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あげは
もう、何もかも遅かったのです。
 差しのべられた腕は、立てない彼女には届かない為、握る事などできませんでした。
 彼女は、何もかも諦めました。
 涙を流しても、その雫が地べたに落ちて崩れる音は小さ過ぎる為、誰も気づきませんでした。
 もう、何もかも遅すぎたのです。
 ガラスの張られた鳥籠の中に閉じ込められた彼女の心。
 無理に鍵を開けようとすれば、錠前の酷い冷たさが触れた指を苛みます。
 無理にガラスを割れば、砕け散った破片が彼女を更に傷つけるでしょう。
 もう、彼女を救う術など、どこにもありませんでした。
 そして、彼女は孤独に押し潰されて、面影など跡形も無く消え去ってしまうのです。
よくわからない何か。
小説の一節に使おうと書いたやつです。
2011/03/31 Thu 23:52 [No.218]