Net4u レンタル掲示板を作る
宮野
(上の続きです)
「……なるほどね。夢の中で女の子が現れて、『心を失う』と言ったんだね……」
「はい……」
「でも、その女の子は何か事情があるんだと、あたしは思うよ」
夢に現れ、シンに意味深な発言を言う女の子の言葉に悩み続ける彼に、ユウはアドバイスを受ける。
「心を失うのは、そんなに簡単じゃないと思うんです」
「タクト君?」
タクトが言う。その発言にリオが驚く。
「心を失えば、取り戻せばいいんです」
「あんたなあ……簡単じゃないんだぞ。心を取り戻すのは」
「う……」
「……そうなんですか?」
タクトの発言にユウが突っ込む。
時間は過ぎ、時刻は昼3時。
風が強く吹き、草が生い茂る。晴れていて快晴。澄んだ青い空は観る者を圧倒する。
「さて、どうしよっかな……」
「姉さん、買い物行こうぜ」
「まだ早いだろ。夕方って言ったじゃないか」
タクトの言葉にユウがまたもや突っ込む。姉弟の会話はこうである。そんな2人をシンは笑む。
「あ、あれ? さっきまで空が青かったのに……」
しかし空は一変。暗く灰色の曇った色に変化。雨が降るのかと思いきや……。
「見つけたぞ、『銀色の髪をした少女』を宿す者よ」
「な、だ、誰だよ!?」
現れたのは、赤色のフードを被った謎の青年。見た目は人間に近いが、随所に機械の腕や武器が残る。ユウの発言を無視し、青年はシンを狙いを定める。
(『銀色の髪をした少女』……!? 夢で見たあの子……!?)
「先輩、逃げろ! こいつは……」
タクトは二刀流の剣を装備する。
「貴様は震えているな。だがもう遅い」
赤色の雷がタクトに直撃する。手も出せずに倒れるタクトをユウが看護する。
「ぐあああああっ!」
「タクト君!!」
「タクト!? 一体あんたは何なんだ!?」
「教える必要はない。シン・カミナギ……」
シンはタクトに近づく。青年はシンに再び狙いを付ける。
「お前の『心の欠片』は崩壊させてもらう! 死斬硬破斬<しざんこうはじん>」
「あ、ああ……! あうっ!」
連続で切り込む剣技。シンの体に斬り込まれ、服もボロボロになった。防御も出来ない技に、シンは気を失う。
「シン!! おい、しっかりしろよ!」
「これで役目は果たした。せいぜい感情が砕けるまで放っておくか」
「こ……この……野郎……!!」
「女性が怒ると怖いな……可愛らしく生きろ」
「うるさいッ!!」
シンを傷つけた青年。彼の挑発にユウは怒りを放つ。そして……。 彼女の身体から青い電撃が放つ。彼女の体質が変わってしまう。
「あたしは弱くて、何もできやしないんだ……彼を守る事なんて……」
「ううっ……」
気を失っていたタクトは、シンを見て彼のとこへ行く。
「先輩!? だ、大丈夫ですか!?」
気を失ったシンをただ観るしかないタクト。前を振り向くと、ユウが何らかの力を発動をしているのを目撃する。「電撃」、または「雷」。すなわち電気を操る能力。
「ね、姉さん……!?」
タクトは驚く。
「お前は、あたしが絶対に倒す!!」
覚醒したユウ。タクトは驚きを隠せなかった。
「ふっ、勝負はお預けだ。だが、彼を見ろ。もうすぐ心が消える……」
青年はユウが覚醒した事を尻目に姿を消す。
「くそっ!! あいつはあたしが絶対に倒してやる!」
ユウは彼を敵と認識し、心に誓った。
「先輩! あ……」
タクトの目の前でシンの心の欠片が崩壊し、四散してしまった。欠片はどこかへ飛び散ってしまう。シンは感情の殆どを喪失してしまったのだ。
「う、嘘……でしょ……そんな……シンの欠片が消えた……? 嘘だ、嘘だあああああ!!」
急いでシンが倒れている場所に行くが、時すでに遅く、泣け叫ぶユウ。涙が止まらなかった。自分が歯がゆい。
そして、責任を押し付けられた彼女は―――。
「……姉さん……」
「……ツナシさんに言おう。全部の事」
「だけど……!」
「あたしが悪いんだ! あたしが……全部悪いんだ……」
リクのとこへ行こうとするユウ。シンを抱えながら、急いでリクの家に向かう。
2011/12/08 Thu 03:23 [No.749]