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ロサラ
「ららら、ららら、らららっらー」
ちゃんと言葉になった歌詞でも歌えばいいのだが、彼女が口ずさんでいるのは見事に「ら」の一文字だけだった。
彼女は廊下を歩いて行く。六つに分かれてボリュームを増した金色の尾を揺らして、足音も立てずに四足歩行で廊下を歩いて行く。
歩く度に、首にかけられたペンダントが揺れる。金色の毛並と対照的になるような銀色である。
そして、とある一つの扉の前に立つと、前足で器用に扉を開けて、部屋に入った。
一匹の金色のロコンは、部屋に入った瞬間に歌を止め、代わりに飛びだしたのは大声だった。
「ケイター! ケーイーターー! いるですでふかー!?」
語尾の余計な「でふ」さえ除けば、「少し敬語を間違えたかなー」程度の日本語。
それに呼応するように、別の声が部屋に響いた。
「ロサラかー? どうした?」
高めのボーイソプラノだった。「ケイタ」と呼ばれた一匹のイーブイは、手にしていた資料のような物を置いて、ロコンの下へ歩く。
「ロサラ」と呼ばれた色違いのロコンは、ケイタが居る事を確認すると、話を始めた。
「なんだか、私と同じ『元人間』がじゃかじゃかこっちにやって来ましたでふ。なんかすごいですでふ」
「『なんかすごいですでふ』じゃねぇよ。情報ソースは?」
「ゆなさん」
その「ゆな」という名前を聞いて、ケイタは後頭部にオレンジ色のリボンを付け(見る度に思うが自身の炎で燃えないのが不思議だ)、右目にモノクル(という名前らしい。本人に尋ねたら教えてくれた)をかけたシャンデラを脳裏に思い浮かべる。
彼女はこの『ドリームメイカーズ』の幹部(の中でも更に偉い所)である。――ロサラと同じ元人間なはずなのだが、正直に言うと純粋なポケモンの自分よりもポケモンらしい。何かおかしい言い方だが、これ以上の表現の仕方を彼は身に付けていなかった。
2011/09/14 Wed 16:56 [No.675]
あきはばら博士
偶然あのときのログを保存していたので参考にアップします。
執筆の手助けにしてください
「おぉぉ……! うわぁ、凄い……。本物のミュージカル、こんなに綺麗だったんだ……」
「そーだよ。ここのミュージカル、中々でしょ?」
「え? ……うわっ!?」
「人を見て驚かないでほしいな、うちはただのシャンデラだよ。同じ観客同士じっくり眺めようじゃないか」
「う、うん……」
「……ねぇ、なんでさっき本物って言ったの?」
「あ、実はかくかくしかじか」
「まるまるうまうま、か。元人間、ねぇ。……なんでここにいるか訪ねていいかな?」
「うーんとね、色々見てって何が起きてるか調べようって話になったんだけど……」
「ミュージカルが面白そうだからつられたわけか。お連れさんにバレたら怒られるよ?」
「怒られたくないなー……」
「にしてもおかしな話だね。何でDMを止めろって言ったんだい?」
「さぁ? その辺ボク等も分かってないんだけど、とにかくDMを止めようと思って」
「――そう」
「シャンデラさん?」
「言われたからDMと戦う……か。それは本心から?」
「え? 暴走を止めてくれって頼まれたし、うん」
「……危なっかしいって言われない?」
「へ!?」
「あいまいだから見てられないよ。ミュージカル終わったらさ、君の仲間もつれてどこかお茶したいけどいいかな。DMに関して知ってる事があるんだ」
「ホントですか!?」
「うん。だから……約束してくれるかな?」
「うんうん!」
/
面切り替え。シャンデラことゆな、正体現して無双開幕。その途中か、一人KILLしたところでスイレンに言う)「闘いっていうのはこういうもんだよ、あいまい娘。DMはね、そんな理由で倒せるほど弱くないし、倒させない。少なくともお前等みたいな薄っぺらい正義感で動いてる子供にはやらせないよ。……さて、ここで死ぬのとドリームメイカーズにつくのとどっちがいい?」
「うん。同じポケモンで、同じ元人間。……でも覚悟が違う、それだけさ。それよりもうちの質問に答えろ、死ぬかDMにつくか、それとも……声を縋ってDMを倒すとホラを吹くか」
2011/09/11 Sun 23:21 [No.666]
ゆな
だが元人間以外では数少ないこちらの世界で仲良く出来そうなポケモンに出会えたのだ。これで会話を終わらせたくないと思い、スイレンはミュージカルに顔を向けたシャンデラに別の話題を吹っかける。
「ねぇねぇ、そんなシャンデラのお勧めはある?」
「お勧め? 強いて言えば、このミュージカルそのものかな」
「ミュージカルそのもの?」
目だけ己に向けて答えてくれたシャンデラの思わぬ返答に、スイレンは首をかしげながらシャンデラの見ている舞台上へと顔を向けた。丁度物語が佳境に入ったのか、登場人物達による心境を役者達が叫んでいる。
一人一人ずつスポットライトが当たる。それに合わせて彼等は動き、舞台の上の人物になりきって思いを叫ぶ。
「あぁ、まるで夢のようだ! こんな理想郷のような世界を自由に歩けるだなんて……あぁ、なんて心躍るのだろうか!」
己の故郷よりもずっと自由で生き甲斐の街に訪れた旅人は、無邪気な子供のように希望を高鳴らせる。
「正義の逆さまはまた別の正義。さて、問いましょう。あなたの持つ正義と夢は……どれほど美しいものでございましょうか?」
ほぼ全てを知りえながらも唯一人の男を思う教会のシスターは、これから起こる戦いへと返事の無い問いかけを静かに落とす。
「例えどれだけ罵られようとも構わない! 僕は僕の正義を貫こう! それで誰かが傷つく事になっても……背負っていこう!」
街の中、多くの事実を知った若き戦士は屈服しそうになりながらも、己の武器を握り締めて決意を新たにする。
「私は私にとって最良の結果になれば、どこがどうなろうとも構いません。ただ課程の途中で投げ出されたら嫌ですけどね?」
街の裏側。一人の学者は本を読みながら、世間話をするように己の中の答えを口にしていく。最後にこちら、観客席へと投げかけるような言葉を出しながら。
ポケモンミュージカルの舞台に立った者達が口にする耳の良い言葉を聞きながら、シャンデラはスイレンに向かって語る。
「舞台の上っていうのは一つの理想だ」
「理想?」
「そっ。脚本家にとって好きに作れる理想の世界だよ。そしてうち等はその理想を見て、夢を描く事が出来る。眠った時の夢でもいいし、将来につなげる夢でもいい、野望という夢でもいい。そういった様々な夢を見せてくれる。それが明日の活力になる、だから気分転換についつい見ちゃうってわけ」
「??? ……よくわかんないの」
「なーに、簡単なことだよ。うちにとってそういう考えなだけ。うちはね」
曖昧なシャンデラの説明にクエスチョンマークを飛ばすスイレン。そんな彼女に軽く笑みをこぼすと、シャンデラはミュージカルからスイレンに少しだけ顔を向けて言った。
「あの舞台の上みたいな理想を、現実にするのが夢なんだ。だから仮初とはいえど、理想が叶っている舞台が好きなんだ」
そう言って笑うシャンデラの顔には、無邪気な子供が口にするような幼いものを思わせた。それこそ御伽噺の中の世界を心から愛するような無垢な子供のように。
2011/09/11 Sun 23:15 [No.665]
ゆな
この光景はある意味夢のようだと、スイレンは思う。いや、ポケモンになってからも夢のようだと思った事はあった。だけどそれは驚きという意味合いであり、目の前にあるのはそういう意味じゃない。言うなれば御伽噺に近い。
ライモンシティにたどり着き、興味が湧いて入ってみたポケモンミュージカル。今、自分はその観客席に座ってミュージカルを眺めていた。舞台の上では西部を連想させる衣装を身につけた見知らぬルカリオが、得意気に演じている。評価はあえてしないが、舞台の上に立って堂々と演じている姿は少なくともスイレンの目を奪うには十分だった。
「うわぁ、すごぉい……!」
まるでゲームの中からそのまま出てきたようなステージに、スイレンはきらきらと目を輝かせていた。こんなにも平和にミュージカルを見る事が出来ている為か、頭からはすっぽりドリームメイカーズの事が消えていた。
実際ここに来るまで大きな事には巻き込まれていないし、ポケモンの姿にも慣れてきて楽しいと思えてきたところなのだ。それならばこうやって楽しんでも罰は当たらないだろう。
そんな気楽な考えの中、ミュージカルを眺めていると不意に隣から話しかけられた。女性の声だ。
「あんた、ミュージカルは始めて?」
「ほえ?」
スイレンが振り返ってみると、そこにいたのは簡易的なシャンデリアを連想させる姿のポケモン・シャンデラだった。ただしその後頭部にはオレンジ色のリボンをつけており、右目にはモノクルをつけている。
その変わった姿にスイレンはぱちぱちと瞬きしながら、つい思ったことを口にする。
「モノクルリボンシャンデラだー」
「おいこら、なんちゅー返答だ」
「あ、ごめんなの! そんなつもりは無かったの!」
「いいよ。わざとじゃないのは分かってる」
一気に不機嫌になったシャンデラに慌てて弁解するも、彼女はさらりと流して小さく笑う。どうやら見た目やタイプと違い、結構触れ合いやすい性格のようだ。
スイレンは軽く座りなおすとミュージカルからシャンデラへと顔を向けたまま、先ほどの質問に笑って答える。
「うん。ミュージカル初めて見るの! こうやって見れるなんて夢みたいなんだ」
「へー、そうなんだ。うちは偶に見に来るぐらいだね」
「常連さんなの?」
「いや、暇潰し目的。あんまり興味は無いけど、気分転換にはなるかなーってね」
「あ、そーなんだ」
あっさりしたシャンデラの返答に、スイレンはちょっと呆気にとられる。適当に流すように答える様子からして、本当にミュージカルのファンというわけでもなさそうだ。
勿体無いなぁ、と思うけれどそれ以上深く聞こうとは思わなかった。言葉が思い浮かばなかったし、何を聞けばいいのかもパッとには思いつかなかったのだ。
2011/09/11 Sun 23:14 [No.664]
いぬ
東方原曲で当て嵌めてみました。
まだまだあなだらけ。
.
スイレン: www.youtube.com/watch?v=NxFQEJF4fPk&sns=em
ヤグルマ: www.youtube.com/watch?v=8EUeYkXnkYw&sns=em
アルビノ: www.youtube.com/watch?v=Nl9V6IpDSGE&sns=em
あきはばら博士: www.youtube.com/watch?v=P5VwW1D10LU&sns=em
空色代吉: www.youtube.com/watch?v=vAqKssnvQ54&sns=em
ゆな: www.youtube.com/watch?v=RyVbQsX4Ou8&sns=em
セバスチャン: www.youtube.com/watch?v=QQbCthOxWhc&sns=em
ロサラ: www.youtube.com/watch?v=oDYBMuxDWBI&sns=em
ケイタ: www.youtube.com/watch?v=YhHeAEP3MaU&sns=em
椎名: www.youtube.com/watch?v=XpNBkkdngk0&sns=em
Makoto: www.youtube.com/watch?v=ecuAc5_tjT0&sns=em
シェイクス: www.youtube.com/watch?v=5uTgRYLVZCg&sns=em
フィリット: www.youtube.com/watch?v=i6B3M0L8vR8&sns=em
ジャグラー: www.youtube.com/watch?v=Re4VDPV76wM
ゆとり: www.youtube.com/watch?v=Yc4RQKoJxIQ&feature=related
クルーザ: www.youtube.com/watch?v=HW2pOC9XIg0&sns=em
いぬ:
海の神竜ラプラス: www.youtube.com/watch?v=OihtMtijWNo&sns=em
レナ: www.youtube.com/watch?v=tpfU45IC-TM&sns=em
フィッターR: www.youtube.com/watch?v=ZhPdKBwEOPA
あんびしゃん: www.youtube.com/watch?v=jzgFeufptus&sns=em
セクト: www.youtube.com/watch?v=3tbhVq-O9JA&feature=related
斬: www.youtube.com/watch?v=SmzWs1Kt360&sns=em
アイシス: www.youtube.com/watch?v=famB5A7hqNw&sns=em
朱鷺: www.youtube.com/watch?v=dksVT0dAjk4
まかろん: www.youtube.com/watch?v=MVYlQf6xxtg
サントアンヌ号: www.youtube.com/watch?v=KmFUSBp4Uro&feature=related
ヒカル: www.youtube.com/watch?v=lBqygqnhJzo&feature=related
ツカサ: www.youtube.com/watch?v=GvsBGN7phQ4&feature=related
ルナサ・クリスティ: www.youtube.com/watch?v=Tb5yGnhD7AE
ABA: www.youtube.com/watch?v=DWyYQli0Myk
ヘンリエッタ: www.youtube.com/watch?v=ZCcrSbRtkrc&feature=related
シュガー: www.youtube.com/watch?v=Ip5sLfsoneM&feature=related
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つかれました
2011/09/06 Tue 01:51 [No.650]
空色
柔らかな陽射しが降り注ぐ雲海にポツリと顔を覗かせる、タワーオブヘブンのその頂上。
無機質なタイルの上で、一匹の白い生き物が何やら小さな機械を片手に呟いていた。
「――えっ、元人間? そ、それはどういう意味ですか?」
『申し上げた通りでございます。貴方達とは別の存在とみられる、多数の元人間の出現が、確認されました』
「……わあ」
『感嘆してないで貴方も早く本部に戻って来てくださいませ空色様。どうせ、またいつもの場所におられるのでしょう?』
あ……こっそり来てるのは、バレバレでしたか。
「そうです、すみません。了解です、私もすぐにそちらに向かいます」
通信機のスイッチを切り、映らなくなった画面を見つめながら、その白くてずんぐりとして、大きな翼を持ち、所々に赤と青の模様のあるのが特徴的なポケモン――トゲキッスは、ため息を吐く。
それにつられるかの様に、首に下げている首飾りのワンポイントの青いガラス棒も、揺れる。
この世界に私達以外の人間がやって来た……?
ここへの行き方は、私達ドリームメイカーズしか知らないはずなのに。
内通者? いや、それは無いと思いたい。だとすると……
単純に、私達以外の人がどこかであのURLを知ったって考えるのが無難なのだろうか。
それなりに人数も確認されている。まだまだ増える可能性も多いにあり。
そして彼らがどう動くかは、現状では予想出来ない。
面倒な、展開だな。
「なんとなく、いつかはこういう事になりそうな嫌な予感はしてたけどさー……なんて、うだうだ言っている場合じゃないや」
私は私のやれる事をやる。それは変わらない。
通信機をしまい、軽く息を吸ってから両翼を広げる。
そのまま軽く助走をつけ、屋上から光の海へと飛び込む。
雲を突き抜け、塔の壁に沿いながら落下し、そして流れる風を掴んで平行を保ち、空色と呼ばれたトゲキッスは塔から離れていった。
眼下に広がるは緑豊かな大地。頭上に広がるは蒼天のドーム。目先に見えるは二色の境目。
帯のような風に包まれ、一体化したかの様な感覚が心地よい。
……こうして空を飛んでいると、この世界にもこの身体にも、随分慣れたものだと実感出来る。
自力で飛ぶことや、ましてやポケモンになるだなんて、とてもじゃないが叶わない事だと思っていた。
だがいざなってみると、そしてそれらが普通になってしまうと、考え方の視点が変わったせいか新たに疑問に思う点も増えた。
くだらないと言えば、どれもくだらない事ばかりなのだが。
例えば、教科書にも載っている有名なあの歌。
他の何よりも翼を求め、大空に羽ばたきたいと願ったあの歌の歌詞の中では、空は悲しみのない自由な世界だと歌われている。
人間だった頃は、この歌詞に激しく共感していた。だけど、今は一概には賛同出来なくなっていた。
この大空には決して、悲しみが無いわけでは無い。と、思う。
そう思うようになったのは、ゲームをやっていた頃からお気に入りだったあの塔、『タワーオブヘブン』にこの世界で訪れた事がきっかけだった。
天まで高くそびえるその塔の頂上にある、鳴らすと魂をよろこばせられるといわれている鐘。その音色は、天にも地にも分け隔てなく降り注ぐ。
わざわざこんな高所に鐘を釣るしたのは、この鎮魂の音色を地上だけではなく空高くにも響かせたいと、誰かが願ったからではないのだろうか。
なんて、実際に何度も訪れてみては鐘を鳴らし、その音を肌で感じてみていたら、そう考える様になっていった。
いずれは起こるであろう次の戦いでは、あの鐘を鳴らす対象が、増えるのだろうか。
まあ、
増えたとしても、増えなかったにしても、
増やしたとしても、増やさなかったとしても、
またタワーオブヘブンにやって来たいという気持ちは、変わらないのだが。
――また来れたらいいな。あの鐘を鳴らしに。
◆◇
敵方なのでプロローグの替わりに顔出しを書かせていただきました空色です。
一旦本部に戻ってから様子をみて、追撃なり他の所に突撃なり再出撃を今のところは考えています。
時間軸としてはゆなさん単騎出撃直後あたり。
初めての自キャラ参戦、そして敵役ポジションという事で緊張していますが、遅れを取らないように、でもじっくりと展開を紡いで行きたいです。
2011/09/05 Mon 23:22 [No.644]
いぬ
雪の塊の上に眠りこけているのは、一匹のユキメノコ。
周りは巨大な氷柱に囲まれているが、その中に閉じ込められているのは――
「……ふが」
――と、不意に彼女から寝息混じりの寝言がこぼれる。
そんな彼女が眠っている雪の塊……と言っても新雪であり、ふかふかの布団と似た感触。
そう、この眠っているユキメノコは感想を述べていたようだが、普通生身の人間がそこで眠ったら間違いなく凍傷以上の怪我をするに違いはなく。
しかし、こおりタイプをもつユキメノコにとって、この雪のベッドはちょうど良いのであろう。
それも、やはりこのユキメノコが言っていた訳で――
「いぬさん、起きて下さい」
そんなユキメノコの眠りを覚ます一声が、広く寒々しい部屋――若しくは冷凍庫か――に木霊する。
じゃり、と床の氷雪を踏みながら一匹のポケモンが彼女のもとへと歩みを進めて行く。
起こしに来たポケモンの種族はミルタンク。だが、通常のそれとは身体の色が違っている。
そのミルタンクには白いナースキャップを被っており、白い布地に赤十字の刺繍が際立っていた。
ターコイズ、と言えるであろう水色の珠をしたロザリオを揺らし、彼女の雪塊(ベッド)の前――を覆う氷柱の塊まで足を運ぶ。
……と、その氷柱の群れから、先程まで眠っていたユキメノコがすり抜けて出てきた。
「……あーー、…はよー」
「もう朝の刻はとっくに過ぎております。」
「んなもん知らねえよ乳牛ナースさんよぉ。あたしの感覚で行くともっと遅く起きても何ともねーんだっての」
「幾ら“元人間”とは言え、」
「定刻通りを弁えて貰わなければ迷惑ですので、ってかァ?分かってるっつのくそが」
彼女(ユキメノコ)の名前はいぬ。
この世界からやってきた元人間である。
「で。何か用かよ乳牛ナース」
「“貴方達”以外の元人間の大量出没が確認されました。」
と、いぬの未だ眠たそうだった視線が急激に鋭く変わる。
それを確認したかは否かは分からないが、色違いのミルタンクは説明を加える。
「詳細はセバスチャンさんから伺っておりますが、元人間は各地に居るとのこと。私達のことは恐らく何の把握もされてはいないでしょう。」
「……どこら辺に集りそうかね」
「ライモンシティですね。現場にはゆなさんが向かっていきました。」
いぬが仲間として加わっている組織――ドリームメイカーズの同じ元人間のゆな。
種族はシャンデラ。自他共に認めるサディスティックっぷりが印象的である。
彼女の性格も種族としての攻撃火力も、来たばかりの元人間の己の把握し切れていない状況も、その双方があるが故に“元人間”の犠牲者なしとは先ず有り得ないだろう。
……だが。
「へえ、面白そうじゃねーかよ。あたしも見に行くわ」
「高みの見物と言ったところでしょうか。」
「まァな」
いぬは自身の被っていた赤頭巾を翻し、やけに無邪気な笑顔で、こう言った。
「可愛い女の子でも見つけてきたいしな」
******
というわけで、いぬのプロローグもどきです。
ヘンリエッタは元からだけど、マロースもお留守番です。
2011/09/05 Mon 23:05 [No.643]
ジャグラー
※テーマ曲のなかにはニコニコ動画の曲もあります。
もしアカウントを持っていない場合、その動画の名前だけをコピペしてにこさうんどで入力すると聞けます。
なお、次回作設定スレの方に投稿されているキャラにのみ反映しています。ご了承ください。(他の方が投稿したら追加することもあります)
敬称略、お許しください!
DMのテーマ
www.youtube.com/watch?v=Kk66VwxFKrs
マコトのテーマ
www.youtube.com/watch?v=y1JbZCVjSsU
シェイクスのテーマ
www.youtube.com/watch?v=k5XIkdbva50&feature=related
スイレンのテーマwww.youtube.com/watch?v=BFAb2-K0KzI&feature=related
ゆとりのテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm13660768
斬のテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm8634812
ジャグラーのテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm12447718
セクトのテーマ
www.youtube.com/watch?v=cQ-b3YYQR80&feature=related
アイシスのテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm6915191
あんびしゃんのテーマ
www.youtube.com/watch?v=gVSrpAN6yE0&feature=related
あっくんのテーマ
www.youtube.com/watch?v=e-EouE0vmeg
海の神竜ラプラスのテーマ
www.youtube.com/watch?v=lzNg7UJ3EgU&feature=related
サントアンヌ号のテーマ
www.youtube.com/watch?v=o8ztDkWjZxg&feature=related
ヒカルのテーマ
www.youtube.com/watch?v=kHQ_9MKgdNE&feature=related
ツカサのテーマ
www.youtube.com/watch?v=qHkizMXa3Lw&feature=related
ゆなのテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm13978486
セバスチャンのテーマ
www.youtube.com/watch?v=NQ06c6xc0zs&feature=related
空色代吉のテーマ
www.youtube.com/watch?v=WRSvDI47YuM&feature=related
仙桃朱鷺のテーマ
www.youtube.com/watch?v=lKbq7g7OHTY
椎名のテーマ
www.youtube.com/watch?v=b-mq1zyMxqI
ヤグルマのテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm7456194
いぬのテーマ
www.youtube.com/watch?v=DubIGfAf3CE&feature=related
ピンサロ太郎のテーマ
www.youtube.com/watch?v=hO2HyOTW8o8
セバスチャンのテーマ
www.youtube.com/watch?v=dYBeJqqLFF0&feature=related
ロサラのテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm6494891
ケイタのテーマ
www.nicovideo.jp/watch/sm6565648
フィリットのテーマ
www.youtube.com/watch?v=VLkPwEaxJ30&feature=related
クルーザのテーマ
www.youtube.com/watch?v=Y9sc5rpuAKg&feature=related
あきはばら博士のテーマ
www.youtube.com/watch?v=9FQckZCSa2c&feature=related
まかろんのテーマ
www.youtube.com/watch?v=lKbq7g7OHTY
フィッターRのテーマ
www.youtube.com/watch?v=Oc5WpDsPDmY
レナのテーマ
www.youtube.com/watch?v=rvKsK7Cubyc&feature=related
2011/09/04 Sun 22:15 [No.639]
あきはばら博士
クルーザは自称最速である。
いや、言い直そう。
クルーザ様は自称最速である。
彼は昔から何事も一番でなければ気がすまないタチで、小さいときは片っ端から勝負を挑み続けて、どんなことでも一等を取るまでは絶対にあきらめず、何度も何度もチャレンジをしていた。
とにかく負けず嫌いで、現在ではだいぶまるくなったと本人も思いかえすが、その本質は変わってない。
そんなあるとき出会った最速の称号に心惹かれて、速さを追究するようになり。自ら最速を名乗り始めた。
自分が最速であるための日々のトレーニングを欠かさず、ちょっとした大会でも優勝を収めている。セクトが哲学者ならば、クルーザはアスリートだろう。
DMにはある人物からの誘いを受けて加入した、DMの目的は完全に理解をしていないが、目的の完遂後には新しい世界が開けることからその挑戦心が加入の理由であり、またそれまでツッパって敵を作って生きていた彼にとって誘いが素直に嬉しかったこともあるだろうか。
自称では有るが誰もその最速の名乗りに異議を唱える者はいない、少なくとも現時点に限れば。
・
「ずいぶんと派手にやっちまったようだな」
シャンデラのゆなの襲撃を受けて命からがら逃げ出してきたフィリットとジャグラーと気絶しているまかろんの前に、一匹のフローゼルが立ちふさがっていた。
ここはホドモエシティの出入り口、モニュメントが目をひくブリッジ西口。
「あのモノクルにやられたみたいな焼き焦げから、おめえ達があっちの世界からやってきたという元人間だな? そうだろ」
それを聞いて、気絶しているまかろんを背負ったジャグラーが目を見開いて尋ねる。
「ま、まさかお前もドリームメイカーズの」
「その通り、俺様はドリームメイカーズの一人、誰もが俺様をこう呼ぶ、最速の男っ! クルーザ様だ!」
フローゼルのクルーザは見得を切って、あらかじめよく練習していたような動きでとてもかっこいい(自称)ポーズを決める。
「手ごたえのある相手で――」
その瞬間にフィリットの猫騙しが決まった!
先手必勝、もうさっきのような惨劇は繰り返したくない、怖い繰り返したくない。
クルーザが怯んでいる隙に、フィリットはとび――ひさげりには成らず、とびげりをクルーザに蹴り込んだ。
「くそっ てめぇぇ!!」
悪態を付けながらゼロ距離でんこうせっかから刹那においうちをすることで、弾き飛ばしたフィリットに追撃で2連打を叩き込んだ。俺様コンボ#1(命名:クルーザ)だ!
フィリットは立ち上がり再びとびげりをするが、ダメージで意識が半ば消えかかっている。
その攻撃はかわされカウンターでクルーザの拳が彼女のみぞおちに吸い込まれて、気を失った。
「フィ、フィリットさん!」
気絶したまかろんを地面に置いたジャグラーがクルーザに殴りかかる。不完全ではあるがマッハパンチの形だが。
「おせえ」
クルーザはしゃがみけたぐりで相手の足を崩して、たきのぼりの激しい水流と共にアッパーカットした。
ジャグラーの意識は闇に包まれた。
・
・
「やっちまった……」
沈黙する3人の前に、クルーザは悩んでいた。
これは捕縛して本部に持ち帰るべきだろうけれど、さすがのクルーザも3人持つのは無理だ。誰か一緒に連れてくるべきだったと後悔していた。
連絡を入れて誰か来るのを待ってようかと考えていると、
「待ちなさい」
「あぁ?」
そこに色違いの青いジュプトルと、普通の緑のジュカインがいた。
「なんだ、青薔薇のねーちゃんじゃねえか。こんなところに何の用だ? ん、ひょっとしてこれはおめえの仕業か?」
「その質問に答える義務は無いわ」
青薔薇のねーちゃんことレナは立ち去れとばかりに右手を向けて威嚇する。
「彼氏連れで来るとは妬けるね。心配するな、デートの邪魔はしないぜ」
「…なっ」
「帰る。気分が乗らねぇ」
そう言い捨てて、クルーザは川に飛び込む。そしてあっと言う間に泳ぎ去っていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フィリット&まかろん&ジャグリオを例にしていますが、このような形でホドモエに逃げたチームをジュカッター&レナに合流させる予定です。
クルーザは気に入った人に変なあだ名を付ける設定です。ジュカッターには青薔薇の彼氏とか付けそう。
クルーザはレナの速さを見込んでDM関係で戦う以外にプライベートでも勝負を挑んでいるだろうと思い、お互いによく知っている関係として書きました。
2011/09/03 Sat 23:37 [No.632]