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ロサラ
この世界を、自分達を混乱に陥れたガウリイルは、打ち破られた。
あの時出会った気弱そうな、だがどこか芯の通ったマルクと名乗るガラガラによって。
ガウリイルの、DCの野望は阻止され、両世界に平和と安息がもたらされた。
だけど。
「――ラプラスさん…」
あの後聞いた話によると、私の知らない所でラプラスさんは犠牲となっていたのだ。
不思議と、涙は流れない。以前の私なら涙を流して叫んで、喚き散らしていたのに。
その理由は、これも誰かから聞かされたのかもしれない。
もしここで死んでしまっても、元の世界では無事だって。死んでなんかいないんだって。
むしろ、その事実に熱い雫が零れ落ちたのを覚えている。
――そして、私は。
+ + +
そよそよと吹いてくる潮風のせいで、右目を隠すように巻きつけた包帯がやけにべたつく様に感じる。
私は、過去に私の運命を変えたかもしれない戦いの名残がまだ残っている、うずまき島へと上陸していた。
どうやら別に花なんて持ってこなくてもよかったのかもしれない。
既に、共に戦った仲間達の墓は、他の人達が添えたのであろう色彩々の花で溢れかえっていた。
だが、無駄という事は無いであろう。私は小さな腕に抱えた目一杯(パチリスの腕に比べれば)の花束のラッピングを開くと、その花の山にさらに追加する。
そして、手を合わせる。まぁメイルさんとセイラさんは向こうの世界で元気に過ごしているのだろうが、ソードさんは、元々こちら側のポケモンなのだ。
だから、ここで死んだら向こうの世界へ飛ばされる訳が無い。即ち、彼女は正真正銘の死を迎えてしまった訳だ。
――思えば、彼女は初めて会った時は敵だったのだ。
それが、様々な試練を、痛みを乗り越えて、絶大な信頼関係が築かれるまでに至って。
最後には、心を壊した悲しい少女によって――。
ソードさんは、戦ったのだ。仲間を守り抜く剣-ソード-として、最期まで戦い抜いた、誇り高き剣。
「……………ごめんなさい」
気がついたら、その懺悔の言葉が口から漏れていた。
別に私が謝ってもソードさんは生き返るわけが無いし、必要ないだろう。だけど、無意識にその言葉は喉を突き上げていた。
誇り高く散ったソードさん、ゆっくり休んでください。きっとそちら側はさぞ賑やかなのでしょう。
素直になれない花嫁、メイルさん。彼女は今頃PQRさんに鋭い(愛の)ツッコミを加えているのだろうか。もう引っ掻く爪は無いから、殴るか蹴るかのどちらか。
壊れてしまったセイラさん。あなたは、何も悪くなかったのです。
強いて言うなら、あなたの罪はその現実を受け止めずに、目を逸らしてしまった事。――辛いのに、変わりはありませんが。
まぁ、それも一つの人生でしょう?
2011/04/30 Sat 17:57 [No.301]