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あきはばら博士
――景色が風になる。
[スピードスター]を翼に引っ掛け[燕返し]の要領で飛ぶ。そのすごいスピードで相手にぶつかり、爆発してダメージを与える、鋼の翼を持つエアームドだからこそ出来るムチャなこのワザは後々『スカイドライブ』という名前で使われることになるのだが……
「(スゴイ! エアームドってこんなに速く飛べるんだ……)」
……新幹線並みかそれ以上の速さでめまぐるしく変わる景色に違和感を見つけたのはすぐだった。
“斜めっている”。要するに何故かは知らないが落ちていっているわけで……。
「ストップストップ!! ……何で聞かなっキャーーー!?」
ガシャ! パリパリパリーン! ドガーン!
派手な音と小さな爆発が起こって暗転。次に気がついたら焦点の合わないまま空を見上げていた。
慌てて背を起こすとシャラシャラと音がする。目の前の大窓が割れているのを見るとどうやらガラスの雨が降り注いだようだ。
気を失うほどの衝撃に爆発にガラスの雨、そして一応無事な自分。鋼タイプに感謝しなくてはなるまい。
「大丈夫ですか? エアームドさん。」
いきなり声をかけられたのに驚いて首を向けると背を向けた緑の人影……いや、ポケモンの影が居た。
わけ分からないながらにも「えぇ、一応……」と返事するとその影は柔らかな笑みを浮かべる。
「良かった、その様子なら大丈夫ですね。」
その台詞を言うや否や、温和な雰囲気が一変した。
その影――ジュカインは無駄の無い動きでバッと刀のある腕を突き出し『種マシンガン』の種だろうか? 緑の小さな粒を沢山浮かばせる。
その強い視線の先にはラクを追いかけて来たポッポ軍団、総勢十七羽。
「食い逃げ、万引き、嫌がらせさんはお引取り願いますよ!」
その言葉にキレたのかポッポ軍団が雪崩を打って突っ込んでくる。
一方のジュカインは浮かべた粒を『リーフブレード』の面で一払い。打たれた粒が銃弾のように下から軍団に降り注いだ。
* * * * *
「すぐ手当てできなくてスミマセン。」
十数秒後、ポッポ軍団は一人残らず気絶して地に伏していた。
勿論ジュカインのほうは無傷だ。
さっき見たときは気づかなかったが左に眼帯をしているそのヒトは、戸惑っているラクを見て慌てて言い添えた。
「自己紹介が遅れましたね。僕はサイサリスの店主、アッシマーMkU量産型です! あっ呼ぶときはアッシマーでいいですよ」
その場所こそが、『ポロック・ポフィン・ポケまんまの店 サイサリス』だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2011/09/06 Tue 00:15 [No.646]