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宮野
第一章「出会い」
★桐鐫市(きりのみし)某所 エトミヤ家・ユウの部屋(平日・夜)
「今日も徹夜で頑張るぞ……」
少女は部屋で勉強をしていた。
彼女の名はユウ・エトミヤ。16歳。春に高校2年になったばかりだ。元気で明るい性格だ。
両親は海外旅行で家を開けている為に弟・タクトと二人暮らしをしている。
「……とは言っても、窮屈過ぎるんだよなぁ。外の空気吸おうと」
と言い、ユウは立ち上がり窓を開け、外の空気を吸う。窓を閉めようとした瞬間、ユウは一人の影を見る。
「え、何!? あたしを見た……?」
黒い髪に、エメラルドに近い緑色の瞳をした少年。服装は銀色の甲冑を身に纏い、黒色のマント――騎士姿。
年齢はユウと同い年と見られる。少年は家の屋根を軽々と跳び、図書館へ向かった。
「凄い、あの子……。でも、図書館に何か用があるのかな……。よし、追ってみようか!」
彼女は彼の後を追い、興味津々で図書館へ向かう。
★桐鐫市・私立桐鐫図書館(平日・夜)
「って、閉まってるし……当たり前か……」
図書館へは行ったものの、閉まっていた。平日は朝10時から夕方6時、土日は朝9時から夕方5時まで開館している。
だが彼女はくじけなかった。普段は閉まっていたドアを開けてしまった―――――――。
中へ入ると、本棚はあったが、室内は変わっていた。
「ど、どうなってるの……? と、とにかく次に行こう……ってうわあ!!」
エントラスに入ると先ほど見た黒い騎士姿の少年と紫色の騎士姿の少年が銃と大鎌を持ち、戦いを繰り広げていたのだ。しかも彼女の目の前で。
「へえ……中々やるじゃないか」
「……それはお互い様だ」
会話を交えながら、銃声と鎌の音が響く。
「凄い! あんなの、見た事が無い!!」
ユウは驚いていない、寧ろ喜んでいるのように我を忘れて、歩きながら2人に近づく。
「誰……? どうして女の子が……何をしているんだ、君!」
一人の少年がユウに呼び掛けるが、ユウは聞く耳を持たない。
「貰ったあああぁぁぁ!」
「くっ、『ディヴィニバリア』!」
鎌から発生した衝撃波が、ユウに迫ろうとしたが、彼が発した橙色のバリアが発生するが、爆発が起こり、バリアは消え、その衝撃で本棚がユウに向かって倒れる。
「……危ない!」
急いで彼女を庇う少年。煙が充満し、辺りが見えなくなる。
「え、あたし一体何を?」
煙が消えた後、我に返ったユウが見たのは大鎌を持った少年が目の前にいた。下を見ると、さっき庇った銃を持った少年が倒れていた。
「くっ、やるな……」
「お、重い……」
「! す、すまない……」
ユウを庇った少年は、すぐに謝る。とそこへ大鎌をユウに向かって攻撃態勢をする少年が……。
「その子見た事無いな……さっさと始末しようか。その前に、こいつを倒すか。覚悟しな、神威」
「……始末するのは、貴様の方だ」
再び銃声と鎌の声が響き渡る。しかし少年――神威の蹴りの一発で鎌を蹴り飛ばした。
「し、しまった……」
「もらった……!」
少年の胸に銃を向け、青白い光が彼を包み込む。
「え、ええっ!? どうなってんの、これ……?」
驚くユウ。
『邪悪な心に使わせない……心の宝石、全ての力を解放し、元の姿に戻れ』
彼の胸から現れた金色の宝石―――エレイシアを抜き取られていたのだ。
「これが……あんたの輝き……」
「返せ……返してくれよ……」
うつ伏せに倒れた少年。ユウはただただ見守るだけだった。
「だが、この力を邪悪な事に使ってはいけない……永遠に封印する――終わりだ、リーズ」
「俺はあいつを守りたくって、この戦いに入ったのに……くそおおお!!」
大鎌を持つ少年――リーズは悲鳴を上げ、消滅した。
「消えた……!?」
リーズが消えた事に驚くユウ。
「不思議だな……俺達の空間に何故入ったんだ?」
「何故って……こっちが聞きたいよ! 今のは何なの? あの男の子は!? いや、それより君は……」
パニックに陥るユウ。と此処で鐘の音が響く。
「……ごめん、君を巻き込んでしまった。だけど、俺の姿を見なかった事にして欲しい。その方が良いと思う」
と言い、神威は銃の宝玉から青い勾玉を取り出し、ユウに見せる。勾玉が光り出す。
「あ、あれ……記憶が……どうしちゃったんだろう……」
「ごめん……」
ユウは気を失う。図書館に居た事、彼を見てしまった事を全て忘れる―――その勾玉は、特定の人物の記憶を消去させる、『蒼穹の勾玉』。
「おやすみ……」
2011/07/17 Sun 01:27 [No.449]