ゆな
「まーさか、こんなところで縁があるとは思わなかったよ。ってか君も器用に生きてるねぇ、ルカリオじゃないと見破れないよ」
『大方は貴様の悪知恵から貰ったようなもんだ。それに人間にも時折見破られそうになる』
「あぁ、勘の良い奴は気づくって奴? こっちの世界、戦が関わってる分そーゆー感覚強いんでしょうね」
『幻影までは見抜けないようだがな』
「ポケモンについては幼稚園児未満の連中ばっかだから、仕方ない」
『ねーねー、ゾロ質問していーいー?』
「メタモン、リを忘れてる」
『リは関係ないだろ。寧ろそれはルカリオの方が似合う』
「ははは、ナイスツッコミ」
『……貴様、俺で遊んでるだろ? ったく、何でこれと縁が出来てしまったんだか』
『で、質問OK?』
『あぁ、構わん。何だ?』
『ゾロはこれからもこうやって生きていくつもりなの?』
『今のところはな。一応金を奪う方法自体は見つけてあるし、幻影をちょっと弄れば人間の目なんて簡単に誤魔化せられる。ゾロアークの事を何も知らない連中の顔、中々面白いぞ?』
「うーん、ゾロアークのそれは普通にある事だからなぁ。リアクションが面白くなる以外はつまんなさそう」
『あー、良くある一発芸で一時期流行るけど、暫くすれば「あ、まだいたの?」って言われそうな消えかけの芸人みたいな?』
「そーそれー」
『……好き勝手言いまくる性格の悪さは変わってないな、貴様等』
「君が無自覚だからだよ。ねー?」
『ねー!』
『(この人間顔負け腹黒悪党コンビが……!)それでこれからどうするつもりだ?』
「何も変わらないさ、と建前をのべておきますかね」
『は?』
「……人間による人間の為の人間の戦、それを最期まで眺めたいんだよ。それこそこの世界でなければ堪能できないような、複雑怪奇に絡み合う戦国だ。背徳に満ちていながらも、無限の人々を魅了してならない力の果て、文明の果て、それが見れるんだ。平和を手にする為、大きな戦が開幕されるんだ。こんなに素敵なエンターテイメントは存在しないよ!」
『あらら、ヒートアップ。でもメタもピカと一緒、元の世界じゃ見れないもの!』
『意味が分からん。何でポケモンなのにそんな考えになれるんだ? どうして人間が起こす戦が面白いといえるんだ? 何で一々細かい事を考える必要がある?』
「……興ざめな事、言わないでくれないかな。それに至った考えの理由、教えてくれない?」
『無駄に痛いし、人間もポケモンも腹が減るからだ。それにポケモンならば、人間と共に生きていくと思うのは当然の事だろ』
「…………」
『…………』
『どうした、ピカチュウ、メタモン』
「……ごめん、忘れてたよ。そうだった、そうだったよ。君はそういう奴だった、とてもとてもポケモンらしいゾロアークだ」
『はぁ?』
『ピカに同じく。うん、ポケモンってそーゆーもんだよね』
『何を言ってるんだ、貴様等?』
「ゾロアーク、君に質問。君は人間を襲った事がありますか?」
『何故襲わなきゃいけない? 驚かしたり、騙したりする事はあるが、怪我をさせる理由が見つからない。人間に理不尽に襲われたりすれば、やり返すがな』
「オーケー。やっぱり君はポケモンだ、ポケモンらしいポケモンだ」
『……その言葉自体が理解できんのだが? 何でそんな同じ意味の言葉を続ける必要がある』
「人間なら深読みして気づくもんだよ」
『貴様はピカチュウというポケモンだろ?』
「あぁ、やはり君はポケモンだよ。僕とは違う、ポケモンだ」
『わけが分からん。貴様の言葉は何時も難しくて、理解するのが大変だ。……ただ』
「おっとそれ以上は言わなくていい。その言葉は前にも聞いているんでね」
『……』
「ホント、ゾロアークと話してると思い知らされるよ。ポケモンが人間よりもずっとずっと優しくて、無垢な存在だっていう事を」
『ピカ……』
「メタモン、余計な言葉はいらないよ」
『……ピカチュウ』
「なんだい、ゾロアーク」
『貴様は俺をポケモンだと何度も口にしてる。俺からすれば貴様もポケモンで、大切な友達だ。……だから、異界の地で貴様が何かをしたいというのなら力になりたい。ボールを持っているのは知っているから、手持ちにしてほしい』
「は!? おいおい、どういう流れでそーなるんだよ!?」
『友達の助けになりたいと願う事は、どんな存在だろうと変わらない。そうだろ?』
「……うん、やっぱりポケモンだよ。君のような友人を持てて光栄だ」
『俺は当たり前の事を言ったまでだ』
「それじゃゾロアーク、ゲット……させてもらうよ?」
『あぁ』
『ピカ、質問』
「何?」
『ゾロアークゲットできて嬉しい?』
「……正直に言うと、嬉しいね。でもその反面、思い知らされるよ」
『ピカ、人間は悪意だけで生きてる生き物じゃない。ポケモンも善意だけで生きてる生き物じゃない。忘れないで』
「何を今更」
◆
ピカチュウとゾロアークの会話。ゾロアークはピカの手持ちの中ではまとめ役のリーダーポジションですが、賢くは無いです。正確に言えばピカと深く会話できるほどの複雑な思考回路は持ってません。
ポケモンの思考回路を持っていたからこそ、ゾロアークはピカチュウの友人になれました。理解者にはなれませんが、良い友人です。
メタモンはピカチュウに比べればポケモンらしい。でもゾロアークに比べると人間らしいです。
とあるサイト様の三次創作作品。この話には私なりのポケモンに対する考え方が入ってます。
悪戯してやろうという考えはある。嫌いな奴は倒そうという考えはある。でも悪意そのものは存在しない、無垢で優しい存在。そして人間が大好き。良心的存在。
そんな感じです。動物とは異なり、力を持ってるけど人間と共に生きていけるのはここに理由があるのかなーって考えです。
逆に「悪意」が存在するのが人間。ピカは人間側に近い存在なので、悪意を持ってます。でも普通のポケモンはそれが無い。
だからこそどんな人間でも共にいようと思うし、人間の言葉を無視できない。
ポケパークWiiとかそういうのを見てると、明確な悪党があまりいないのでこんな考えになりました。後、連載させてもらってるサイト様の影響もあります。
2011/01/15 Sat 00:36 [No.51]
仙桃 朱鷺
私の名前は春沢 快菜(はるさわ かいな)
今から私は私自身と向き合おうと思う。きっとグダクダになるけど私自身を書いて客観的に私を見て見ようと思う。
タイトルはそうだな・・・【足跡地】で。
私には幼なじみがいる。彼女の名前は夏枝 美蘿(なつえ みら)物心着いた時には既に友達になっていた。大事な友人になる。
ただちょっと人を・・・主に私をだけどからかうのが好きな子で私は美蘿に
「カナはかわでひろった。っておばちゃんがいってるのきいたよ。」
と言う話しを結構私は信じてしまったりした。親に確認までした。今考えてもありえないというのに。なぜだか今でもわからない。
美蘿の家は両親が共稼ぎだったため美蘿は早いうちから保育所に預けられていた。
私は親に「はやくわたしもいきたい!」と駄々をこねていた。「4歳になったらね」と親に言われ私は美蘿が保育所から帰ってくるまで土手でお隣りさん家の納屋に住み着いた茶虎の雄猫と遊んで待っていた。
美蘿の家は目と鼻の先だったので土手に居れば帰ってきたのが一目でわかる。私は美蘿の家の車が通ると追いかけ美蘿が車から下りた時に捕まえ
「みらちゃんあそぼ!」
と誘い日が暮れるまで遊んでいた。
ある時私はみーこ(私が付けた茶虎の雄猫の名前)に
「おいかけっこしよう」
と提案した。私が鬼でみーこを追いかけたのだが全力で逃げるみーこを捕まえられるわけもなく一人ぼっちになって泣いた。少ししたらちゃんと戻って来てくれるのだから私の言ってることがわかってるのだと根拠もなく思っていた。捕まえたみーこが鬼になってくれたことはなかったのだけど。
みーこと遊び、美蘿と遊び月日は流れ親と約束した保育園に入れる歳になった。
この時私は3歳。年少たんぽぽ組の園児になった。私は入園式の後、美蘿を探した。小さなお菓子を手にもって。
美蘿がいたのはちゅーりっぷ組。年少組の一つ下のクラスで去年まで美蘿が居たクラスだった。美蘿を見つけて私はそのままそこで遊んだ。
ここで私はアホな事をやらかした。手に持っていたお菓子をばらまいたのだ。布団が詰んである場所に・・・ボーロはころころ転がり保母さん達はふとんを取り出してボーロを回収してくれた。手間をかけて申し訳ありませんでした。
保育園は楽しかったけど窮屈な場所でもありました。
当たり前だけど団体行動です。お散歩の時間に背の順で並んだ時隣の男子と手を繋ぐのがすごく嫌だったことと、土手とかで花を摘むのが好きな私が見つけた花を持っていると「そういうの犬散歩とかで(省略)汚いよ」と行ってくる子が居て傷ついたりとかしてました。そしてお弁当の時間。
私の所はおかずが出るのでお弁当箱にご飯だけ詰めて行くものでした。
お茶漬けふりかけがかかっていたご飯に私はコップの中に入っていた生湯をかけて食べだすととなりの子が
「せんせいー。かいながごはんにおゆかけてるー」
団体行動を乱したからか、それとも飲み物扱いの生湯を手放したためか隣の席の子がそう言った。
「どうして?」
と、先生に聞かれた。
「おちゃづけけふりかけがかかってたから。だから家と同じにした。」
そうこたえた私に先生は
「此処では皆そういうことをやらないから次からやらないでね」
と、先生に諭された。初めて給食を食べた日の出来事だった。
私の家には犬がいた。父が貰ってきたその犬は貰ってくる前から、にく丸という名前が付いていたらしい。にく丸の名付けは私が生まれる前の出来事だからそう、聞いたことしか知らない。
にく丸は何故か私にあまり懐いていなかった。家の外の自転車を止めてる小屋の入口がにく丸の住家。ちょっとモップのような毛の犬で、父と散歩するとスタスタ進む犬だった。
母いわく、
「快菜が生まれるまではにく丸は家の中で飼っていたんだけど、初孫が生まれたということもあって今までにく丸が一匹で受けていた愛情が移り、自分は家からお小屋行きでしよ、拗ねてたのよ。」
骨付きチキンの骨をあげると食べる犬だった。(※鳥の骨は縦に裂けて危険なのであえてはいけません。人間用に味付けされたものもあたえてはいけません。)
ドックフードに牛乳がかかった餌を食べてた犬だった。
みーことも仲の悪い犬だった。
にく丸が残した牛乳でふやけたドックフードの残りはみーこが食べていた。
年少組での初めての遠足の日。
数日前にビニールを誤食して弱っていたにく丸はこの日の朝、私が目覚める前に天に召さていた。私が起きた時は土手にお墓ができていて、私はそのお墓にお線香をあげた。
初めての運動会は雨だった。近くの小学校の体育館を借りて西保育所、東保育所合同でおこなった。
ちなみに晴れたらこの小学校の校庭を借りるはずだった。
飛んで跳ねて私はお腹が空いた。空きすぎてシクシク泣き出した。美蘿に心配された。お昼の時間は遠い。
あまりにシクシク泣いているのでお母さんがやって来てこっそり私をトイレに連れていきそこで私は潰れてしまっていた小さなおにぎりを食べた。
運動会終了後、兎と熊のキャラが入った小さなメダルを貰った。
ある時の事だった。美蘿が私に言った。
「引っ越す」
と。
この日も私は美蘿のいえに遊びに行った。引っ越しのお手伝いというかアパートの清掃を手伝った。と、言っても子供に出来ることなんかたかが知れている。美蘿と一緒に窓を拭き、拭き終わった後に美蘿のお母さんが乳酸菌飲料をくれたので窓の横に並んで二人でそれを飲んだ。
今日はそれで日が暮れて私は家に帰った。夕食を食べ終わりおばあちゃん家の居間でゴロゴロしていると美蘿がおばちゃんと一緒にやってきた。
兎と熊(パンダだったかもしれないが思い出せないので熊にします。)のぬいぐるみを持っていてどっちかくれると言った。私は兎がいいといった。
「私も兎がいい」
美蘿と同じ。まった、選ばせてくれるのと違うのか。
結局おばちゃんになにか言われた美蘿が妥協して私が兎をもらった。
次の日。美蘿が保育園にいた・・・・・・。
「なんででいるの?」
アパートから近くに建てた(近くといっても私の足では行けない)家に引っ越したのだと美蘿は話してくれた。
美蘿はいなくならなかった。嬉しかった。
みーこがいなくなった。
なにも告げずなにも言わず猫だから会話とかは出来ないものだけど、ある日突然みーこは私の前から姿を消した。
鬼ごっこをした時のように呼んでもきてはくれなかった。
美蘿にもその事を話した。
そして、時々親とともに車で移動してた時に、○○でみーこみたいな猫を見かけたよ。と教えてくれることがあった。
みーこは二度と帰っては来なかった。
母さんが言った。「猫は死にそうになると姿を消すんだよ」みーこはいなくなった。私の手の届かない所に思い出だけを残して。
==============
ここまで書いて力尽きた。(笑)
気力が生まれたら続きが書きたいなぁ
2011/01/16 Sun 23:21 [No.55]
仙桃 朱鷺
感想・・・とは言えないですかね。あとがきとかにもなんないかもです。
参加できて楽しかったです。次参加できそうだったらまたかけそうなら書きたいなぁ。
人物設定はピクシブからの転移になります。アーティとフランシィはここが初出。
アーティ/ジャローダ♂
友達と話している時はツンデレキャラというポジションにいたはずが書きだし蓋を開けてみるとトレーナーに対してのデレデレキャラと化した子。ジムリーダーと名前かぶるとは思わなかった。名前の由来はアーサーの愛称から。
フランシィ/スワンナ♂
アーティだけだとどう考えてもオチがでない!!と思い召喚したブラック手持ちの一羽。名前の由来はフランシスの愛称から。元ネタは分かんないと思われます。
以下トレーナー設定です。ぶっちゃけ短編には名前しか出てこなかったから必要ないっちゃないです。あるのでもったいない精神で上げます。
後悔しない方のみお読みください。設定改造捏造オンパレードです。
トレーナーたちが出張っている話はピクシブにあるので興味があるお方はぜひ(宣伝(笑)
トウコ外見
名前:乙葉 咲 (おとは さき)
パートナー:ツタージャ
説明
生まれた時からポケモンの言葉が分かるという特技を持っている。そのことが周りに知れたわった時に気持ち悪いと言われいじめにあっていた。5歳のとき隣に同い年の叶(トウヤ外見参照)が引っ越してきて初めて人間の友達ができた。そして親友になった。
ツタージャにアーティという名前を付ける。のちにとあるジムリーダーと出会い驚くことになる。旅を始めて出会った尚(N外見参照)が同じ特技を持っていることを知り興味を持ちかかわっていくうちに惹かれていく。
尚がいなくなった後は情報を得て4年間彼を探し回っている。
※咲、叶、尚の名前がなぜ漢字かと言うとイッシュの舞台となった地域をこの時の私が知らなかったからである。
トウヤ外見
名前:松韻 叶 (しょういん かの)
パートナー:ポカブ
説明
シンオウ生まれイッシュ育ちの少年。人思いの穏やかで優しい性格。引越しのトラックのフロントガラスにぶつかったマメパトを保護したが、マメパトがご飯を食べてくれないことに悩み咲(トウコ外見参照)がポケモンの言葉を理解できるという話を聞き咲に会いに行く。マメパトは元気になった後、叶と咲の友達となり家によくくるようになる。のちに咲がフィンと名付けた。
咲とは親友。旅も途中まで一緒にした。咲が悩んでる時困っている時などいつもここぞと言う時に手を差し伸べてくれる存在。ゲームとは違い我が家設定は叶のみが幼馴染。
N(ハルモニア)外見
名前:尚・セゾンフィールド (なお・―)
パートナー:ミジュマル
説明
人間はポケモンの敵だと信じて疑わなかった青年。だったが、咲(トウコ外見参照)と出会い徐々にそのことに疑問をもつようになった。少し思い込みが激しい?(一直線?)な考え方をする。同じ特技を持った咲が気になってきている様子。イメージとしては咲と5歳差。ハルモニアなんて名字があると知らなかった頃にすぐさま名前を考えだしたキャラ。ピクシブにアップした人魚パロに出てきた青年の子孫(by我が家設定)
配達事故で落とし物(ポケモン)になったミジュマルを拾い保護する。咲とのバトルの後ゼクロムだけを連れて世界各地を旅して回っている。ただいま世の中勉強中。
チェレン外見
名前:メラン・シーウェル
パートナー:チョロネコ
説明
ピクシブにアップした人魚パロの魔法使いだったキャラの転生後(by我が家設定)確かうろ覚えになってしまったが名前の由来はギリシャ語の黒から。咲(トウコ外見参照)より2歳年上。レウコン(ベル外見参照)とは同い年で仕事の同僚。前世の記憶がある。瞳は濃い藍色をしている。
アララギ博士の研修所で助手として働いている。レウコンの事は好きだが、気まずくなるのも嫌だし一緒にいられればいいかなんて考えているせいで告白しようって考えてない。生まれ変わっても同じ人を好きになった。
ベル外見
名前:レウコン・アーシェル
パートナー:ヨーテリー
説明
ピクシブにアップした人魚パロの声を引き換えに人間になったポケモンの生まれ変わり(by我が家設定)生まれた時は原因不明で声が出なかった。のちに出るようになった。名前の由来はメラン(チェレン外見参照)と同じく確かギリシャ語の白から。前世の記憶はない。海が好き。瞳は青色。
ヨーテリーにウーというニックネームを付ける。同僚のメランは頼れる人と思って信頼している。実はメラン→(←)レウコンで無自覚で好きだと思っていたり。早く自分の心に気づいて欲しい。
ーーーーーーーーーーーー
ここまで読んでいただきありがとうございました。
2011/01/17 Mon 01:34 [No.58]
仙桃 朱鷺
とある地方の泉のある森でこのはなしは始まります。
美について語るスワンナと気に入らないツタージャ
「この純白の翼。艶やかな羽。水に映る虚像。全てが俺の美しさを表している!異性が放って置かないよ!」
「黙れ青胸!なにが純白だ。」
「これはお洒落なの!白の中に青い体羽のワンポイント!これがわからないからお前は残念なんだよ。」
「残念なのはテメーだくそ青胸。ド級ナルシスト!しらとりの癖にはとむね特性の鳥違いがぁ!」
「特性は特性でしょうが、」
それを見守るウォーグルとその足元のチラーミィ
「アーティ達は毎日毎日・・・よく飽きないんだぞー」
「う〜ん。きっとあれがフランシィさん達のスタイルなんだよ。」
「・・・わぁぁぁ!姿が見えないのに声がするんだぞ!」
「下を向いてよ!足元にいるよっ!!!」
「はっはっはー、なぁんだ。こんなとこにいたのか兄弟。キミ小さすぎて見えないんだぞ。」
「足元とか周りとかもっと身近を見ようよ君は」
「オレは常に先しか見ないんだぞ!後ろは振り返らないのさ!」
「せめて足元は見ようよ。君は自己中だし、一方的だし、空気読まないし、単独行動して勝手に居なくなるし、僕が蓄えてた木の実食べちゃうし、力ずくで事を運ぶからいざって時危ないし、それからさーつらつらつらつら・・・」
「・・・・・・(暗)」ずーん
アーティとフランシィが言い疲れて視線を二匹に向けるとアルフィにマティがひたすら説教しているの図。
「おいみろよ、アルフィが目茶苦茶落ち込んでるぜ。」
「いつも大人しい分マティは一度言い出すと止まらないからねぇ。兄弟みたいに育ったからお互いの事よく知ってるしね。」
「そろそろとめてやらねぇとな」
「・・・つらつらつら。それに君は力を過信しすぎてる。相性悪くても突っ込んで行くなら少しでもダメージを少なくするように考えて行動を――」
「マティ、ストップだ。」
「アーティさん?」
「アルフィが戦ってもいないのに戦闘不能になってるよ。マティがアルフィにしっかりしてほしいと思ってるのはわかるけどそろそろやめてあげてね。」
「フランシィさん・・・そうですね。」
「・・・・・・(闇)」
「おらっ、顔上げろアルフィ。そろそろ帰るから乗せてけ」
「・・・・・・・・・・・・全く、なんでキミはそんなに偉そうなんだい。」
「オレだからに決まってるだろ。」
「意味わからないよ。」
「じゃあ、マティは俺に乗りなさいね。」
「はい。フランシィさん。早く帰りましょう。」
夕空を2羽の鳥ポケとその背に乗った2匹のポケモンが飛んで行った。
□ ■ □
短編小説コンテスト提出品より前に書いたもの。アーティの一人称がオレではなく俺になってました。発売前だったのでツタージャでかいてありました。オレ同様ジャローダに直しました。
今回初登場のウォーグルのアルフィとチラチーノのマティの紹介載せます。
アルフィ/ウォーグル♂
ワシボシの時に放浪していたらチラーミィだったマティと出会う。
暫くその場に滞在してマティとは兄弟のように仲良く過ごした。そのせいかマティに「兄弟!」って呼びかけたりする。
「オレ強くなってくるんだぞ!」と言い残しマティと別れあちこち腕試しをして進化までした(笑)
マティを連れた咲と出会い面白そうだと仲間になった。
自分の主張を通したがる。
マティ/チラチーノ♂
眠るのが大好きなのんびり者。アルフィとは兄弟のような幼なじみ。
いつもひなたぼっこしてうとうとしていたが咲と出会う。(実際はアーティとシママがバトルしているのに巻き込まれた。)
怪我をしてポケモンセンターに連れていかれてその後旅するのも面白いかもと思いそのまま仲間になった。こういうところはアルフィと似ているかもしれない。
聞き上手。
2011/01/19 Wed 12:46 [No.59]
あきはばら博士
ぐだぐだでなかなか進まないドリメですが、これからどういう展開が必要になっていくのか、これからのドリメの流れについてまとめてみました。
意見があればどうぞお願いします。
・VSパライバ戦終了
フィッターさんが書くそうです。
・マルクとアキチュウの対話
既に執筆済み。
・ジャグリオVSアイビス
クールの遺志を継いだアイビスとの戦い。
ジャグラーさんが書く予定。その際にジャグフィリフラグが進行するかも。
・マリア(セレビイ♀)の救出。
いのりから連絡が入ったシャイン達がチョウジに向かいセレビイの救出に向かう。
元人間の戦いではないので手抜き描写でOK、書く人は未定。
・マルクVSガウリイル
最終決戦、アキチュウは後ろから応援してます。
ゆなさんが書く予定。
・それぞれのエンディング
おのおの用意しておいてください。
マルク君のエンディングがそのまま最終回になりますが、それを書く人は未定。
2011/01/24 Mon 23:45 [No.64]
椎名
衝撃が空気を鳴らす。ついで、ガラガラと岩が崩れる音。断続的に続くそれらは、じわじわと、しかし確実に、『獣』が迫ってくることを意味していた。
ガラガラと崩れる音が聴こえるたびに、岩陰に身を潜めているアルシェはびくりと身を揺らす。
そのたびに本能が、アルシェの身――あるいは命が危険だと警鐘を鳴らす。しかしここはヒトの手が入っていない洞窟の中、いわば天然の迷宮だ。正直、自ら傷を追っているこの状況では、下手に動くことができない。
思考を巡らせていると、また岩が崩れる音。改めて現実を突き付けられた気がして、小さく舌打ちする。あれは、私程度の実力でかなう相手ではなかったのだ。
つい数日までの自分が馬鹿みたいだ。周りよりも実戦の成績が良くて、トップを取ってきたのに、いざホンモノの戦いになってみればどうだ。このざまだ。ポカブもおだてりゃ木に登る、とはまさにこのことか。
一人で勝手に舞い上がっていたのだと思うと、それまで培ってきた自信とやらが非常に馬鹿馬鹿しく思えてくる。
どうせこのままでいても、ろくな処置もできない――だったら、最後くらい派手に散ってやろうか。あの化け物に一矢報いるか、せめて後世延々と残る傷でもつけばいい。
半ば自暴自棄になって立ちあがり、『獣』が通るであろう岩道に立ちふさがる。そのまま目を閉じて、一つ深呼吸。
ゆっくりと瞼を開き、目の前の黒く塗りつぶされた空間を睨みつけた。
+ + +
小さな小部屋ほどのスペースに、一人の青年が座り込んでいる。その視線の先にあるのは、子どもが一人通れるかどうかという大きさの穴だった。一瞥しただけではわからないが、しばらく見ていると時々そこから土がかきだされる。穴から土が出てそれが繰り返されるだけの単調な光景を、青年は何をするでもなくただぼうっと見ていた。
ふと、定期的にかきだされる土が止まる。しばしの沈黙ののち、青年が見ていた穴から何者かが這い上がってきた。まだ幼さが残る顔つきの少年だ。年は十代中ごろといったあたりだろうか。
少年を見るなり、それまで穴を見るだけだった青年は小さく顔をゆがめて一言はなつ。
「遅ぇ」
「はっ、ただ穴の周り見はってただけの人が何言ってんのさ。僕は肉体労働が苦手なのにこんなやたら長い穴を掘らせるとかさぁ、酷使しすぎだと思うんだよね。僕まだ子供だし?」
「黙れよ年齢詐称。どうせ見た目だけの話だろ、おまえはどー考えても中身がガキじゃねーよ」
「誰が年齢詐称だ、誰が」
少年は立ち上がり服についた砂などを軽く払いながら毒づく。しかし青年は素知らぬ顔だ。
● ● ●
一気に描けると思ったら時間が着て途中中断した代物。話はあるけど、文章にならないorz
2011/02/04 Fri 23:22 [No.112]
仙桃 朱鷺
訳わからない語呂悪い言の葉を勿体ない精神であげてみる。 あ、石投げないでー!
■
□
私の恋は閉まってしまうの開けないで
こころから漏れ出して…
しまうから
パパとママにただいまっていう
ゆっくり 抑える思い
気持ちはもう届けないから
惹かれる魅惑の心
初めての思いに戸惑う
今夜はどんな夢を見る?
伝えさせて
聴かないで
この思いは伝えるわけにはいかないの
両親の恋愛に憧れていたせいなのかな
知らないことがあるのならば
知りたいと思うの私はね
でも見たくない
聞きたくない私は私が傷つくのが怖いから
ずっと恋しくてこの気持ち
思わず伝えてしまったの
ダメ、返事は言わないで
溢れて でてしまった言葉
わかってる返事は聞きたくないの
あの時あの場所 貴方の紡いだ言葉を知ってるから
驚かして ごめんなさい
決戦前に乱してしまう貴方の心
私と生きてくれる? 何て言わない
気をつけて生きて帰ってきて
パパ、ママ聞いて好きなヒトができました
私を許して そのヒト敵なの
DM DCの境界線
見張る人は今日はいません
それでも越えないと決めたから
中立にまわって見守ります
痛いほどに
好きになってしまったのは私でした
でもパパもママも貴女のこと嫌いみたい
私が偽る弱い心傷つくのが怖い
それでも伝えてしまったこの気持ち
気にしないで
気にして
貴方の心を変えないで
出発の声が聞こえる
仲間とともに向かう貴方
どうか 無事に帰ってきて
敵だった でも応援してる
きっとあのヒトもそうだろう
敵だとわかって貴方に惹かれた
そうよね 私も同じよ
だって好きになってしまったから
私はここにいるよ
私の心覗かないでくださいね
欲しいものだけあふれかえってしまってるだけじゃない
もういないライバルに嫉妬しているのに気づかないで
いっそあなたの居場所までも埋めてしまおうか
でもそれじゃ意味ないの
貴女を思う 彼に惹かれた私だから
どうしようこのままの私
少しずつでいい心を落ち着かせていく
私より強情なパパとママは今日も変わらず
水中で 活躍している
彼を助けると決めたのは私でした
海上で貴方と出会った私は
パパとママの邪魔をしました
どうしようこのままじゃ私
パパとママに嫌われてしまう
でも、きっと後悔しないわ
2011/02/06 Sun 14:10 [No.118]
仙桃 朱鷺
上と同じノリで生まれたもの・・・。しかしこれだとめっちゃアキチュウへの依存度が高いのが見て取れる・・・
◆
◇
翼を手に入れた私は
迷い込んだ世界で歓喜して
差し延べられた手を取って
その道を選んで進んだの
さみしがる迷子の私
見たことない場所 彷徨い
奇麗な瞳をもった
ひとりの女性と出会う
目が合ったその瞬間に
驚き笑ったその場所で
聞いた世界の行方を知り
私は仲間になった
求めたものは 楽しい未来滅ばぬ道
仲間への攻撃
私は行く 自分が選んだ選択 叶える為に
全ては私じゃ変えられない
ひるむ心捨てて
貴女の力になれるのなら
この自我さえ隠しこんで
暗示に身を委ねてしまおう
曖昧に見える景色
敵の巣窟この場所で
意志を秘めたままに
味方となる人を捜す
戦おうと向かい合った時
探していた人と巡り会い
言葉を交わさぬままで
その場を立ち去った
手に入れたのは この手の中
情報、思い、目的、目標
淡い意志 目覚めの言葉
敵にばれないで戻る正気
侵されない
私が選んだこの道は
最後まで揺るがさず行くんだ
後悔さえしないほど
私はここを選んだのだから
あぁ 仲間への攻撃は
憎しみ戸惑い恐れを生む
怒れる仲間の声は
私の心を貫く
(ごめんなさいごめんなさい)
(でも人間は死な無いから帰るだけだから)
(かえったら謝りますから)
(許してください・・・)
(私の目的のため)
(私は皆の邪魔をします)
目標と終に向う私は
暗示眠状態を解き放って
彼女と別行動をとり
言葉を全て秘めたまま
人間と戦い
連れ去ったの
目覚めた相手に独白と
返ってきた味方と仲間
従姉に再開抱き着き
残りの敵と立ち向かうため
手を組んだ彼等を見送って
最後の戦いが終わる時
私は全て託し願う
2011/02/07 Mon 00:05 [No.119]
ジャグラー
グリーで投稿する小説のOPです。
・・・正直、内容が全然思いつきません・・・。
これは
「捨て犬か・・・?可哀想に。よーしよし、今から俺の家であっためてやるからな」
平凡な青年、氷室恭輔と
「助けてくれてありがとワン!あたしはあなたに助けられた捨て犬だワン!お礼にあなたと一緒にいるワン!」
犬耳の女の子、サイカの
「え・・・ええええええええええええええええええええええ!?」
お話である。
「サイカはどこから生まれて、どうやってこの街に来たんだ?」
「分からないワン・・・でも、白い服を着ていた人達はいっぱいいたワン」
「おいおい、お前やばそうな所にいたんじゃないのか?」
サイカとの出会いで、氷室の何気ない日常は少しずつ変化していった。
「お前、何で俺のバイト先に来るんだよ」
「恭輔お兄ちゃんと一緒じゃなきゃいやだワン!」
「お、お兄ちゃん!?」
しかし、その日常は途中から危険なものへと変貌していく・・・。
「君が、氷室恭輔君だね?・・・あの少女を渡してもらおうか」
「サイカを渡す?・・・断る。サイカは俺の大事な義妹・・・いや、妹だ!家族だ!!家族をはいどうぞと渡す馬鹿が、どこにいる!」
「いるよ。今私の目の前にいる自分がどういう立場かも理解してない愚か者がね・・・」
「な!?」
サイカを狙う、謎の組織。
次第に氷室は命を狙われ初め、逃避行を余儀なくされる。
サイカが狙われる理由。それは、サイカの正体が作られた者だからだった。
「苦しい・・・ワン・・・っ」
「サイカ!?しっかりしろ!どこか痛いのか!?」
「恭輔お兄ちゃん・・・逃げ・・・て・・・うう・・・・!!ああああああああああああああああぁぁぁぁ!!」
次第に暴走していくサイカ。そんな中、氷室はサイカが何者かを知ることになる。
「君は何か勘違いをしていないかい?あの子は犬と人間が合わさった何かだと思ってるだろう。違うな。あれは我々が開発したオオカミと人間の遺伝子を持つ“オオカミ人間”さ!」
「そ、そのためだけに・・・サイカみたいな小さい子を犠牲に!?・・・マッドサイエンティストが!」
「ふ、それは私にとってはほめ言葉さ。科学者というものは、理想のためには家族をも犠牲に出来る覚悟がないとならないのだよ!」
氷室は、サイカを助けるべく謎の組織に立ち向かう。
しかし、彼女の暴走はもう止められない所まで来てしまっていた。
「サイカ!俺の言葉が分かるか!お兄ちゃんだ!お前の大好きな、お兄ちゃんの声だ!」
「あああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!」
「聞こえるなら返事をしろぉ!!サイカァァァァァ!!」
サイカを、愛する妹を、家族を守るために、
彼は戦いの世界に堕ちて行く。
「全く・・・君はどうしてあんな赤の他人を、しかも実験動物なんかを大事にしてるのだい?私からしてみればあれはただの道具だ。理解ができない。」
「お前には一生理解できないだろうな、イカレ野郎!
サイカは俺の妹だ、家族だ!・・・家族を守るのは、兄として当然だろ?」
「ふん・・・理解出来んな。凡人の言う事は。貴様ごときの一般市民ごときが、私にどう打ち勝つのだ?」
「決まってんだろ
――――愛の力さ!」
はたして、氷室はサイカを救うことができるのか?
そして謎の組織の目的は?
“オオカミ人間”の作られた目的とは・・・?
「とある青年と犬耳少女のお話」 公開未定!!
今決まってる設定
・氷室の職業はウエーター。ただし中途採用なので給料は安い。
・サイカには犬耳が生えている。
・舞台は東京の大都市。途中から「ここ、ホントに東京?」なんて言う感じの場所になっていく。
・オオカミ人間は人とオオカミの遺伝子やら細胞やらを組み合わせて生まれた者。ただし、まだ詳しい事は分かっていないので暴走することが多い。
・暴走し始めるとなかなか治まらない。治める方法は不明。
現在設定考察中。
グリーのリア友だけで構成されているコミュニティでのみ投稿予定。
ポケ書の方にも投稿するかは不明。
2011/02/13 Sun 23:44 [No.129]
kaku
ぜったいに書くことはないけど、設定だけ晒します。
眼下に広がる
<<物語>>
1966年1月2日、円谷特技プロダクションによる初の特撮テレビドラマ、『ウルトラQ』の放映が始まった。
「あなたの目は」
「あなたの体を離れて」
心のなかに、不思議な世界が広がる。
ありもしないのに、確実にある、不思議なる存在。
空想の産物、というには、人は余りにもそこへ没頭する。
これは、そんな世界に入り込む物語。
『この、不思議なる、時間の中へ』
<<世界観>>
2010年頃の、日本を舞台にする。
場所は京都府であり、基本的には同志社大学を舞台としているが、『フロイトくん』の機能により、主人公は他者の精神世界へ入っている場面が多い。この『フロイトくん』を使い、主人公は、様々な人間(同志社大学の学生だけでなく、様々な職業のひとたち)の精神世界に入り、『心の住人』と対話する。
・フロイトくん
同志社大学心理学部に在籍する学生『糸間遙』の自宅に置かれた機械。人一人が入れる、日焼けマシン大の機械2つと、間に置かれた44インチ液晶テレビから成る機械。左側のカプセルに入った人間の精神世界を、液晶に移せる。右側に入ると、左側に入った人間の精神世界に入り込むことができるが、それができるのは、いまのところ、問だけである。糸間の自宅にこの機械を置いたのは、糸間の指導教授らしいが、詳細は不明。
<<主人公>>
・独 問(ひとり とひ)
同志社大学文学部哲学科1回生所属。
東京出身であるが、京都の地に憧れを持ち、同志社大学に進学した。(実際は、上智大学に落ちたが、MARCHが嫌だったので、同志社に)
サークルの新歓イベントで知り合った、心理学部の先輩に声をかけられ、『フロイトくん』の被験体になる。フロイトくん使用中は、時給7000円の給与が支払われている。
<<心の住人>>
心のなかにある人格。
それが、その心の主と結びついている場合もあれば、全く違う相手として存在する場合もある。前者はイメージしやすいが、後者はイメージし難いものである。なぜなら、心のなかで動く人物像は、それを思い浮かべている人間が動かしているものであるというイメージが、すでに定着しているからである。フィクション、ノンフィクション問わず扱われる『二重人格』の像は、そのイメージを定着させるのに一役を買っているであろう。後者を分かりやすくイメージするには、幼児期に空想する『イマジナリーフレンド』を思い出していただくのが手っ取り早いだろう。これは、深層心理に於いて存在するキャラクターと、その精神の宿主とが『対話』することで生まれる存在である。そういった、己の心理にありながら、それを動かしていることを自身の心理ですら自覚できないものが、後者に分類されるのである。
<<研究の目的>>
精神疾患の説明の範疇には収まらないような、多様な精神状態を、その精神世界をビジュアル化して分析する。実質は、『フロイトくん』の調整である。今のところは、フロイトくんによって他者の精神世界に入れる者は問だけであり、相当の調整が必要であることがわかる。
2011/02/16 Wed 00:14 [No.134]
ゆとり
そのメイド姿の少女は、『この腐った世界を変えるために作られた存在』であり、『この平和な世界を魔の手から救う存在』でもある----
『メイドロボナナ』
【大まかなストーリー】
今の日本は腐った世の中である、と考えた一人の科学者と、彼の賛同者達が手を組み人型アンドロイド--メイドロボを10体開発した
しかし、何者かによって7号機--ナナが脱走した
が、なんらかのトラブルによりナナは墜落する
ある日一人の男子高校生--進藤隆也(しんどう たかや)はいつものように部活をサボり、たまに行く山に登りにいった
するとそこでナナを発見、彼女を見つけた進藤はそのまま彼女を家に連れて帰る
そこから壮大なバトルが繰り広げられる・・・・・・
説明下手でサーセン 簡単に言えば、この作品の主人公の進藤とナナが協力しあい、悪の野望を打ち砕くといった感じです
【メイドロボ】
メイド姿をした人型アンドロイド
当然のことながら全員女
頭につけてあるカチューシャのおかげで、他のメイドロボを半径500m以内なら探知することができる
背中の真ん中にMLBバッテリーという、悪の組織が開発した長くても10年は持つといわれるバッテリーが入ってあり、それがメイドロボの原動力である
また胸の真ん中に、心臓代わりであるMRチップが入ってありそれが破壊されると、死と同等の状態になる
2011/02/18 Fri 22:59 [No.137]
あきはばら博士
ルール
「ポケモンリーグ突入時の手持ちレベルを全部1にする」
「四天王2人目以降はそこまでにレベルアップした状態で戦う」
「手持ちポケモンの重複不可」
「持ち物を持たせることを禁止」
「戦闘中の道具の使用は自由」
「戦闘中の瀕死復活系アイテムは禁止」
「デルパワーの禁止」
「素早さと回避率を上げることを禁止」
「相手のPPを削ることを目的とした行動を禁止」
「挑戦中の進化を禁止」
「戦闘終了後の回復は可能」
「出来るだけ勝率が高い作戦を目指す」
……以上。
使用ポケモン
・モンメン(NN:ワタッコ)
やどりぎのたね
・エルフーン(NN:オワタッコ)
みがわり まもる やどりぎのたね
・タテトプス(NN:かべ1)
まもる ほえる どくどく
・イワーク(NN:かべ2)
まもる ほえる だいばくはつ
・クヌギダマ(NN:くのいち)
まきびし どくびし ステルスロック じばく
・シュバルゴ(NN:△スピア△)
まもる つるぎのまい シザークロス
○基本戦術
どくびしを2回撒き、相手を猛毒にすることで簡単に倒せるようにする。
シュバルゴを育て相手の攻撃を受けつつ相手を倒すことを目指す。
☆ポイント
どのタイミングでどくびしを撒くか
どくびしが効かない相手(特にどくびしを除去するドクロッグとドラピオン)の対処法
既にニコ動で同じような挑戦がされているので、それとは逆のルールでの挑戦となりました。
2011/02/19 Sat 22:24 [No.138]
空色
「――私が、あの人を止めなくちゃいけないんだ。」
「だからビー君。」
「あの人を探す為に、キミの力を私に貸して欲しい。」
『明け色のチェイサー』(仮)
◇世界観あらすじ
ポケモンをボールに入れて捕まえて育て、戦わせる。
そんな「ポケモントレーナー」と呼ばれる人種がこの世界に存在したのはもう何百年も昔の事。
人とポケモンの関係は随分変わった。
モンスターボールは真っ白なカードにとって代わり、捕獲は契約に変わった。
これまでは人がポケモンを捕獲し、従わせていた。
だが現在はポケモンが人を認め、契約をする事で人はそのポケモン力を借りる事ができる。
この関係の変化によって、人とポケモンは共に暮らす事は少なくなった。
しかし、あえて距離を置くことによって、人間達とポケモン達の関係は以前より対等に近づいたと論じた者も少なく無く、次第に人々のはこの新たな関係を受け入れていった。
トレーナー時代にあったポケモンを使った犯罪も、カード社会なら減少していくだろう。
「だって、そんな悪い人間をポケモンが認めて力を貸すわけ無いじゃないか。」
そう、浅はかな思考を持った人間も少なくは無かった。
しかし、カードというシステムにも穴はあった。
それは、最も恐れられていたが故に目をそらされていた穴。
昔々のポケモントレーナー達は互いが捕まえたポケモンを交換するという方法でトレーナー同士の交流を深めていた。
自分が捕まえたポケモンでなくても、そのポケモンに見合う実力さえあれば、そのポケモンを従わせる事が可能である。
その法則から、子供達が大人から最初に手にするポケモンを譲り受ける事も、一種の伝統とされていた。
つまりは、この法則がカードにも当てはまってしまったのが問題だったのだ。
本来カードとは、契約とは、ポケモンがその人間になら力を貸してもいい、というポケモンの意思を尊重した考えに基づいて創られたシステムだった。
だが、トレーナー時代と同じく実力さえあれば元のポケモンの契約者でなくてもカードを用いて力を振えるという事実が発覚してしまう。
その事実は、他人のカードの強奪をする犯罪者の増加という望まぬ事態を招いてしまった。
弱き人間は強き人間に絆と力を奪われ、対抗出来なくなっていった。
また元のカード所有者と契約し、その人間との絆を手に入れたポケモン達の想いも、犯罪者に踏みにじられてしまう結果を引き起こした。
弱肉強食。もはや、強者だけが力を振るい、弱者を脅す日々。そんな世の中に人々絶望を抱えていた。
そんな中、立ち上がった独りの青年が居た。青年は光輝くポケモンと共に、人々にこう呼びかけた。
「ポケモンの力が使えなくとも、お前達は決して無力ではないはずだ。
なのに何故動かない。何故自分の大切な友を奪った相手に立ち向かおうとしない。
お前達がそうやって自らの不遇を嘆く間にも、お前達の力を信じた友は望まぬ行動を強制され続けているのだぞ。
そんな彼等を見捨てるというのならば、止めはしない。
だけど、諦めていない奴はその手に武器を持って立ち上がれ。
友との絆を取り戻す為に、共に戦おう。」
その言葉に人々の心は動かされ、青年と光輝くポケモンを頭に異色の勢力を作り上げていった。
そして、その勢力は圧倒的な力を見せそれまで暴君として君臨していた者達から次々と己のカードを、友を自らの手で取り戻していった。
奇跡のような快挙を人々は、青年と光輝くポケモンのお陰だと彼等を讃えた。
そして力と絆を取り戻した人々は、大きな王国を建国した。
勿論その国の王は青年だ。
人々は、同じ過ちが繰り返されぬ様に一人一人の力を集めたのだ。
もし、また自分達とポケモン達との絆を脅かす輩が出ようものなら、力を合わせて立ち向かおう。
そう、国民は心に深く誓いを立てて、国を守り続けた。
そして、その王国は長く繁栄した。
人もポケモンも契約という概念を越えて信頼しあう様な、そんな素敵な関係を作れる程その王国は豊かになった。
時は流れ、王国建設から百年の時が立ち、王国はめでたい百回目の建国の記念日を迎える。
それは祝福されるべき日となる筈だった。
あの『闇隠し』と呼ばれるが災厄が王国を滅ぼすまでは……
◇用語説明
・カード
ボールにとって代わったポケモンの力を借りる為の道具。最初は真っ白なカード。言わずもがなだけどモデルはポケモンカードゲーム。
対象のポケモンが自分の力を認めて心を許してくれるとそのポケモンと契約する事ができる。
ポケモンと契約したカードにはそのポケモンが描かれ、召喚する事でポケモンを喚び出し、力を借りたり交流を深めたり出来る。
ある意味人とポケモンを結ぶ絆の象徴である。
カードにはポケモンと契約したポケモンカードの他にも人工的にカードの中に道具を入れたグッズカード。トレーナー時代の歴史上の人物をモデルにしたサポーターカード。施設や場所の特性を取り込んだスタジアムカード。ポケモンに力を与えるエネルギーカードなどが存在する。
・タイプ
ポケモンカードやエネルギーカードが持つ属性のグループの事。
トレーナー時代とは違い、タイプは無色・炎・水・草・電気・闘・超・鋼・悪の9種類に分けられている。
ちなみに、ノーマル、ひこう、ドラゴンは無色タイプ
ほのおは炎タイプ
みず、こおりは水タイプ
くさ、むしは草タイプ
でんきは電気タイプ
いわ、じめん、かくとうは闘タイプ
エスパー、どく、ゴーストは超タイプ
はがねは鋼タイプ
あくは悪タイプ、が大まかな目安になっている。
だがあくまでも大まか目安なので、当てはまらないポケモンも結構多かったりもする。
・デッキ
一定以上枚数のカードを組み合わせ、ポケモンカードの力を引き出すモノの事。
デッキを使う者を“デッキ使い”と呼ぶ。デッキ使い達の戦闘力はただ単にポケモンカードの力だけを使う者達より遥かに強い。
但しデッキを組むにはそれなりのポケモンと契約を結ばないといけないのでデッキ使いになれる人物は限られている。
ちなみに一つのタイプに特化しているのは単色デッキ。二つのタイプに特化しているのは2色混合デッキ。三つ以上のタイプが入っていると多色系デッキと呼んだりする。
・カードハンター
他人が契約したポケモンカードを強奪する犯罪者。
王国が滅んだ事によってまた姿を表し始めている。
中には実力が足りず召喚出来ないカードを他のハンターに売り渡してお金にしたりするたちの悪いコソドロも増えている。
そういったカードハンター達は賞金首にされたりもしている。
・闇隠し事件
王国を滅ぼした原因となった忌々しい事件。
その実態は超大規模な“神隠し”
ちなみに建国記念日の日が皆既日食の日でもあり、日食によって世界が暗闇に包まれている時に国の王を含めたほとんどの国民の姿が消えてしまったので畏怖の念をこめて“闇隠し”と呼ばれている。
謎が解けてない怪奇現象として調査されている。
僅かに残った国民は他国や土地に移っていき、王国は滅んだ。
その後ゴーストキングダムと化した王国を根城にする者もいる。
2011/02/23 Wed 20:29 [No.139]
空色
◇登場キャラクター
味方勢力
・夜明アサヒ(よあけ あさひ)♀
主人公もといヒロイン。
太陽のように明るい性格。のんびり屋でのんきな所も多く、よくブーストに引っ張られがち。優しい天然。
しかしこれと決めた事は譲らない頑固なところもある。
闇鍋(食べ物ではない)を探していて、彼の野望を阻止しようとしている。
水、草の混合デッキだが得意タイプは氷、つまりは水タイプ。
・ブースト(ぶーすと)♂
夜明の相棒、またはもう一人の主人公。
やや素直ではないが基本的にはお人好し。ツッコミ全般担当。
はじめは夜明の闇鍋探しに巻き込まれる形で行動を共にするが、次第に彼女に惹かれ積極的に協力していく。
バイクで配達屋の真似事をしている。身長が低い事が悩み。夜明につけられた愛称は「ビー君」
多色系デッキを使っている。得意タイプは闘タイプが目立つ。
“五属性”
王国があった頃から存在する炎・水・草・電気・闘の五種類のタイプのエキスパート達の事。
幻のポケモンのカードの守護者。
闇隠し事件の生き残りでもあり、滅んだ王国を復興しようと密かに賞金首カードハンターの討伐や環境調査などの依頼をこなす活動している。
ちなみに少人数である団体だがエキスパート達以外の弟子も数人いる。
夜明も昔は彼等の弟子だった。今でも仲間意識の強い家族的な存在である。
・水(みず)♂
五属性をまとめるリーダー。水のエキスパート。
荒っぽい兄貴分。突っ走る傾向がある。
炎に口喧嘩で勝てない。
水デッキを使用。得意タイプは水タイプ。
・炎(ほのお)♀
炎のエキスパート。
元気たっぷりの姉御肌。母性的な面も強い。
無茶をする水をいつも心配している。
炎デッキを使用。得意タイプは炎タイプ。
・草(くさ)♂
五属性の中では最強の実力の持ち主。草タイプのエキスパート。
飄々としていて掴み所が無いが肝が座っている。笑顔が印象的。
夜明の実質的師匠である。
現在行方不明。
草デッキを使用。得意タイプは草タイプ。
・電気(でんき)♀
電気タイプのエキスパート。
つっけんどんな態度が多い、ひねくれ者。
様々な発明品を開発する発明家。
ブーストと同じく身長の事を気にしている。
電気デッキを使用。得意タイプは電気タイプ。
・闘(とう)♂
闘タイプのエキスパート。
静かで落ち着いた性格。責任感が強い。
ポケモンと共に己も鍛えている。
闘デッキを使用。得意タイプは闘タイプ。
敵勢力
・闇鍋ユウヅキ(やみなべ ゆうづき)♂
夜明の探し人。闇隠し事件の元凶。
基本、必要な事しか話さないので何を考えているのか謎に包まれている。
己の野望の為に“五属性”が所持する幻のポケモンのカードを狙う。
幻のポケモンのカードを狙いはするものの、カードハンターという訳ではない。
多色系デッキを使用。得意タイプは超タイプが目立つ。
・アンノウン鋼(あんのうん はがね)♀
闇鍋の協力者。元超タイプのエキスパート。
気が強く、やや自信過剰な性格。
元々は“五属性”の隠れた六番目、超タイプを司っていたが裏切った。
鋼・超の混合デッキを使用。得意タイプは鋼タイプと超タイプの両方。
またアンノーンを駆使した戦法も得意分野。
・虹(れいんぼー)♂
闇鍋の協力者。
冷静沈着で、どこか余裕を持っている。
根は意外と真面目。空中戦が十八番。
とことん多色系のデッキを使用。得意タイプはドラゴン、つまりは無色タイプ。
・モンスターボール(もんすたーぼーる)
闇鍋に雇われた隠密部隊。
その実態は6人の兄弟姉妹のグループ。
各人それぞれの得意分野がある。が、主に戦闘を行うのが多いのは長男。
長男はブーストのライバル。
多色系デッキを使用。得意タイプは悪タイプ。
その他
・周辺心千代(まわりあたり ここちよ)♀
ドリンクバー“energy〜エナジー〜”で働くウェイトレス。
闇隠し事件の生き残り。
店に集まる様々な噂や情報、依頼などを教えてくれる。
・有卦津華乃(うけ つけの)♀
自称“世界の受付のお姉さん”。
公式のトーナメントの司会から窓口まで、ありとあらゆる受付をこなす神出鬼没
なお姉さん。
何歳になってもお姉さんはお姉さんである。
……ウソ予告を目指したら、予告にならなかったでござるの巻。
あくまでもウソ予告なので執筆予定はありません。所詮妄想です。
ただ、前々から持っていた世界感なので登場キャラクターに見覚えがあったらこの設定がモデルだったりします。
ちなみに何故か第二部第三部設定もあります。キャラもいます。
だけど全ては虚構だ(爆
2011/02/23 Wed 20:32 [No.140]
あきはばら博士
名前:蒼山龍斗(そうやまりゅうと)
性別:男
年齢:18
性格:自分の力に大きな自信を持ち、ふてぶてしい性格。強きを認めて弱気を嫌う。やけにテンションが高い。
参考台詞:
「お前が相手か? はっ、まあいい。すぐに噛み砕いてやろう」
「ふん、抵抗力があるからと言って、油断をしているのか? それがお前の甘さだ」
「上がれっ! 上がれっ! しぶきをあげろっ!」
「ふはははははっっ!」
「だまれ!」
「頑張ったようだが、俺に勝つにはまだ弱い、分かったら素直に帰るんだな」
容姿:青み掛かった髪に長身で水色の丈の長いコートを着ている、海馬社長みたいな感じ。
使用デッキの特徴:
ミカルゲを犠牲にして素早く場を整えて、しぶきをあげるでダメカンを増やしハイドロクランチで一撃で倒していきます。力任せに叩きのめす戦法を得意とします。
素早く並べて素早く攻撃すること優先してかなり尖った構築をしているので、
特定の相手にはかなり弱いのですが、キングドラGr単体でも十分に戦えるので問題は無いそうです。
デッキトップ:キングドラGr
コンボ:しぶきをあげる+ハイドロクランチ、ウォーターレスキュー+しあわせたまご 等
役割:主人公のライバルポジション
備考:ドラゴンみたいなポケモンが好きなようだ、蒼い龍を3体融合することは残念ながら無い。
参考:デッキレシピ(DPt以降構築)
・P24
4:タッツー(L2)
4:シードラ(L2)
4:キングドラGr
2:ワニノコ(L1)
2:アルゲイツ(L1)
2:オーダイルGr
2:フローゼルGL
2:フローゼルGLX
2:ミカルゲ(Pt4)
・S11
4:ポケモンコレクター
3:ミズキの検索
2:ジャッジマン
2:デンジの哲学
1:オーキド博士の訪問
1:クロツグの貢献
・G11
3:しあわせたまご
1:たつじんのおび
1:ポケモンいれかえ
1:バトルサーチャー
1:ジャンクアーム
2:ポケモン通信
2:やぶれた時空
・E14
14:水エネルギー
2011/02/25 Fri 00:33 [No.141]
あげは
「――ねぇ、そういやもう三人は聞いた?」
その言葉から全てが始まったのか、
「あ、噂? あの風船の女の子のやつ?」
それ以前に、もう何もかもが始まっていたのか、
「………なん、で、こんな所に…」
もう、既に手遅れな程狂っていたのか。
「どうもね、その幽霊、あかい風船を背負ったみたいな女の子なんだって。背負ってるのか、持ってるのか巻いてるのかどうか解んないんだけれど、必ずそのあかい風船は女の子の背中に浮かんでるんだって」
「なんかその風船、凄くあかくって、もう『赤』って漢字で表現してもいいのかどうか解んないくらい」
「その子に出会うと、夢を喰べられちゃうんだって」
「夢を喰べられるって、色んな説が飛び交ってるんだけど…。本当の事は誰も解んない。例えば、その子が夢に出てくるとか、自分の将来の夢が解らなくなってしまう、とか」
―その場合、自分の夢って何だろう。もし “幽霊 ”に出会っても、喰べる夢が無いだろう。お気の毒だ。―
旅路に迷った少女―紫苑宮柊―
―本当に、何も覚えてないんだ。あの時何が起こったのか、俺はどうなったのか…。―
記憶に迷った少年―空月夕都―
―あんた達なんかあたしの“友達 ”じゃない。あたしはこのクラスでは“独り ”なの。“孤立 ”しているの。―
絆に迷った少女―成世愛―
―何で? どうして見つけてくれないの? 見つけないの? 見つけたくないの…?―
存在に迷った少年―樹江昴―
―どうしてだろう…。何で、誰も私の事、解ってくれないの…?―
価値観に迷った少女―真津羽夜子―
―ただ俺は、皆と一緒に笑いたいだけなんだ。―
感情に迷った少年―鷲呂原琴柱―
―……五月蠅くて、耳障りで…でもどこか、懐かしいの。―
声に迷った少女―來崎亜揺―
七人の夢の旅人達は平穏から解放され、彷徨って、迷って、歩き回る。
それは端から見れば何かを求める獣に――端から見れば、頑丈な糸で幾重にも繋がれた、只のマリオネットに過ぎなかった。
「赤でもない、紅でもない、朱でも、緋でも赫でもない。…それは、その【アカ】達よりずっとずっとずっとあかいんだ」
鍵は、「あか」と「白」。
白い白い白い楽園の少女と、あかいあかいあかい風船。
全ては、彼女の気紛れか。
只の偶然か。
偶然という名の必然か。
――夢を喰われた僕らの、懺悔の咆哮。
***あとがき
そのうち公開するかもだよ!
ベタ予告編的な物。意味不明です。
2011/02/25 Fri 23:42 [No.142]
いぬ
魔法少女系KS(仮)
主人公:
桜木心(さくらぎ-こころ):ドジだけど普通の女の子
他魔法少女たち:
・伊瀬青織(いせ-さおり):元気っ娘かつムードメーカー
・赤宮燐(あかみや-りん):ツンデレ不良少女
・緑野芽為(ろくの-めい):天然おバカ
・緑野黄花(ろくの-おうか):最終鬼畜妹、ストーリーにとっては苗字変わるかも
・雪峰空(ゆきみね-そら):保健室の住民かつ超絶無慈悲
・菊地橙子(きくち-とうこ):おっぱいおっとりおねーさん
・黒澤千影(くろさわ-ちかげ)
:ノリが良いトラブルメーカーねーちゃん
・金城日衣良(かねしろ-ひいら)
:外人じゃないのに外人っぽいかつ夢見がち
・銀月聖(ぎんづき-ひじり):クーデレ生徒会長だけど抜けてる
2011/03/01 Tue 00:05 [No.150]
あきはばら博士
…………
「…………」
………………
「……にちは……」
……だれかが、何かを言っている。
「……こんにちは」
だれ、なんだな?
「こんにちは、これであなたに話すのは何回目でしょうか?」
え?
「申し遅れました、僕はあなたをこの世界に連れてきたセレビイです」
セレビイ?
「あなたに伝えたいことは山ほどありますが、まず先程の闘い、お疲れ様です」
あ、……、なんだな……。
「何故あなた達をこの世界に連れてきたか? その理由は、この世界がどのようなものであるか? から話す必要がありますが、多分あなたは大体勘付いているはずです。だからこの場ではそれは割愛いたします、詳しくは女史から話を聞いて下さい」
はい、なんだな。
「なので、ここではドラゴン四天王のリディアでは無い、あの彼について話すことにしましょう」
リディアさん……。
「一言で言えばあの時彼女はバトルで弱った隙に意識と体を乗っ取られて操られていた、ゴーストタイプも存在するポケモンの世界のことだから、その詳細は分からないですが方法はいくらでも思いつく」
確かに、そうだなあ。
「じゃあ誰が彼女にあのようなことを言わせたのか? それは申し訳ないですが、ボクにも分からない。ですが、あの堕天才の知り合いじゃないかと感じています。彼は問題提起をしたかったのだろうと、僕は考えてます」
問題提起?
「DCはポケモン世界を守るために人間世界を襲うと言う、DMはそれはやってはいけないと言う、ボク達はポケモン世界と人間世界は分かり合えると言う。そこにちょっと待って欲しいと言いたかった」
え?
「そもそもポケモン世界なんていらないだろう、なぜポケモン世界をそこまでして残そうと思うのか、こんな存在意義の揺らいだ世界は滅んでしまうべきじゃないのか? と言う考えがあることを伝えたかったのだと思います」
僕はそんなの嫌なんだな。
「なぜ?」
ポケモンが好きだから、無くなって欲しくない。
「……ありがとうございます、うれしい。 ところでタンバ島の謎の石碑がありましたね、あれもリディアではない彼の仕業のようです、何も意味を持たない石碑を用意することで無意味を表現したのでしょうね」
そうなんだ。
「そういういろいろな考え方を知った上で、自分の信じた道をひたすらに突き進む、あなたは夢は自分で創り出すものだって大切なことを分かっていますね」
……うん。
「今の僕には応援することしかできないですれど、あなたならばあのガウリイルに勝てる気がします」
そうかなぁ……?
「次は、実際に会ってお話しましょう、それでは」
…………
……
気が付いたらベットにいたという話は大きな交通事故に遭って気を失った時なんかによくある話というがのだが、こうして異世界に来てからも体験するとは思わなかった。
「あ、あれ――……」
ぐるぐると世界が回る、悪い寝起きのときのようにひどい気分で、頭の中に変な光景が終始浮かんでは消えて行き、混乱している。
「ああ ……ええと」
マルクはベットに寝そべりながら、あやふやな記憶を手繰り寄せて、さきほど自分に起きた出来事を整理してみる。
「……確か、リアーズとリディアとの戦闘をして、辛勝して…… それから、すぐに。 気を失ってしまったんだなぁ」
未だに気分は優れないのだが、声に出したからか少しだけ落ち着いた。すると、ここは一体どこなのだろうか? とマルクは考える。
片付けられているもののそれまで誰かがそこで寝泊りをして暮らしていた生活臭のする質素な作りの部屋、そんな部屋のベットにこうして寝かせられたのだろう。部屋の造りからまだDC本部内であることはなんとなく予想が付く。
横を見ると有留がすやすやと寝ていた、先程の死闘なんてまるで無かったかのように幸せそうな寝息を立てている。レイルとミナヅキとMakotoは、いなかった。僕達はDCに捕まってしまったのだろうか? いや、それならばこんな状況になるはずも無い。となれば、考えられる可能性はただ一つ。
十分な休養が取れたのか体の痛みはそこまででもなく、マルクは上体を起こす。有留を起こさないようにそおっとベットから下りて、まずはこの部屋から出ることにした、カギが掛かっていなかったようだ、ドアノブを回し扉を開ける。
「……あ、おはようございます。マルクさん」
ドアの開く音に反応して振り向いたライチュウは、それまでの緊張から拍子抜けするような、まるで久しぶりに気の合う知り合いを見つけた時のように、軽い調子で挨拶をした。自分が知っているライチュウは2人いるが見間違えることは無い、室内だというのに礼儀知らずにコートを羽織っている――
「……秋葉さん」
マルクは、彼女の名を呼ぶ。人間世界から来た同じ立場でありながら、DCに賛同していた、有留の従姉妹である朱鷺と共に、自分達と敵対していた、あきはばら博士。
僕は、彼女に聞きたいことがあった。
「何故、僕達を助けたのですか?」
「不正解です」
秋葉は言う。
「今この場所で、その質問は相応しくないです」
相応しくない、そういう問題なのだろうか?
こう疑問を持つことに、正しさとか間違いとかあるのだろうか?とマルクは不可思議に思いつつ、素直に質問を代えてみる。
「何故、ラプラスさんに電話をしたのですか?」
「正解」
秋葉は嬉しそうに笑った。
・
2011/03/03 Thu 23:46 [No.153]
あきはばら博士
「起こしてしまうのは悪いので、ドアを閉めましょうか」
ああ、とマルクは後ろのドアを閉めた。
「まず報告から。マルクさんの怪我は意外を深くなく完治したと言えます、有留さんはほぼ無傷です、ミナヅキさんとレイル氏はバラバラになって手の施しようがありませんでしたすみません、Makotoさんは左腕の組織面が綺麗に残っていたのでうまく繋ぎ合わせて病室に寝かせてあります、病室はご存知の通りにごった返していますのでバレることは無いでしょう。フィリットさんどなんさん椎名さんジャグラーさんも別室にて保護しております、ラプラスさんはクールさんとの戦いで亡くなりました。私が把握している人はこれだけです」
「……あ、 ……分かった、ありがとうなんだな」
想定はしていたが、やはり全員生還の戦闘は難しかったようだ、できることならば誰も死なないで欲しかった。犠牲無くして結果は得られないとは言え、悔しい。
見回すと、寝室として使われていただろう先程の部屋とは違い、こちらはごちゃごちゃと大きな机に物が置かれた生活臭が漂う広い部屋だった。
秋葉はマルクに座るよう促し、ティーポットで温かいハーブティーをカップに注ぎ、それを出した。ポケモン世界のきのみをふんだんに使っているだろうか嗅いだ事の無いトロピカルな香りがするハーブティーだった。
それを少し飲んで、秋葉は静かに語る。
「ここまで辿り着いてくれて私は一安心です」
そして、もしも貴方が私の企みに全く気付いていなかったとしたら私がやってきたことはまるで意味が無かったことになるところでした、と付け加えて微笑む。
「そんなことは無いと思うんだな」
「ふふ、そうでしょうかね? ではまず、話を早めるために。 朱鷺さん、出てきてください」
呼びかけられて奥の部屋から現れたのは、1匹のトロピウスの仙桃朱鷺だった。有留はこの事実に気付いたら、なんと言うのだろうか? いや、既に気付いているけれど、認めたくなかっただけだったろうか?
「…………」
「…………」
「…………」
「……あ、朱鷺さん喋ってもいいのですよ、マルクさんは全部すでに知っているのですから」
「ええっ! いいのですか? こんにちは、マルクさん! 朱鷺です! 前は攻撃してすみませんでした」
「こんにちはなんだな」
元気溌剌にはしゃいだような声、この前攻撃した時の怪我は無いかとか体は大丈夫かとかを細かに心配してくれる言動から、マルクは朱鷺は操られているわけではないことを暗に確認した。
「さて、では先程の質問に答えるとしましょう。ラプラスさんにあのような電話をした理由。それを語るためには私がポケモン世界と人間世界をどうしたいかを説明することから始めましょうか――」
秋葉はマルクにした話、それは大体次のような内容の話だった。
ポケモン世界は崩壊への道を進んでいた。
そもそもポケモンとは150匹しかいなかったはずが、それが急激に膨らみ、どんどん数が増えて、あっというまに世界各国まで広がっていった。
そうした目まぐるしい時代の流れで、このポケモン世界はパンクしそうになり、徐々に崩壊に向かっているらしい。
ガウリイルはそうしたこの世界の危機を救うために、人間世界へ侵略することで自分達の世界を生かそうとしていた。
そのための準備として、ポケモン世界と人間世界を接合させて、人間世界側の協力者として秋葉さんを呼んできたらしい。
彼女は最初はその計画に大いに賛成だったのだが、囚われたセレビィの恋人と出会い、人間世界とポケモン世界を結ぶ原理を示したあの論文を詳しく調べていくうちに、一つの可能性を思いついた。
『ポケモン世界と人間世界を繋ぎ、2つの系を平衡状態へと導いて行けば、ポケモン世界の膨張は安定してすべてが上手く行くかもしれない』 と。
彼女はそれをすぐにガウリイルに提案したが、ガウリイル曰く「それはできない、2つの異世界は決して混ざり合えるようなものじゃない」と否定をした。
しかし、彼女はそれまであの世界に生きていたからこそ、少しずつであっても必ず交流ができると確信を持っていた。人間達はこのポケモン世界を受け入れることができると思っていた。
かくしてセレビィ♂と共に協力して、ガウリイルには秘密裏に自らの計画を推し進めていくことになる。
したがって掲示板の人たちをこの世界に連れて来たのは、DMでもDCでも無く、彼女達の仕業だった。
「連れて来た人間達にDCと戦ってガウリイルを倒して欲しい、そのためには人間同士で団結して貰わなければならない、だから私はやってきた元人間の中で年齢が高くリーダーシップがありそうで、通信機器を持っていたラプラスさんにアプローチを掛けることにしました。
ラプラスさんはよく働いてくれました。想定以上に働きすぎた感じもありましたけど、そのおかげか私の計画の良いミスリードとなってくれて良かったです」
と、秋葉はあの質問に対して答える。マルクはその話に少し眉をひそめた、人の存在をただの駒として見ている、人の気持ちが考えられないそんな人間なのかと。
「私からも質問をしますが、 何故、私があの電話の主だということが分かったのですか?」
「ああ、それはなんだな……」
その世界に来たばかりのラプラスさんの名前だけでなく性格を知っていたこと、まるで人間世界での彼を知っているかのようだった、つまり掲示板の誰かということ。
あとは消去法だった、そして実際に出会ったときに確信に変わった。マルクはそう答えたあと、質問を返す。
「秋葉さんは、なんでDMにつかなかったのだな?」
DCを倒したいならばDMに裏切って真っ向から対峙すれば良かっただろう。DCを内側から崩壊させて行くためにDCに残り続けていたとしても、疑問が残る。
彼女が本当に内側から工作していたならばトップは死に本拠地も倒壊して、DMはあんな状態になるはずは無いのだ、彼女は語る。
「DMはポケモン世界が崩壊することを受け入れているからです、私はポケモン世界は無くなって欲しくないですから。DMに就くのはまっぴらです」
滅び行くポケモン世界、それを自然の流れや運命と判断して、他者を傷つけてまで運命にあがなうDCに反対して、対立していたDM。
滅び消えて無くなるものになるとしても、みんなの大切な“夢”として記憶に残り続ける、そんな『夢を作り出そう』とは言いますが、それは全く作ることじゃないと彼女は言う。
「夢とは実現させるものです。残り続けるようなものじゃないと思うのですよね」
「確かに明晰夢という単語もあるくらいだなぁ」
DCと、DMの、2つの受け入れられない思想をぶつけ合わせて共倒れさせて、自分の思想だけを実現させる。狙ったことは漁夫の利のそれであり、結果的にそれをもう少しで実現させようとしている。
あっぱれであるが、やっぱり卑怯で卑劣だ。ポケモン同士が悩み決めていくべきポケモン世界の問題だというのに、ポケモンで無い存在がしゃしゃりでて、無理を通してしまう、それは許されざることだろう。
「……何故、秋葉さんは何も言ってくれなかったんだな?」
マルクは問う。
最初から自分の計画を元人間達に説明してくれれば、無駄にDMとDCが争いたくさんの死者を出してたくさんの悲しみが生まれることも無かった。もっと平和的な終わりもあったはずなのだ。
運良く自分は彼女の野望に気付くことは出来たが、誰も気付くことが無く秋葉も朱鷺も亡くなってしまえば、その野望は何も意味を成さず最悪な結果になる。これは簡単にそんな結果になってしまう。
「この計画は、ただ人を集めればいいというわけじゃない、この計画を十分に理解して何をすればいいのかちゃんと把握できる人を集めて伝えないといけない、慎重に事を進めないと失敗に終わってしまう、カールさんやガウリイルさんには既にばれていましたがちゃんとした証拠が無い限り彼らは私に手出しが出来ない、とはいえ同時にそれは私も自由に動けないということ。だから、その時が来るまで分かる人にしか話すつもりは無かったのです」
彼女はそこでハーブティーをもう一度飲んで、しみじみに語る。
「ヒントは十分にあったはずです。このポケモン世界とは何かを真剣に考えてくれる賢い人は必ず私へ辿り着くはずですから、そんな人を私は選びたかったのです。 でも、残念ながらマルクくん一人だけという結果でしたけど」
「そんなことは…… 無いんだなぁ……」
ヒントなんて全くヒントになってなかったし、自分じゃ絶対に真相にたどり着くことは不可能だった。
マルクは一人の関西人風のツッコミ気質で元気一番な元人間の彼女を思い出す、自分ではなく彼女ならばあの歌姫との雑談をした時点で看破していただろうと思う、その証拠に真相への仮説は既に長老との謁見後の時点でほとんど彼女が完成させていた。
本来ならこの場所で秋葉と話しているべき元人間は彼女であるはずだった、自分がこの場所にいるのはたまたま彼女から話を聞いていただけに過ぎない。
「そんなことありますよ」
秋葉は言う。
「マルクくん、貴方はすごい」
「…………」
「マルクくん、私と一緒にガウリイルと戦ってくれませんか?」
「はい」
その短い返事を聞いて秋葉は床に置かれた箱の中から取り出した『ふといほね』を投げ渡し、マルクは静かにキャッチした。
リアーズやリディアとの激しい戦いで真っ二つ折れて使えなくなった『ふといホネ』は、いろいろな金属で綺麗に修復をされた上に金色に鍍金されていた、長く太く大きく、重みとがさらに増した『ふといホネ』はマルクの掌にしっかりと収まる。
「ありがとうございます」
秋葉は朱鷺に指示をおくり、早速最終決戦への準備に取り掛かる。
たくさんのひとを悲しませてたくさんのものをなくしたけれど、マルクは秋葉のことを恨んだり悪く思うことはしなかった。
2011/03/03 Thu 23:48 [No.155]
氷河期の賢者
男は言った。いっそ死んだほうがマシだと。家族も、住居も、宝物も全て失った男は言った。生きているほうがつらいと。
男の目の前で、大事な人、物は全て消え去ってしまった。男に別れも告げず、何も抵抗せず、否、できず消えた。
男は家族に責任があるとは考えなかった。自然のことだから、それはそうなのだが、男は自分を責めてしまっていた。家族の窮地に、ただ立ちすくむことしかできなかった自分を。助けようと思い立っても、一歩を踏み出す勇気が出なかった自分を。
男は泳げるはずだった。男は力があるはずだった。男は速く走れるはずだった。でも、動くはずだった体の筋肉が、全く機能しなかった。結局心の問題で、体は脳の指示で動く。脳は心のほうを優先し、その弱気な性格から、躊躇を生んでしまったのだろう。
男の周りの人物は優しかった。落ち込む男に、「君の責任じゃない」だったり、「こればっかりは仕方がない」というような励ましの言葉をかけてくれていた。男を責める者はだれ一人としていなかった。
だが男にはそれが苦痛であった。
男には皆の励ましが、自分の気持ちを理解しようとしない行動に思えてしまったのだ。だから、皆の思いを素直に受け取ることができず、一人でふさぎこんでしまうのだった。
男は自分が今、なんという言葉をかけてほしいのか分からなかった。自分のことは自分が一番わかるというが、全くそんなこともない状態だった。ただ一人で疑心暗鬼になるしか、男のできることはなかった。否、ないというのは間違った表現かもしれない。男は「できない」状態なのだろう。
男は、建物の陰で小さく座り込んでいた。その姿は、親が共働きで、帰りを待つ子供の姿とは似ても似つかなかった。もう、男の待っている人はいくら待っても帰ってこない。そんな世界に逝ってしまった。
だが、男は忘れていた。
男と同じ思いをしている人は何人もいる。男と同じ目に会った人は何人もいる。男以上の被害にあった人もいる。
そして、同じ思いをした者たちで、つらさを、悲しみを共有できるということを。
悲しみは、自分の中でため込めばくすぶり続ける。でも、それを少しでも吐き出すことによって、共有することによって、それは和らぎ、自分たちの目指すべき道が、見えてくる。光が、見える。
ただ、人はそのことに一人では気付けない。誰かが手を差し伸べなければそれに気付けない。男も同様であった。男は家族を失って以来、たった一日とはいえ、他人との接触を避け続け、心の中に悲しみをため込んでいた。
確かに、ただただ悲しみにくれ、涙を流すことも必要だろう。家族を弔うことも当然だ。
だが男はもはや、生きる希望すら失いかけていた。家族の分まで生き続けなくてはならないのに、自分ができることを見失い、自暴自棄になってしまっていた。
女もまた、大切な人を失った。女は、十年来の親友を失った。
女は助けようとした。実際に行動も起こした。
だが敵わなかった。敵うはずもない。女はいかに人間という生物が無力かを思い知った。
だが、女はめげなかった。ここでめげて、ただ絶望するだけなら、自分勝手だと思ったからだ。女は身体的には元気だった。だからできる限り動いた。心酔しきった人々を慰め、同じ悲しみを共有できる空間を作った。
女も本当はつらかった。一人でずっと泣いていたかった。でも女を突き動かしたものは責任感。もっとひどく、悲しい思いをした人がいる――そう思ったから、今は悲しみをこらえ、助ける側に回っているのだ。
女は、建物の陰に座り込む男を見つけた――
「大丈夫ですか?あちらに施設があります。家族を亡くした方がたくさんいらっしゃいます。あなたも是非」
男は何も答えなかった。
「そこでふさぎこんでいても、何も変わりませんよ」
女がそう言った瞬間、男は勢いよく立ちあがり女の胸倉を掴んだ。
「わかったようなこと言いやがって……いいじゃねえかもう!俺もいっそ死んでしまえば……」
「違う!それは絶対に違う!私たちはそうなってはいけない!」
「なぜだ!?俺たちが悲しみにくれて何が悪い?俺たちはそうするしかないんじゃないのか?なあ、どうなんだよ、なあ!」
「違うわ。私たちは死んではいけない。亡くなった人の分まで生きなければならない。ただ生きるだけじゃない、輝かなければならない。そして、一人で悲しみを抱え込んではいけないのよ。みんなで分かち合うのよ」
「お前は人ごとだろうが、俺は大切な人がいなくなったんだ!偉そうなことを言うんじゃない」
「私も親友を亡くしたわ」
男の表情がこわばった。男には想像しきれなかった。女の精神力を。
しかし男は察した。女は強い気持ちを持とうと必死だった。自分が甘い気持ちでいるわけにはいかなかった。
「そうだ、俺もできることがある」
「そうです。できるんです。私たちには、できることがあるんです。絶望なんてない。私たちが持つべきものは、希望」
日本中が、希望を持つ。未来への、希望を持つ。
確かに強大な敵を相手にする。けれど、みんなが希望を持てば――できることを探せば――
「ねえ、何か私にできることはない?」
「あたちもあたちも!これ、おかね!」
「あ、まってよう!ぼくもぼくも!」
「おかあさん、つかわないでんきはけさないと」
「これでみんなしあわせになるよ」
「そうね、みんなができることがある。あなたたち子供にもできることがあるのよ」
「おかーさんは?おかーさんはどうするの?」
「お母さんはね、これを送るの」
母親は押入れからガサガサしたものを出した。布団だ。
「これ、つかってねたことある!」
「そうよ。これが役に立つ。あなたたちのような子供でも、何かできるのよ!」
「やったあ!」
日本中が、宮城に願いを届けている。一人でも無事でいてほしい。また復活してほしい。被災地の復興を迅速に、原子力発電所の被害を食い止めて――
さまざまな願いが交錯している。その中に悪い願いなんてない。みんないい願い。今、日本には善意のエネルギーがあふれている。
僕たちにできることはなんだろう。それを探すこと、その行為から始めよう。まずは探そうじゃないか。僕たちにできることを。
2011/03/17 Thu 20:41 [No.187]
ゆな
「アイテム整理したいが、人手足りんなこりゃ。ってか誰だこんだけ倉庫にガラクタ色々ぶち込んだ奴!」
「ワリオだって事はマリオが一番分かってるでしょ」
「怒鳴らないとスッキリしねーような状況だから許せ。俺だって分かってる」
「確かに……。どんどん人増えてるから、きついもんね」
「マリオー、どうするのー? フォックスよぶー?」
「フォックスは今日試合だから呼ぶのは無理だ。居間にでも行きゃ、誰かいるだろ」
「そだね。あ、お菓子ある?」
「この前どっかの誰かさんが食いすぎてピチュー泣かせて、こいつがすっげぇ怒ったの忘れたか」
「……我慢も覚えようね、カービィ……」
「ゴメンナサイ、だから二人とも怒らないで」
(居間に移動)
「さーてと誰か……おっ、緑頭のリンク発見。あいつでいっか、色々力持ちのアイテム持ってるし」
「それじゃ呼ぶね! おーい、リンクーッ!!」
「あ、カービィ待った! 迂闊にやると……」
「ん? 何だ、カービィ」
「何々、どうしたの?」
「オイラに用事ー?」
「どうかしましたかー?」
「……リンク全員集合になっちゃうから、って遅かった……」
「や、ややこしいよー!」
四世代リンクを呼ぶ時、全員集合になっちゃったの巻。上から時オカ・子供・トゥーン・トワプリです。
実は二次創作では中々見なかったりする任天堂の顔たるマリオ・リンク・カービィ・ピカチュウの四人組。代表なので仲良し希望。
自分の気まぐれで落とすスマブラは大体こんなお話。
■
「ねーねー、明日ね、あたし乱闘なのー」
「わーったからいい加減にしろ! これで何回目だ、お前」
「ぷーっ、まだ五回しか聞いてないでしゅ! だからそんなウンザリした顔しないでよー!」
「何度も聞かされればウンザリするに決まってるだろ! 言いたい事あるならとっとと言え!」
「応援に来て!」
「寝る。明後日から任務なんだよ」
「ぷーーーーーーっ!! 見に来て見に来て見に来てってばー!!」
「だああああ! やかましい、耳元で叫ぶなーっ!!」
「やーだー! ファルコに見てほしーんだもーん!!」
「前に見てやっただろうが! 一回ぐらい見逃せ!!」
「やだやだやだーっ!!」
「この我侭風船がーーーっ!!」
「あ、あのアレ止めないの……?」
「リュカは初めて見るのか、アレ? 大丈夫大丈夫、前回の時からの恒例行事だからさ」
「こーれいぎょーじ?」
「そっ。ファルコの奴、何だかんだ言ってプリンの試合はちゃんと見てるんだよ。俺から言わせれば、痴話喧嘩」
「へー、そうなんだ」
「偶に愚痴ってくるんだが、大抵それは心配やら悪い虫がつかないかなどの裏返しなんだよなぁ。本人自覚あるんだかないんだか……」
「……疲れてるならライフアップかけようか?」
「……ありがとう。でも多分無駄だから良いよ」
ファルコ×プリンはスマブラの中でも大好きなんです、はい。
クール気取りのツンデレとちょっと幼い我侭っ子なのがツボなんです、はい。そしてフォックスはとばっちりを食らえばいい。
■
「あっ、アイクが肉目掛けて走っていったわ」
「確かあそこってスネークが地雷仕掛けてなかったか?」
「してたみたいね。踏んじゃって、見事ぶっ飛んだわ。アイク、次やられたら終わりね」
「だな。今のところ一番生き残ってるのはドンキーだけど、一番吹っ飛びやすい……か」
「散々回復アイテムとられてるからね。あら、ハンマー落ちてきたわ」
「我先にと取りに行くな、みんな……。おっとガノンが取ったか」
「でもハズレ。見事頭がすっぽぬけちゃったわね、魔王なのにかっこ悪い」
「大乱闘だからその辺は仕方ないだろ。お前も甲羅でぶっ飛ばされた事があっただろ」
「そういうあなたは最後の切り札で誰も捕まえられなかったり、ね」
「……まだ根に持ってるのか、最後の切り札奪い取って逆転勝ちした事」
「昨日の事だもの、忘れるわけがないわ」
「あまり怒らないでくれ。お詫びにファルコンハウスで好きなの作ってやるから」
「あら、それじゃヨッシーとカービィも連れていっていいかしら?」
「……私を過労死させる気か、サムス」
「冗談よ、そこまでする程外道じゃないわ。ってあら、そうこうしてる内にドンキーとガノンが吹っ飛んだわね。スネーク?」
「スネークだな、上手くハンマーの頭使ってやったみたいだ。……アピールしてる間にアイクにやられてどうする」
「あるある。絶好の隙なのよね、アレ」
「だけどやってしまうんだよな、どうしても」
「ちょっと癖になってるわね。……でもスネーク、何でダンボールばかりなのかしら」
「メタナイトとルカリオと会った時もダンボールに隠れてたって聞いたぞ」
「好きなのかしら」
「好きなんだろ」
ファルコンとサムスの乱闘傍観。この二人のカップリングも好き且つ本命だけど、キャラ設定がしづらいのが難点。
ちなみに乱闘で勝ったのはドンキー。スネークが最後の切り札による無双をやらかしましたが、一番残機のあるドンキーがギリギリ生き残った際に道連れ自殺しました。
2011/03/18 Fri 00:32 [No.192]
ゆな
「ほんの小さな好奇心と恋心、それが全ての始まりだったのです」
たった一人の無垢な少女は何も悪くなかった。ただ彼女は、ひたすらに運が無かったのだ。
「人魚の国ぃ? 何だそりゃ」
「ほれ、東の異人達が暮らす日ノ国は通称そう呼ばれてるんだよ。何でも人魚の肉食って不老不死になったババァが象徴なんだとよ」
「おいおい、どんな御伽噺だそりゃ! それに人魚なんて易々食えるかってーの!」
「確かになぁ。あんなべっぴんさんを食おうって発想の方がやべぇよ」
「ちょっとちょっとー! 人魚話は良いけどさー、そろそろ船動かす用意した方がいいわよー!!」
「は? いきなりどうしたんだい、赤いお嬢ちゃん」
「モンスター警報ー! クラーケンがこっちに来てるのよー!!」
「「はぁ!?」」
物語の舞台は東にある島国こと日ノ国、通称<人魚の国>と呼ばれる場所。そこに降り立つ様々な思惑を持った者たち。
「雷属性の武器を買ったかいがあるってもんよ! おかげで海産物モンスター全滅ウハウハね〜」
「でもハルカは炎属性、水には注意してください。ハルカに何かあったら、私……」
「心配しすぎよ、セイナ。あたしは最強って言われるぐらいの実力をもってるし、魔法の強いあんたもいる。だから絶対大丈夫!」
「は、はい。でもこの地には……おかしな魔力が充満してて……」
「おっ。ってことは水系モンスターの大物がいるってわけぇ?」
突然急増したモンスターを狩りに来た冒険者。
「さすがは英雄だな。お前の名前、こんなところでも売れている」
「女王陛下が宣伝やりまくったからじゃないかな? あたしはそんなに凄い存在じゃないのに」
「だが帝国騎士団代表として、急増したモンスター討伐の助っ人として来たんだ。そこは胸を張れ」
「ありがと、セツナ。でもそれより気になる事柄がいくつかあるんだけど……いい?」
「言ってみてくれ。ネイリの勘は良く当たるからな」
異常事態解決の為、派遣された帝国の戦士。
「おいおいおい、あのガセネタマジっちゅーわけか!?」
「そういう事だ。俺としては国がどう傾こうが知ったこっちゃないが、こいつはきついな……」
「帝国軍の代表がおるから、その情報高く売れるかもしれへんけど……下手にやったらわい等が死ぬで、レオード」
「分かっている。だが成功すれば大儲けできるのも事実だろ、マヨ」
「……この金の亡者が……」
己の欲望の為、国を揺らがす情報を得る商人。
多種多様の思惑が絡み合う中、人魚の国の姫君と出会う事になる。
「いっだああああ!? 何よ、あの鳥モンスター!! このあたしをお寺なんかに叩き落とすなんて、根性腐ってるわ!!」
「あ、あの……」
「何!?」
「貴方様が、わたくしの婿様でございましょうか……?」
「……はい?」
国の未来を背負う運命を抱く姫・スズネ。
ふとした事での“彼”と“彼女”の出会いが、人魚を巡る大きな物語へと転移していく。
「ツッコミ、入れてもえぇか?」
「散々あたしがつっこんだ後だけど、気が済むならどうぞ」
「……なんで、なんで絶世の美姫が……男やねええええええええええええん!?」
「背の高さと声の低さ無かったらアレ騙されるわよねー……。少なくとも外見だけじゃ騙されるわよ」
「やばい、ツッコミ追いつかん! どっからつっこめばえぇか分からん!!」
「とりあえず落ち着いたらどうなの、亡霊もどき」
「スズネさん、城下を見るのは初めてなんですか?」
「はい。わたくし、ずっと社の中で育ってきましたから見るもの全てが新鮮なのです」
「そうなのですか。だったら楽しみましょう、私もこの国に来たの初めてなんです」
「ふふ、それじゃ始めて同士一緒に見てまわりましょう」
「……傍から見てると姉妹の会話だな。片方、男の筈なのに」
「姫をぉぉ!! はよぉ姫を取り戻せぇぇぇ!! あれはわしの、わしの大切な神子よぉ!! あれがなければ、わしはわしはあああ!! げふごほがふっ!!」
「国主様、落ち着いてください! だ、誰かー!!」
「……ひっでぇ取り乱し……。よっぽどお姫様が大切なのか?」
「それだけ、ならいいんだけどね」
「……何?」
この時、彼女達は知らなかった。スズネ姫本人も含めて。
日ノ国にとって、人魚がどういうものなのか。そしてスズネ姫の真の立場を。
「人魚の肉が不老長寿であったり、不老不死であったりするという噂があるのは知ってる?」
「……知っている。そして嘘と真が混ざってしまったが故に曖昧になってしまった事もな」
「何処が嘘で何処が真?」
「お前はどう判断している、ネイリ・グレンベルグ」
「遠回しな答え方をするなら……スズネ姫という存在そのものが答えであり、望み。そして妄想の果て。どうかな、行商人さん?」
「なるほど。どうやら俺とお前は、同じ答えにたどり着いているようだ」
「何故婿様が殺されなければならないのですか!? 婿様の身に何かあったら、わたくし……」
「代々の姫様はこんな事なかったって言ってたわよね。大体が許婚と結婚してるか、あたしみたいな例外とこの国で結ばれているかのどっちかだって」
「は、はい! その通りです!!」
「……多分あたし達、向こう側の結婚条件に当てはまっちゃいけない最悪の事をやらかしてるかもしれないわね。こりゃ、とんでもない陰謀に巻き込まれたかも?」
「こちらとしても小娘を傷つける趣味は無い。だから引き下がれ」
「……嫌です。ここで逃げたら、あなたはハルカとスズネさんを捕まえにいきます。だから引き下がりません」
「全く子供はこういう時馬鹿に頑固だから困る。……出来る限り手加減はしてやるから、程々のところで逃げてくれよ」
「ここで逃げたら、女が廃ります。堕天使さん、あなたが逃げてください」
「……俺が相手でよかったな、お前。これが“ヒーロー”だったら、問答無用のフルボッコタイムになってるぞ」
日ノ国の王家と人魚の肉。切っても切れない絡んだ縁に結ばれたこの二つを巡り、異国の者達は大きく振り回される。
だがその上で、彼等は様々な理由で真実を見つける為に走りゆく。
そして
「貴様が鈴音姫様を浚った南蛮人だな」
「あんた……人間、いや、魔物……!?」
ハルカの前に立ち塞がるのは、化け猫のくノ一でありスズネ姫の護衛であるゼン。
「中々やるじゃないの、猫女。少なくともこのあたし相手に互角にやりあえたの、あんたぐらいよ」
「……ただの怪力馬鹿だと思っていたが、それは訂正するとしよう。貴様、名は?」
「世界最強クラスの美少女剣士、ハルカ・ファルカス様よ! 猫女、あんたは!?」
「本来ならば言ってはならんが……今回だけは特別だ。我が名は日ノ国の姫鈴音様に仕えるくノ一、漸。これより貴様を倒す者の名前だ、脳裏に刻み付けろ!」
「上等! あんたの真っ黒な体、灰まみれにしてあげるわっ!!」
東の異国にて、人魚を巡る物語が奏でられる。
その最中、炎の女剣士は運命にも似た好敵手を手に入れる事になる――。
嘘予告:タイトル未定! うん、自重せずに遊びました!
■
オマケ
「片や炎の巨大剣と無駄な体力、片や無限に出てくる手裏剣にクナイ……。全く正反対だな」
「でもアレって、帝国の天使さんも出来ませんでした?」
「帝国の烏がやってたのは魔力での擬似武器に過ぎない。だがあいつのは武器そのものを生み出し、実体化させた上で自由自在に操っているんだ」
「つまり烏のはリリカルマジカル的感じ、猫のはハガレン的感じ。これで分かる?」
「あ、はい。なんとなくつかめました」
「……あの、行商人様。婿様と漸の戦いを止めないのですか……?」
「人知を超えた女同士の戦いに首突っ込んで死んでたまるか」
「アレに首突っ込めるとしたら、帝国のヒーローだけやろ。わい等じゃまず死ぬ」
「妨害したら後が怖いのでやめておきます」
「セイナちゃんまで!?」
首を突っ込む勇気のある者はあんまりいないようだ。
2011/03/21 Mon 01:04 [No.196]
ゆな
ハルカ・ファルカス
天上天下唯我独尊、世界は私の為にあるを地でいく俺様ガール。胸はまな板。炎魔法の使い手。
最早鈍器としか言いようが無い巨大剣を使用する赤い出で立ちの女戦士。お宝求めて冒険をしている。あまりに豪快な戦い方をしているので、見てる人は結構冷や冷やもの。
豪快な姐御肌である一方、若干ツンデレ。傍若無人である為、他人の都合はお構いなしだが面倒見はそれなりに良い方。年下には優しい一面を見せる。
日の国に訪れた理由は日の国特有のモンスター狩りをする為。またダンジョン探索も目的の一つ。
事故で人魚の社に落ちてしまい、そこでスズネと出会ってしまった事から物語は始まる。
セイナ・グローデッド
無口で表情を出すのが苦手。ハルカのツッコミ役であり、妹のような子。ゴスロリドレス着用。
七歳にして魔法の天才であり、ハルカのサポートができる。また彼女の影響で色々と図太いところがある。
シャイで人見知りしやすいが、懐くととことんくっつくタイプ。ロリコンキラー。彼女に手を出そうとしたら、姉が黙っていません。
全属性の魔法を使用することができる為、魔法では敵無し。ただし戦い方に気をつけないと、七歳なのであっさり負けてしまう。
スズネ(鈴音)
人魚の血筋とされ、神社の中で監禁されるかのように育てられた隠し巫女。今作ヒロイン(男の娘)の一人。
一見長身の女にしか見えないが、実際はれっきとした男。ただし女以上に女らしい。
女以上におしとやかで丁寧、世間知らずの天然。また礼儀を重んじたり、婿に一筋だったりとズレてる場面が良く見える。
世界を何も知らない故に世界そのものに憧れている。その為、初めて出会った外の人間であるハルカを婿様と呼んで慕っている。
強い魔力を保持しており、水魔法の使い手。人魚の血を思わせる癒しの力は絶大。
ゼン(漸)
スズネに仕える猫の獣人である忍び。今作初登場にして、ハルカの好敵手となる。
黒猫の耳と尻尾が生えている以外は普通の少女に見えるが、かなり凄腕のくノ一。ハルカがパワーとスタミナなら、ゼンはスピードとテクニックでの強さ。
物静かで冷静に見えるし、本人もそう思っているが実際は頑固者で己の考えが食い違うと苛立ちを感じる性格。一方で己の理想どおりな事が起きると上機嫌になるなどと、分かりやすい。
色んな意味で嵐を巻き起こしたハルカの事を嫌っており、彼女に対してのみ露骨に態度が変わる。そこ、ツンデレっていうな。
金属性の魔法を使用し、武器を練成して投げまくるという反則的な戦い方が出来る。
ネイリ・グレンベルグ
帝国の“ヒーロー”と呼ばれる女戦士。世界一有名なヒゲオヤジを連想させる格好をしている。
明るく純粋且つ天然といった様子だが、実際は敵味方キッチリ別けて容赦しない根っからの戦士。また頭も回るため、見かけでは全く判断できない。
主君である女王陛下の命令には絶対逆らわないし、また己の信念と目的の為ならば真っ直ぐに突き進む強さを持つ。それは裏返すと、立ち向かう敵にどんな事情があっても容赦しないという修羅の一面がある事を示している。
星を利用する魔法の使い手。様々な格闘技を使える為、素手で戦うのはお勧めしない。こちらはバランスタイプの戦力を持つが、一番恐ろしいのはブレない精神面。
今回人魚の地に訪れたのは、人魚伝説の真実を探る為+海を荒らすモンスターの真相を調べる為。
セツナ
ネイリの相棒である堕天使。黒衣を身に纏っており、黒い翼を生やしている。銀髪の赤目。
クールでぶっきらぼうだが、図星をつかれると慌てる等と少し抜けてるところがある。ネイリよりは情に絆されやすい。
帝国に直接係わり合いがあるわけではないが、ネイリとの付き合いは長い。その為、ネイリの性格を誰よりも理解している。
闇魔法の使い手で、赤い光から武器を生み出す力を持つ。その場その場に合わせて戦闘スタイルを変えるネイリとは異なるバランスタイプである。
レオード
ぼったくりの行商「猫旅堂」を営んでいる猫の獣人。ニャースではない。
達観的な傍観者、利己主義で他人はどうでもいいと言い張る金の亡者。滅多に大声を上げないし、動揺しない。
薄汚れたマントとノースリーブのシャツを着用。獣人らしく猫の耳と尻尾が生えているが、顔はそれなりに男前。
魔法そのものは苦手だが、得意分野は風。逃げ足が異常に早い。戦闘では一応スピードタイプだが、紙装甲。
マヨ
レオードの相方であり、東の国と西の国のハーフ。ヨマワルではない。何故か関西弁。
明るいムードメイカーで他人と良く会話できるが、こちらも自分さえ良ければ良い口。貧乏くじを引きやすい。
着物を望んで身に付けており、その様はレオード曰く「遊び人」そのもの。趣味で骸骨のお面を斜めにかぶってる。
珍しい霊属性の魔法が使えるけれど、戦闘は苦手。逃げ足が異常に早い。戦闘では魔法使いに値するが、攻撃魔法の数が少ない。
2011/03/21 Mon 01:08 [No.197]
ゆな
・衝動のままに描く嘘予告ピックアップシーン
・第一弾はハルカとゼンの邂逅。
・状況は日ノ国の追っ手(帝国に所属してる二人含めて)をどうにか回避し、深い森林の中にある洞穴に避難中。
・でも文章が長すぎて、区切る羽目になりました。
■
先ほどとは打って変わり、不気味な静けさが支配する暗闇の森林。風に揺られて、木々がさえずる以外の音は何も無い。
森林の奥の奥の更に奥、一目では分かりづらかろう死角にある崖下の洞穴。その中でレオードは猫の耳を立て、右腕を上げたまま目を閉じていた。彼の右腕には渦を描くような紋章が浮かび上がっており、水色に発光している。それに呼応しているのか、右腕には終わる事無くそよ風が幾度と巡り、その影響で彼の髪と服が揺れる。
心配そうに見ているスズネ、スタミナ切れ状態のマヨ、スズネの膝に頭を乗せて横になってるセイナを庇うようにハルカは前に出て、小声でレオードに状況を訪ねる。
「どう、レオード」
「……まだこちらには気づいていないようだ、探せ探せって騒いでいるわりには間抜けだがな」
「つまり?」
「この付近にいるのはモンスターと動物程度、ここなら暫くは誤魔化せるって事だ」
そう言いながらレオードは右腕を下げる。同時に腕の紋章は消滅し、耳もぺたんと下がる。
彼がさっきまで行っていたのは風魔法の一種で、そよ風を広範囲に巡らせる事で辺りの敵がどうなっているのかを探る代物だ。これにより追っ手に見つかっていない事が分かり、ハルカは一安心しながらもきつい口調で問う。
「魔力はちゃんと節約したんでしょうね」
「安心しろ、追跡される量は出してない。それより蓋をしろ」
「分かったわ。……セイナ、出来る?」
レオードに頷いた後、ハルカは振り返って横になったままのセイナに訪ねる。セイナは返事する代わりに、腕を上げて入り口を指差す。すると地面から大きな岩が音も無く生えてきて、すっぽりと入り口を覆い隠した。
それに続けてハルカが片手を挙げ、己の手の上に小さな炎を出現させる。炎はふわりと浮かび上がっていき、洞穴の天井近くで止まると全体を照らす灯へと変貌した。
ぺたりと腕を下ろし、セイナは息を切らしながらハルカに訪ねる。
「これで、いいですか?」
「良くやったわ、ありがと。後はゆっくり寝なさい」
「はい、ハルカ……」
スズネの横に座り込み、ハルカは彼の膝枕で眠るセイナの頭を優しく撫でる。その心地よさを感じながらにこりと笑った後、セイナはそのまま目を閉じた。
スズネは事切れたような様子に思わず声を出してしまうが、ハルカが彼の肩に手を置いてフォローする。
「セイナちゃん!」
「大丈夫、気を失ってるだけ。寝てれば回復するわ」
「帝国の烏相手にやりあった後だ、無理も無い。……蓋をする助力があっただけマシだ」
「あんた達が遭遇した烏ってどんな奴だったの?」
壁に背をもたれかかせ、腕を組むレオードの言葉を聞いてハルカは顔を上げる。
スズネとレオードはセイナと共に逃げていた際、遭遇してしまった帝国の追っ手の特徴を話す。
「漆黒の翼を生やした黒衣の男です。銀色の髪と赤い目が珍しくて恐ろしく感じましたが、思ったより優しいお方で……」
「戦闘に徹してたのがセイナだったのが理由の一つだろ。明らかに子供って理由でしり込みしていた」
「それ、鳥の獣人?」
「いや、恐らく天使の亜種だ。魔力を武器に変換して戦うなんざ、生まれつき魔力の高い天使にしか出来ん」
「げっ、セイナ相性悪いじゃないの!? 大丈夫だったの?」
「奴さんから見逃してくれた。子供を苛めるのは趣味じゃないって理由でな」
「ヒーローじゃなくて良かったわ、ホント。……で、そっちの亡霊もどきは何が理由で死んでるの?」
セイナが戦った帝国の追っ手が子供に甘い性格の男で、良かったと安心するハルカ。これがヒーローと呼ばれているネイリ・グレンベルグだった場合、目も当てられない事になってただろう。
心底運が良かったと思いながらも、別行動をしていた筈のマヨがセイナ以上にくたばってるのを横目で見てハルカはため息をつく。
いまだに息を切らし、くたばったままのマヨにスズネは心配そうに声をかける。
「あのマヨ様、大丈夫ですか……?」
「無理、死んでる……。何でよりにもよって、あの帝国の英雄さんが出てくるんやっちゅーねん……」
「うっそ、ネイリ・グレンベルグとやりあったのあんた!?」
「ドァホォ! 死ぬ気で逃げまくったに決まっとろぉがあああ!! わいがあいつとやりあうなんて、自殺志願通り越して破滅しかあらへんわ! 誰が好き好んでドラゴン以上の化け物とまともにやりあうかっちゅーんじゃ!!」
「やかましい! セイナが起きるだろうが!!」
「ぐへぇぇぇっ!?」
勢い良く体を起き上がらせ、ほぼヤケクソ状態の逆ギレモードで怒鳴り込むマヨ。あまりの大声にハルカは素早くマヨの前に移動し、その腹目掛けて蹴りをぶちこんだ。
ハルカ、お前の声も十分でかい。
レオードが内心ツッコミを入れていたが、当のセイナは少々顔を歪ませたぐらいでスズネに軽く撫でられるとすぐに夢の世界へと戻っていっていた。
「……さすがハルカの妹分、神経の図太さは姉以上だ」
「あははは……」
レオードのぼやきにスズネは苦笑するしかなかった。
そんな耳の痛い話は聞こえていないのか、腹を抑えて悶え苦しむマヨに合わせてハルカはしゃがみこみ、逃亡の詳しい経緯を尋ねた。
「ってかさ、あんたどうやって逃げたのよ?」
「メデューサに化けて石化させて、動けなくなってる隙にダッシュで逃げた。一瞬でもタイミング遅かったら……か、考えただけで、鳥肌が……!!」
「ブラックドラゴン、スカルドラゴンといった大物を一人で倒せる化け物相手に良くやれたわね!? あんた、一生分の運を使いきったんじゃないの?」
「自分でもそう思うわ……」
セイナ以上の運のよさを発揮しただろうマヨの逃亡方法を聞き、ハルカは目を大きく丸くした。マヨ自身逃げ切れた事を奇跡と思っているようで、疲れきったため息を出しながらその場に横たわった。
ネイリ・グレンベルグは知らない者はいないと言われる帝国のヒーロー。ドラゴンという高位モンスターが相手でも、一人で難なく倒せるという裏づけのある伝説を持っており、人類の中では最強に分類される存在だ。
ただ冒険者からすれば、それ以上に恐ろしい存在でもある。帝国の為に尽くし、帝国の為ならば相手が人間でも魔物でも一切容赦せず、迷い無く倒す。純粋な少女のような明るさを帯びている一方、氷以上の冷酷さを持った決断力と忠義心は彼女が敵と判断した存在に決して情を抱かせない。ただの邪魔者として排除するのみ。
ヒーローと祭り上げられている筈の存在の実体は、魔物以上に戦いに躊躇しないブレる事の無い戦士。その実力と精神面ゆえに、冒険者にとってはある種ドラゴン以上の恐怖の象徴ともいえるのだ。
そんなとんでもない相手から逃げる羽目になったマヨに軽く合掌すると、立ち上がってレオードに声をかける。先ほどの呆れたものから打って変わり、慎重で冷静な顔色でだ。
「でも帝国が絡んできたって事はやっぱり何かあるわね。それもネイリを出してくるって事は……」
「不老不死をもたらす人魚の肉。これしか無いだろうな」
ハルカの言葉を察し、レオードが続ける。ハルカはそれに頷いた。
今の今まで散々追い掛け回されていたが、それはスズネ姫を軽く連れまわしたからという単純な理由でないのは二人とも分かっている。ならばその答えに関わっているのは、自ずと一つしかない。大した理由でないのならば、あの帝国が切り札ともいえるヒーローを出してこない筈だ。それらも含めた上での答えである。
分かっている限りの社会情勢も含め、ハルカとレオードは考察を続けていく。
「鎖国解放された今、不老不死の話が変なことにならない内に帝国が先手を打った。そう考えた方が良いかしら?」
「だな。日ノ国とかつて唯一の貿易国だった帝国だからこそ、ここまで早く動けたんだろう。ったくこれじゃ俺の集めた情報がパーッになりかねん」
「あんた、どんな情報を売りつける気だったのよ……」
「聞きたいか?」
「金とられそうだからやめとくわ」
下手すれば国を揺らがしかねない金への執念に呆れながらも、ハルカは断れるところはキッチリ断っておいた。レオードもそれほど売りつける気は無いのか、そうかと頷いて引き下がった。
2011/03/21 Mon 21:18 [No.199]
ゆな
・上の直接の続き
・短いよ!
・とりあえず男か女か一瞬自分でも分からなくなった。
■
その時を見計らい、スズネはハルカとレオードを見上げながら心配そうな声で訪ねる。
「婿様、レオード様、これから一体どうするおつもりなのですか……?」
「スズネ?」
「今は休むと仰られておりましたが、この逃亡は長続きしないのが目に見えています。日ノ国に何かしらの陰謀があるとしても、これ以上深入りしてしまえば婿様達は傷を負い、最悪命を奪われてしまうでしょう……。そうなってしまったらわたくし、どうすれば……」
小さな声を震わせ、潤んだ瞳から涙をこぼし、想像してしまった最悪の光景にスズネは耐え切れずに両手で顔を抑える。ひっくひっくと声を洩らし、今にも泣き崩れそうな姿は痛々しい。
彼の立場を考えれば、こうなってしまうのも無理は無いだろう。ハルカに誘われるまま、未知の存在だった城下に足を踏み入れただけだというのに、その一つの過ちによって恩人達を危険にさらした挙句、帝国の英雄にまで追われる事になってしまったのだ。マヨやセイナの件もあり、無事な内にどうにかしたいと願いたくもなる。
延々とこぼれる涙を必死に手で拭き、長い漆黒の髪を揺らしながら落ち込んでいくスズネ。そんな彼を見て、ハルカは逆に大きく笑みを浮かべると軽く頭を叩き、元気強い声と態度で己に振り向かせた。
「なーに言ってんのよ! このあたしがそう簡単に負けるわけないじゃないの。あたしの嫁になりたいんなら、その弱気をどうにかしなさいっての!」
「婿様……」
「あたしがいるから大丈夫よ! でもねスズネ、あんたには色々きつい事になるかもしれないわ。あたしが一緒にいるとはいえど、そこまでは保障できない。だからあんたはちゃんと前を見て、その上で良い判断をすればいい。怯えて逃げた判断は禁止よ! いいわね!」
両手を腰に当て、何処から来てるのか分からん自信を盛大に出しながら言い切ってみせるハルカ。だがその内容は決して彼女本意のものではなく、スズネを見た上で前向きにさせてくれるものだった。
何の根拠も無い前向きな言葉であるものの、ハルカが持つ尊大な態度とブレる事の無い炎のような豪気さ。そして最悪の追っ手が存在していると知っても尚、決して諦めない魂。それを間近で垣間見たスズネは心音が耳に響くぐらい激しく鳴ったのを感じた。
そうだ、この人はこういうお方だ。
己がいくら水底へ沈みそうになろうとも、決して消えることの無い炎を持って引き上げてくれる。
死体のように冷たくならないよう、太陽のような温もりを与えてくれる。
何も知らないまま保身に走りそうになった自分を引きとめ、知るべき真実に向き合わせようとしてくれる。
己とは真逆の炎の化身。故にスズネはあの瞬間己の下に落ちてきたハルカに心を奪われ、婿と慕っているのだ。今、彼女はそれを証明してくれた。
スズネは胸に溢れんばかりの喜びを感じながら、涙を拭き取ると花のような笑顔を浮かべてハルカに頷いた。
「はい、婿様……!」
お前ら、自分の性別分かってやってんのか。
傍から見ていると典型的な御伽噺に出てきそうな、勇気ある若者と悲劇的な運命に囚われたお姫様のワンシーンそのものにレオードは細目になりながら内心ツッコミを入れた。口に出さないのは言っても無駄だし、面倒だから。
2011/03/21 Mon 22:37 [No.201]
kaku
嘘予告という伝統にのり、ここでだしてみます!
タイトル
『フウロちゃんとカミツレさん』
内容
毎回、フウロちゃんとカミツレさんが、謎めいたことになります!
短編連作の形です。
基本的には、フウロちゃんかカミツレさん、あるいは両方が主役ですが、希に、この二人が登場しない話もあります。また、大半はポケモンに関係ないです。
人物紹介
フウロちゃん・・・・巨乳。本当はSなのに、カミツレさんがもっとSで、電極とかを使っていいようにされているので、悔しいけどかんじちゃう!自分のようなキャラというのは、本当は責キャラだと信じて疑わないけど、こんなことを考えている時点で、完全に受け属性である。
カミツレさん・・・・電撃スーパーモデル。パッと見ではストイックなキャラで、ベッドの中では甘えん坊さんになる感じだけど、実際は真逆。かなり芸人っぽい、どちらかというとヨゴレ寄り。電極を悪用して、フウロちゃんにやりたい放題している。
どちらも、私の妄想脳内設定です。あと、私の脳内では、フウロちゃんの方がカミツレさんより一個年上で、なのに主導権を握られています。あと、二人はいっしょに住んでいます。
2011/03/21 Mon 21:22 [No.200]
kaku
いきなり出鼻をくじかれたので、ここにアップします!
テキストファイルで。
ワードに貼り付けてね読んでね!
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1456008.txt.html
pass 「kami」
2011/03/21 Mon 23:24 [No.202]
あきはばら博士
気が付いたらクルーザ様とのバトル
そしていつもかみくだくで死ぬ
諦めずにもう一度挑戦するけど、すぐにやられてしまうよ
レベルさえ上げていれば、なんとか勝てると思ったけれど
何回やっても、何回やっても、クルーザ様倒せないよ!
あのフローゼル、見た目以上に打たれづよい
後ろに下がって距離をとってもすぐまた距離を詰められる
補助攻撃も試してみたけど挑発相手じゃ意味がない!
だから、次は絶対、勝つために僕は叶人さんだけは最後までとっておく
気が付いたら体力もう少ししかない
そして、いつもそこで木の実を使う
諦めずにクルーザ様までたどり着くけど、あっけなく負けてしまう
ラヒトを仲間にしとけば、楽にクルーザを倒せるけど
何回やっても、何回やっても、ラヒトが倒せないよ!
あのムクホーク、あいつの攻撃半端じゃねぇ
素早さ重視で避けてみたけど、すぐに攻撃当てられる
あきおさんで挑んでみるけど素早さ低けりゃ意味が無い!
だから、次は絶対、勝つために僕はラク君だけは最後までとっておく
(〜間奏〜)
倉広叶人で挑めば、楽に倒せるはずなのだけども
何回やっても、何回やっても、クルーザ様倒せないよ!
あのフローゼル、相性ついても勝てない
素早さこっちが上回っても、しっぺがえしを決められる
電光石火も試してみたけどアクアジェットには敵わない!
だから、次は絶対、勝つために僕はフィーレンさんを仲間にしておこう
2011/03/23 Wed 02:35 [No.204]
kaku
これは、哲男にとって、あまりにもラッキーなお誘いだった。
「ほんまか!!ほんまに、なんでもいいんか!!」
「はい。なんでも構いません」
女の言葉の真偽を問いながら、哲男は、時間を稼いでいた。
こんな機会は、間違いなく、もう一生来ることはないだろう。
願いは、慎重に選ばなければならない。
やっぱり、セックスさせてもらうのが一番いいだろうか。いいわけあるか!そんなことで、一生に一度のチャンスを棒にふってたまるか。やっぱりもっとこう、後々の人生まで役に立つような願い事を言うべきだろう。それならば、この場の一回のチャンスを、最大限利用することができたと言えるだろう。そうすると、一体どんな願いを言うべきか。東大の理三に合格したことにしてもらうか。去年センターで24点しか取れなかったんだから、今年も東大はだめだろうし。いや、どうせならハーバードの学生にしてもらうのがいいかもしれない。しかし、いい大学に入ったところで、そこからは苦労しなければならないだろうか。なら、ハーバードを主席で卒業したことにしてもらうのもいいかもしれない。ところで、そうして学位を手に入れたい理由はなんだろうか。そう、金を得るためだ。すごい仕事に就いて、金を得るために、学位が欲しいのだ。それならば、いっそ信じられない程の金をもらうというのもいいかも知れない。でも、女も欲しい。金を使ったところで、愛を買うことが出来ないのは分かっている。体も、心も、俺にとって都合のいい女が欲しい。よし、そっちを叶えてもらうことにするか。いっそ、世界中の女が俺を愛するように、というのはどうだろう。女だけじゃない、世界中の人々が俺に跪くようになれば、金だって好きなだけ手に入れられる。よし、これだ。
哲男は、決めた願いを、管理事務所の人に発表した。
「俺を神にしてくれ!」
管理事務所の人の口調が関西弁に変わったのはその時だった!
「じゃかあしいわアホンダラ!!」
罵倒の言葉と共に、哲男の腹に、拳が打ち込まれた。か細い腕なのに、その力は凄まじく、音速を超える速さで繰り出されたパンチは、まるで弾丸のごとく、哲男の腹を貫いた。
哲男の死体が、舞い散った桜の絨毯の上に、転がった。
真っ白な肌を、返り血で真紅に染めて、管理事務所の人は叫んだ。もう死んでいる哲男に向かって、その言葉は届かないと分かりつつも、叫ばずにはいられなかった。
「何を甘えたことを言うとるんや!!願いっていうのはなぁ、他人に叶えてもらうもんやない!自分で努力して、必死で頑張って、叶えるもんなんや!!そうやって流した汗が、血があるから、願いがかなったときに、その願いに価値が生まれるんや!!分かったか!!」
哲男は、反応しない。もう死んでいるのだから、当然である。
管理事務所の人は、まだ興奮が収まらないまま、哲男のズボンを脱がした。
そして、チンコを握り、力を込めた。
「おらぁ!!」
ものすごい力で引っ張られて、チンコはちぎれた。
ちぎれたチンコを、管理事務所の人は咥えた。
フェラチオをしようというのか?
いや、そうではない。
「ん〜ちゅぅ〜〜」
管理事務所の人は、チンコを吸引し始めた。すると、チンコから、何か液体が出てきた。粘性をもった、ドロリとした液体であった。
血である。
そう、管理事務所の人は、哲男のチンコから、血を吸い取っていたのだ!
「ちゅぅ〜」
そこに入っている、全ての血を吸いつくさんばかりの勢いで、吸引していた、そのときだった。
「うっ!!」
突如、管理事務所の人が、チンコを落とした。
チンコが落ちるのに続き、管理事務所の人が、その場に崩折れた。石畳に膝を付き、管理事務所の人は動かなくなった。
そのまま、管理事務所の人は、死んだ。
2011/03/26 Sat 00:49 [No.208]
氷河期の賢者
いつからだろう。僕は当たり前の日常に嫌気がさすようになっていた。
なんでもない友人との会話一つでさえ、面倒に感じるようになる。
テレビでニュースを見ていても、何一つ感動しない。
絶対感動すると言われている映画を見ても涙ひとつこぼれない。それがフィクションでもノンフィクションでも何一つ関係なかった。
いったいいつからだろう。
傍から見ればこんな僕は感情のない人でなしだろう。よくいう、涙も糞もないというやつだろうか。でも僕は違う。こんな自分がもどかしいし、何よりこの状態から脱却したいという気持ちがあるからだ。
しかし人の気持ちというのは不思議なもので、揺らぐことは簡単だが、一度心が固まってしまうとなかなかそこから脱却できない。クラスのヤンキー気どりが「俺は変わる」と言うが、結局それは続いて三日。それ以上は続かない。
三日坊主とは上手く言ったもので、人間はほぼそこが限界なのだろう。本当にできる人間は、どん底まで落ちない。悪い心の地盤を固めない。だから少し道をそれてもすぐに帰還できる。
僕は当然前者のヤンキー気どりの部類にあたる。ヤンキーを気取っているわけではなく、むしろ成績も良く、運動も学年でトップクラスで、親の鼻は常に高いのだが、悪い心の地盤を固めているという面では彼らと同じといえるだろう。
後者にあたるような人物と言えば、やはりずっと記録を残し続けることができる人だろう。そういう人は、多くの人から尊敬される。なぜか。
それは、人をばかにすることをしないからだ。自分に自信があるから、人にやさしくすることができる。とても美しいエネルギーが体中に流れている、そんな気がする人たちだろう。
一方、僕たちのような人種に限って人をばかにしてしまう。自分に自信がないため、人を罵って自分自身を安心させないと気持ちがもたないのだ。
友人たちはみな、僕はもっと自信を持ってもいい、と言ってくれていた。
昔は。
今は違う。今の僕は周りに誰もいない。友人はいる。でもそれは友人どまりで、自分を尊敬してくれる人間は誰もいない。ただ孤独に好成績をおさめ、好記録を残す。ただそれだけ。喜びも何もない。
これも自業自得、力がついてきたころ、人をばかにしてしまったらこういう結果だ。
日本では出る杭は打たれる、右に倣えという言葉がある。
僕はその言葉を僕なりに解釈した。才能を持っていてしっかり結果を残していても、決して威張ることもなく、調子に乗り一人浮くわけでもなく、“右に倣い”皆の歩調に合わせることができる人間が成功できる。この国はそういった仕組みになっている――やっと理解できたのだ。
じゃあ何だ、僕は外国に行けばいいのだろうか。自己主張が人生の鍵となる、海の向こうへ。
否、きっと結果は変わらないだろう。おそらく地球上どこへいってもこれだけは不変なのだ。
――人を嘲笑う者は最後に悪夢を見る
中学生でありながら、そのことに気が付いてしまった僕はまだ長い余生をどうやって過ごしていけばいいのだろうか。何か見いだせないのだろうか。
そう、変わることさえできれば何か光を見いだせるかもしれない。
けれど、僕の心の足元に固められた地盤はあまりにも固い。そして重い。その重さを作っているのは負のオーラ。僕はその呪縛から抜け出すことはできないのか――
段落はコピペ時のミスです。修正面倒なのでご了承ください。fc2で連載予定ですのでよろしくです。今のところポケボへの投下は考えていません。
あまりにポケモンと無関係すぎるのでね。へ?今までもですか?
2011/03/28 Mon 20:52 [No.211]
あげは
もう、何もかも遅かったのです。
差しのべられた腕は、立てない彼女には届かない為、握る事などできませんでした。
彼女は、何もかも諦めました。
涙を流しても、その雫が地べたに落ちて崩れる音は小さ過ぎる為、誰も気づきませんでした。
もう、何もかも遅すぎたのです。
ガラスの張られた鳥籠の中に閉じ込められた彼女の心。
無理に鍵を開けようとすれば、錠前の酷い冷たさが触れた指を苛みます。
無理にガラスを割れば、砕け散った破片が彼女を更に傷つけるでしょう。
もう、彼女を救う術など、どこにもありませんでした。
そして、彼女は孤独に押し潰されて、面影など跡形も無く消え去ってしまうのです。
よくわからない何か。
小説の一節に使おうと書いたやつです。
2011/03/31 Thu 23:52 [No.218]
サントアンヌ号
DIVAルームには、秘密の「Xルーム」がある事をご存知だろうか?
膨大なDIVAポイントを蓄え、とある条件を揃えた時、各キャラのルーム名がピンク色になる。
そこに入室できた幸運な者は、一日の間だけ目当てのボーカロイドとデートできるという。
もちろん、衣装も自由に選べる。
同じルームに入室者が被った場合は、先に入った者が終わるまで待たされる事になるが、それでも満足できる体験となるだろう。
さて、実際にXルームに入る方法はというと……
* * *
「いやー可愛かったなぁ、リンちゃんのメイド姿。あのご奉仕精神、マジで最高だったぜ!」
「そうか……そりゃ良かったな……」
「何より、上目遣いで『ご主人様』って言ってくれた所が萌えたし。廃人プレイしてDIVAポイント貯めた甲斐があったぜ!」
「そうか……そりゃ良かったな……」
「次はミク……いやしかし、またリンちゃんも良いな……とにかく、寝食惜しんでまたポイントを貯めなければッ!」
「そうだな……」
「って、お前はどうだったんだよ? ルカの胸にダイブだーッ! って大興奮してたろ。どうだったか聞かせろよ?」
「……いや、実は……ルームに入る時、慌てて操作を間違っちまって……」
「は?」
「気付いたら、目の前に青いマフラーをしたブーメランパンツの男が……」
「……すぐ、出たんだろ?」
「いや……もう気が動転してたんだろうな。せっかくだから、と俺も全裸になって……」
「アッー!」
「貴重な体験だった……よ…………うぅ……」
「……泣くな。一緒にプレイしてまたポイント貯めようぜ」
「あぁ……」
(数日後)
「というワケで今回はミクルームに行ってきたんだが……さすが一番人気なだけはあったな。ミクちゃんの制服姿、マジで可愛かったぜ!」
「そうか……そりゃ良かったな……」
「人間離れした萌える反応とかさ……ってまぁ、人間じゃないんだが。もう現実の女とか、マジどうでも良くなるな!」
「そうか……そりゃ良かったな……」
「リピーターが全女モジュールのデートイベントをコンプリートするって言ってた気持ち分かるわ……俺もまたDIVAポイント貯めて、またミクちゃ……いや、リンちゃんも捨てがたい!」
「そうか……」
「って、お前はどうだったんだ? 前はKAITOルームで大失敗して、今回こそって意気込んでたクセに」
「……いや、実は……またルームに入る時、慌てて操作を間違っちまって……」
「は?」
「リンルームと思ったら、レンルームに入ってしまってたんだ……」
「……お前、まさか!?」
「何というか、やらなきゃ損、みたいな気分になって……あ、でも、女装したレンくんは割と悪くなかったぞ」
「そうか……お前って、順調に道を踏み外してるんだなぁ……」
「いやいや、物は試しだって! 今度一緒に行こうぜ、レンルーム!」
「嫌だよ」
「ですよねー」
なんかポケボに出せない気がしたので、ここに投下しておきます(汗
2011/04/03 Sun 20:34 [No.220]
kaku
春であった。
哲男は、桜を見に来ていた。
「いやー、めっちゃきれいやなー。大学落ちて家追い出された悲しみなんか、忘れてしまいそうやなー」
平日の午後の公園には、人はいなかった。まさに、満開の桜を独り占めしている気分だった。
実際には、独り占めしているのではなく、世間の動きに取り残されているだけなのだが、自分が真っ当な浪人生であると思い込んでいる哲男は、気づいていない。
ただ、青空に映えて咲き誇り、石畳を覆うほどに舞い散る桜を楽しんでいた。
「しかし、ほんまにきれいやな。春だけあって暖かいし、なんか眠たくなってきたわ。ここはひとつ、この美しい桜に彩られながら、まどろみに身を任すとするかな!」
そう言って、哲男は、その場に横になって、寝た。
目覚めると、裸の女が、哲男の頭の横にたっていた。
「誰やお前は。女神か。ひょっとして、桜の精か」
哲男は、驚いてそう問いつつも、女の乳を揉んだ。
ピンク色の長い髪も、思わず抱き締めたくなるような小柄な体躯も、それに不釣り合いな大きな胸も、すべてがいとおしく思えた。下から押し上げるように鷲掴みにした掌には、重力に逆らわずも張りを持った、瑞々しい重みが伝わる。指先は、柔らかな脂肪の中へと沈んでいくようだ。
その髪の色も、透き通るような白い肌も、女から漂ってくる甘ったるい香りも、全てが非現実的であった。夢の中にいるようだった。さっき寝た時から、まだ目覚めずに、眠りの中にあるのではないかという気がしてきた。ひょっとしたら、この甘い香りが、鼻を通って脳へと至り、理性を包みこんでしまったのかも知れない。そう、忘我の中で、哲男はただただ、乳を揉んでいたのだ。
だが、そんな夢のような時間は、ふと女の目を見たときに、終わった。
女は、哲男の顔を見ていた。その目は、まるで春の空のように、澄んだ青色だった。表情は、なかった。笑っては居なかったし、かと言って、哲男の行いに不快感を表しているようでもなかった。ただ、無表情であった。全てを見透かすような光を湛えた大きな目と、花びらのような可憐な唇は、まるで少女のような幼さを作り出していた。
目と目があったとき、哲男は、胸から手を離した。
手を離さざるを得なかった。
その時生まれた感情は、恋だったのかも知れない。突発的に燃え上がった肉欲は急速に消え去り、目の前のあどけない少女を穢したくないという欲求が沸き上がってきた。次には脚を開いてやろうと思っていたのに、その目を見たとたん、あらゆる穢れから彼女を守りたいという気にすらなった。
それもまた忘我であることには変わりはない。だが、原始的な欲求を脊髄に直結させて行動するのと違い、思考を差し挟む余裕が生まれていた。
女は、そのことを分かっていたのだろう。哲男が最初に発した問に答えたのは、哲男が乳から手を離し、ある意味“我に返った”といえるその時であった。
「いいえ、違います。私は、この公園の管理事務所の者です」
なんと女は、管理事務所の人だった。
だが、女の答えには、あまりにも納得できないことが多すぎた。ああそうですか、と納得するには、どうしても腑に落ちないことが多すぎた。
哲男は、いろいろな疑問の中で、まず最初に問うべきことを訊いてみた。
「なんで、公園の人が、僕の横に居るんですか?僕はなんも悪いことはしてませんけど」
皆が働いたり学校に行ったりしている間に、こうして公園で花を愛でているのは、親に迷惑をかけているという点では悪いことかも知れない。だが、それは、犯罪行為ではない。公園に損害をもたらすようなことはなにもしていないのだから、管理事務所の人が来るのは、おかしいのではないか。
哲男は、心のなかで自分にそう言い聞かせながら、ハラハラしていた。自分が自覚していないだけで、実は知らない間に何か悪いことをしていたのではないかという気がするのだ。ひょっとしたら、公園で昼寝をしたのがまずかったのかも知れない。まさか、こんなことで逮捕されるのだろうか。そう考えると、心臓が破裂しそうな思いだった。
だが、返る言葉は、意外なものだった。
「私はこの公園の管理事務所の者ですが、あなたの桜を愛する気持ちに心を打たれました。あなたの願いを、なんでもひとつだけ叶えて差し上げましょう」
2011/04/05 Tue 22:06 [No.224]