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Makoto
「そうだ、自己紹介がまだだったね。ぼくの名前はシェイクスっていうの。よろしくね!」
「僕はマコトだよ。えっと… シェイクスくん、さっきは起こしてくれてありがとね」
「へへ、どういたしまして。それと、ぼくのことは呼び捨てでいいよ? “よぉ、シェイクス”って感じでさ」
「それだったら、僕のことも同じくでいいよ。その方がお互い呼びやすいでしょ」
自己紹介してから打ち解けるまで、それほど時間はかからなかったようだ。なんだろう、こうやって話してると自然と温かくなってくる。そんな気がした。
「ここら辺じゃ見かけないポケモンだから、ぼく友達になれてうれしいよ!」
「ハハ、それは僕も同じ――ポ、ポケモン!?」
「どうしたの? キミ、どこから見てもマリルの姿だよ?」
シェイクスの何気ない一言に、突然現実に引き戻された僕。
ちょっと待て… じゃあ、これってもしかして!? 僕は川の方へ無意識に走っていた。今思えば、慌てふためいていて気が動転していたのは覚えている。
そして水面の映る自分の姿を見て――確信した。
「本当だ…… 僕、みずねずみポケモンの、マリルになってる……」
夢なのかと思って一度頬をつねってみたが、その考えは痛みが伝わったことから打ち消した。一度深呼吸をすると、もう一度水面を覗き込む。
全体的にボールのように丸まった体に、くりっとつぶらな黒い瞳、ちょこんと青く丸い形で立っている耳、白くふっくらしたお腹、風船みたいに青い先端が付いた黒くギザギザに伸びきった尻尾……
「夢、じゃない。僕ポケモンになれたんだ! それに、今僕と一緒にいるのって……」
「ねぇ、マコトー? さっきから川の方ばかり見つめてどうしたの?」
しきりに水面を見つめる僕を見て、不安そうに声をかけるシェイクス。
まさかとは思っていたが、ポケモンでよくパートナーとして使っている可愛いポケモンと会えるなんて、夢にも思わなかった。それも、今僕の現実に……
「君、もしかしてだけど… “ラッコポケモン”のミジュマルなの? イッシュ地方の御三家ポケモンの一匹の……」
「そ、そうだけど?」
「やっぱりそうだったんだー! 可愛いよミジュマル、僕の大好きなポケモン! きゃあー、抱かせてぇー!!」
「わわっ、ちょ…! こ、こんな所で恥ずかしいよ……!」
「あぁ、何て幸せナリかぁーッ!!」
可愛いポケモンを前に我慢できず、気が付くと僕はシェイクスを抱き上げて空の方へ高く掲げていた。今思えば、僕は何てバカな事をしたのだろうか。
無論、突然の“たかいたかい”に驚いてしまったシェイクスが、もう一度僕に<みずでっぽう>をお見舞いしたのは言うまでもない。
と、マコトとシェイクスの出会いの場面は、一先ずここまでにしよう……
――――――――――――――――――――
そして、今に至るという訳だ。
合流したマリルとミジュマル――マコトとシェイクスは、ふと手に持っているきのみを互いに見つめ合い、クスッと微笑む。それからバッグの中に、収穫されたきのみを次々に入れていった。
「シェイクス、そんなにせかせかしなくても。折角ポケモンになれたんだからさ、もう少し自然を堪能してこうよー」
「何言ってるの、マコトってば。ちょっとでも目を離すと、きのみ取りの事ばかり考えてるんだからなぁ… それに、一度にきのみたっくさん持ってきすぎだよ」
「体が小さいって、結構大変ナリな……。知らないきのみが無いかなーって夢中で探してたら、いつの間にか手元にはこんな風に」
「こういうの“ケンキュウネッシン”っていうんだよね……。まぁ、いつものマコトらしいから別にいいけど」
「他人事みたいに言うなよ、こっちはいっぱい拾いまくっててそれ所じゃないってのに……」
きのみ拾いをしながらのんびり構えているマコトと、ライモンシティに向けて早く行こうとせっかちになっているシェイクスは互いにそう言って顔をふくらます。言葉ではじゃれ合いながらも、怒ってる様子はみじんもない。
「まぁ、数ではキミには負けてないし、それにスピードだって本気を出せばキミなんかあっという間に追い付けるさ」
「あ、言ったな!? じゃあ、今度かけ橋を越えてく時にどっちが足が早いか競争だ! これでもぼくはいつでも本気なんだから!」
「よし、受けて立とうじゃない! それでこそ僕の良きライバルナリ!」
「絶対に負けないからね…! それじゃあ、よーい、ドン!」
2匹は互いに顔を合わせてうなずき、走り込みの態勢を作ったかと思うとさっと駆け出して行った。そう、ライモンシティの方へ一斉に。
2011/08/27 Sat 22:20 [No.597]