Net4u レンタル掲示板を作る
宮野
タクトはあたしとの会話もなく、1日、2日も家に帰ってこなかった。すぐ帰ってくるっていうのに、と心の底から思っていた。でも、何日も家には、彼の姿がいなかった。
「……あたしのせいかな」
自分がバカだった。ナギ君が来た当初から、タクトの様子が変だった。あたしの頬に、一粒の涙がこぼれた。そして、所持していた携帯で、ナギ君に電話をかけた。
『はい、シン・カミナギです』
「……もしもし……ナギ君?」
『エトミヤさん? どうしたんですか?』
声をからしながら、ナギ君に事情を話すあたし。
「タクトがいなくなった……」
『え!? ど、どうして……?』
「分かんないのよ。いきなりアイツが『姉さんなんか大嫌い』と言って、家を出て……。もう、何日も帰ってこない……」
『……タクト君を捜しましょう』
「え!? 無理だって」
いきなりのナギ君の発言に吃驚(びっくり)した。
『きっと、原因は僕にあるんです。だから……』
「……わかった。でも、タクトがどこにいるのかがわからない」
『図書館にいると思います。きっと、僕に戦いを望んでいると思いますから……』
図書館にタクトがいる? でも、なんで……。まさか、彼も……。
その夜、図書館――ナイトバニシングに向かったあたしとナギ君。というより、ナギ君、何そのコスチューム。本人に聞くと……。
「あ、その……リオさんが……」
どうやら、リオさんが用意したものらしい。どこかのアニメで見た学生服らしい。
「学園の制服じゃないのね。何か似合うじゃん」
「ど、どうも……」
図書館に到着したあたし達は、炎の弾が2人に向かって爆発した。
「っ!」
煙から影が見える。その姿は、騎士の服を着た……。
「う、嘘でしょ……」
あたしは一瞬、目を疑った。
「シン・カミナギ……いや、神威! どうして……姉さんと一緒にいる!?」
「……タクト君、こんな戦いはもう止めましょう! どうして戦わなきゃいけないんですか!?」
「うるさいッ!! お前なんか……いなければいけないんだ!」
二刀流の剣と炎を操る彼は、ナギ君に襲いかかった。
「タクト……ウソでしょ? 何で、能力者に……」
タクトが能力者と知って驚愕してしまった。何であんたがそこにいるの……?
「くっ!」
タクトの攻撃で、破片がナギ君の左足に被弾した。凄まじい威力だ。
「ナギ君!」
あたしはとっさにナギ君のところに向かった。
「姉さん! 何で……アイツを庇うんだ!?」
「あたしは彼に助けてもらった。あたしは……」
「エトミヤさん……早く逃げてください。エン……ゲージ!」
ナギ君は怪我を押して変身した。傷つく事でも戦うって、どうかしてるよ……この戦い。
そして、神威とタクト――詩樹玖の戦いが始まった。
2011/11/01 Tue 00:04 [No.709]