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ゆな
スイレンはその顔につられて、彼女の夢を肯定した。
「素敵な夢だね」
「ありがとさん。……夢が現実になる時は多分遠くないと思う」
「え、そうなの?」
「うん。それを目指してる人が色々いるし、結構実現も近いんだよ。まっ、最悪の場合うち一人になってもやり通すけどね。でなけりゃ、何の為に頑張ってきたんだって思うもの」
「……すっごい叶えたいんだ」
「だからうちはここにいるんだよ。あんたはそういうの無いのかい?」
「え? えーと……」
シャンデラから不意に訪ねられて、スイレンは頭を悩ませる。夢、と一言で言っても何になりたいとか、何をしたいとかは具体的に思いつかない。それに今の状況だって十分夢のようだし、これ以上の望みは自分の年齢では中々思い浮かばないものだ。
どう言おうかと悩んでいると、ふとシャンデラのモノクルについている歯車のストラップに目がついた。そのストラップには「D」と書かれており、それと夢という単語からふとドリームメイカーズの事を思い出した。
スイレンは慌ててシャンデラにドリームメイカーズの事を訪ねる。
「あの、ドリームメイカーズって知りませんか?」
「ドリームメイカーズ? ……知ってるけど、急にどうしたのさ」
「えとね」
シャンデラの返答に対し、スイレンは己のこれまでの事を話した。
自分が元人間であること、不思議なアドレスをクリックしたら不思議な声に導かれてこの世界にやってきたこと、元人間が自分達だけではないこと、全員共通で「ドリームメイカーズを止めてほしい」と言われたこと、などなど。
彼女の話を黙って聞いていたシャンデラは少し考え込んでいたが、やがてため息をこぼすように口を開く。
「……なるほど。『ドリームメイカーズの暴走を止めてくれ』っていう不思議な声に導かれたんだ、元人間のポケモン達は」
「そうなの。だからシャンデラが何か知ってるなら、教えてほしいなぁと思って……ほら、夢を叶えたいって言ってたし、その人達に邪魔されても嫌でしょ?」
「まっ、邪魔されるのは確かに嫌だね。……ねぇ、あんた名前何て言ったっけ?」
「スイレンだよ」
「良い名前だね。ねぇ、スイレンはどうして倒そうって思ったんだい?」
「成り行きかな。アドレスクリックしたらいきなりこっちに来ちゃったし、頼まれちゃったからやるしかないって思ったの!」
「……そう」
スイレンが思ったままに理由を話すと、シャンデラは少し声のトーンを落として答えた。その様子に機嫌を損なわせてしまったと思い、慌てて弁解しようとするがそれより早くシャンデラが言った。
「……いいよ、教えてあげる」
「え、ホント!?」
「ただ、ここだとちょっと話しづらいから……外出ようか」
未だに声のトーンを落としたまま席を立つシャンデラ。スイレンが何か声をかけようと思ったが、予想よりも早くミュージカルから出ていこうとする彼女の後を追いかけるのに精一杯だった。ミュージカルをもう少し見たかったけど、それはどうも叶いそうになかった。
2011/09/15 Thu 00:44 [No.685]