Net4u レンタル掲示板を作る
Makoto
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洞穴の中、思い思いにリンゴやきのみなどを口に頬張りながら、3匹はそれぞれ状況を説明し、その後簡単に自己紹介を済ませていた。
「どうして、キミみたいな幼い子がこんな森の中に?」
「この森の…… どこかにね、ねがいぼしがいるって聞いてね…… おかあさんと一緒に探してたの……」
「ねがいぼし? もしかして、“ねがいごとポケモン”ことを言ってるのかい?」
「うん、一度でいいから見てみたいなぁーってずっと思っててね。願い事は… まだ考えてる途中なの」
「ふぅーん。願い事を叶えてくれるポケモンなんだ…… 何か楽しそうだね」
「それでね…… 森の中いっぱい歩いてるうちに、知らない道に来て……。いつの間にか、わたち一人になっちゃってて……」
「そこでボクたちと出会ったって訳なんだ……」
偶然とはいえ、奇跡的に出会った交錯するはずのないポケモンたち。もし雨が降らずに森から脱出できていたら、今みたいに奇妙な出会い方をすることも無かっただろう。
「あの、わたち…ルリリのヒメっていうんです……。あなたたちの名前は?」
「えっと… ボクはリュカ、ピカチュウのリュカだよ」
「ボク、ピチューのシフォンっていうの! リュカ兄ちゃんの妹なのー」
「リュカくんとシフォンちゃんっていうんだぁ……! 素敵な名前だね、みんな!」
「そういうヒメちゃんだって…… いい名前じゃない!」
「ありがと…… あの、わたちのこと“ヒメ”って呼び捨てにしてくれても構わないよ?」
「それだったら、ボクらのことも同じくでいいよ。その方がお互い呼びやすいでしょ、ヒメ!」
「フフ、それもそうだね……。わかったよ、リュカ、シフォン!」
自己紹介してから打ち解けるまで、それほど時間はかからなかったようだ。なんだろう、こうやって話してると自然と温かくなってくる。そんな気がした。
すっかり仲良しになった、リュカとシフォンとヒメは久々にクスクスと笑顔をこぼしていく。
「さて、どうしようか? このまま雨が止むまでじっとしてる?」
「闇雲に外に出ても迷うばかりだし、仕方ないよね。でも、3匹一緒だったら全然怖くないもん!」
「だけどこの洞穴、何もなかったしなぁ……」
「えっと… 寝てる間に地面が一部くぼんでる所は見つけたけど、それが一体何なのかは――」
「!? ちょっと待ってシフォン!」
不意に叫ぶように声をかけたヒメに、びっくりしたリュカたちが思わず目を向ける。
「ねぇ、その“くぼんだ地面”って所に連れてって!」
不思議に思いながらも、ピカチュウ兄妹はヒメの言う通りにして、その場所に案内してあげた。
もしかしたら。ヒメは、そのくぼんでいる地面に“あわ”を吹き付けてみた。散らばる小石や砂が水泡によって飛ばされ、その下にふたのようなものが出てきた。
それをリュカとシフォンで力を絞って引き上げてみると、何と地下に続いてく階段が見つかったではないか!
「こんな所に、隠し階段が!」
「さっきまで何もなかったのに、どうして?」
「不自然に草地の色が違っているときは、違う道が見つかるかもっておかあさんがいってたの。何事も観察力が必要なんだって」
「ヒメってすごいなぁ… 可愛いだけじゃなくしっかりしてるんだ……」
「……今度は危なくなったら一旦引き返そうね、リュカ兄ちゃん」
「分かってるよ、シフォン。あの時は不注意だったからね」
「ねぇ、早速入ってみようよー?」
この先にはいったい何があるんだろうか? 未知な場所への好奇心が勝った3匹は、ゆっくりと階段の方に足を踏み入れていった。
2011/07/15 Fri 00:35 [No.440]