Net4u レンタル掲示板を作る

記事検索

記事検索フォーム
  • 検索結果 11件
  • 所要時間 0.011秒
キーワード

  1. Re^2: 画像投下用(とりあえず見せたい方向け)(-)
  2. アンハッピーリフレイン替え歌『お前の犬ラッキー』(-)
  3. Re: わけもわからず運動しだすとこうなる(-)
  4. わけもわからず運動しだすとこうなる(-)
  5. 大阪かヒウン、どっちが都会やと思う?(-)
  6. Re: 創造せよ! 次回Dream Makers!(-)
  7. Re^4: 短編 白旗の少女(-)
  8. Re^3: 短編 白旗の少女(-)
  9. Re^2: 短編 白旗の少女(-)
  10. Re: 短編 白旗の少女(-)

Re^2: 画像投下用(とりあえず見せたい方向け)

あんびしゃん(氷河期の賢者

JPG 1280x800 278.8kb

あたらしいアバター絵。

2011/09/05 Mon 23:41 [No.645]

アンハッピーリフレイン替え歌『お前の犬ラッキー』

あんびしゃん(氷河期の賢者

三段腹とテレキャスター 肥満の整列、アンハッピー
単身赴任で浮気 撃ち込んだ音妻の怒声
声が潰れるまで叫んで 近所の信頼を棒に振った
もう既に手に入れてたアンタ いい加減飽きたし手放すわ
「マンランライフこんにゃく畑!」
お部屋の中は少女漫画、
ミシンが既に無くなった 此処で一度返し縫いしようか
僕のお父さんの母の 曾祖父の祖父の曾祖父は
武将柴田勝家の二番目の弟子です でもそれ知人がついたウソです
北京の南で三転倒立
対抗して銀座でパパとコサックダンス
足りないものはもう無い、もう無い
そうかい? そうだよ、違うよ
お前の、家の、犬はラッキー
歩道の隅で平泳ぎ チャレンジしていたら 腹が、やばいことに
腹筋なんてあるはずないわ!
初めて貰ったサインボール 書かれたのはなぜか偽名でした!
つまりつまり意味はないの(サインボールには)
そうだね今すぐ飛び降りよう!
画面の向こう 目指したけど
行けるはずがない、哀れなオタク

2011/09/05 Mon 21:31 [No.642]

Re: わけもわからず運動しだすとこうなる

あんびしゃん(氷河期の賢者

――フリスビーである。
 そうだ、フリスビーをすればいいじゃないか。ピザで。
「ちょっと待ちなされそこの巨人!」
 振り返るとなんとなんと、そこにはシルクハットをかぶった紳士が空中でボディビルディングをしているではありませんか。一体私に何の文句があるというのでしょう。
「ピザじゃねえ。ピッツァだ……」
 なんだ思ったよりワイルドじゃないか。
 紳士は高速回転し、台風十二号とともに姿を消した。瞬間最高風速は25キロピッツァ毎時。台風もピンキリである。
 そうかピッツァか。ならいいだろう。しかしトッピングがしたい。諸君よ、そうは思わんか?……そう、思わないのね。
「緊急地震速報です! 台風十三号が、西に北上しています!」
 ――どういうこった。

 結局トッピングはしないわけだが、どうするか。というか私はフリスビーのやり方をしらない。一説によると、フリスビーの板はチャンピオンベルトに装着できないらしい。
「それー」
 背後にはガキがいた。おもむろにものを投げている。
「何をやっている、少年よ」
「野球! そしてそのおなかに、どストライーク!」
 腹に硬球がめり込まなかった。受け止めて縫い目をほどいた。いつの間に器用になった私の腹。
「いいかい、巨人! ものはこうやって投げるんだ!」
 ガキはボールを投げた。――ジャイロボールだと……こいつ、できる。
 私は少年の真似をしてフリスビーを放る。
 ――フリスビーは地面にめり込み、そのまま新世界を作った。少年は唖然とした。そして抵抗。いややめてくれ。
「なら! それ!」
 少年はトマトを取り出した。――なぜ。
「これで、トッピングするんだ」
「ありがとう少年」
 しかし、私のフリスビーはマグマに食べられている。
 マグマとトマトって同じ系統の色だよね。

「フリスビーはだめか」
 トマトを眺めつつ呟いてみる。素人でもできるようなこと――
 さっきグーグルで調べてもまともな結果が出なかったから、ヤ●ーで検索してみることにする。ワードは『やせる・スポーツ』。

 結果はマラソンがいいという結論だ。マラソンってなんだろう。もしかして短い距離を思いっきり走る競技だろうか。
 確か知り合いに走ることが不得意だとかいう奴がいたので聞いてみることにする。
「大山西海畠山、どうやったら早く走れると思う?」
「うーん、とりあえず顔を左右に思いっきり振って走るといいんじゃないかな。あとは足と手を一緒に出す。そうするとカッコいいと思うよ」
 私にとって大山西海畠山は親友なので、彼を信じて走ってみる。大山西海畠山にタイムを計ってもらい、五十メートルを走ってみることにする。私はマラソンをマスターすることができるのだろうか。
 しかし走るのが面倒になったので、先ほどほらったトマトで醤油を作ってみた。駄目だった。

 気を取り直していざ五十メートル。
 顔は左右に、手足は一緒に出す! 風邪を感じる。風邪をひいたようだ。どうでもいいや。
「すごいぜ、十八秒だ!」
 大山西海畠山は喜んでいた。ということは私は、マラソンマスターになったのだろうか。

 予備知識がないというのはいいものだ。それを純粋な形で楽しめるのだから。
 短い距離を全力でダッシュする競技、マラソン。私はそれを極めた。その事実だけが、今の私を鼓舞している。
 私は家に帰り、ダンベルを持ち、ダンベルを置き、ピザを持ち、口の中に入れた。また、私はポテトを持ち、口の中に入れた。
 今日の私は素晴らしい。大変満足している。今日マラソンをしたから、これでやせることができるはず。ピザが美味しい。トマトも美味しい。ふふふ、全ての歯車がかみ合った瞬間である――

 一ヶ月後、私の腹は体の周りを一周していた。おかしい。一度マラソンをすればやせると聞いていたのだが。私は大山西海畠山を一生恨むことにした。

「台風情報です、台風十二号は北西に南下しています。近畿地方から長州藩に向かって移動していますので、現地のリポーターの方はご注意ください!」

2011/09/02 Fri 22:20 [No.617]

わけもわからず運動しだすとこうなる

あんびしゃん(氷河期の賢者

私は運動をしたくない。
 というのも、運動できるほどの体ではないからである。
 まず腹が出ている。どのくらい出ているかというと、椅子に座った時に腹がたるんで、椅子の裏から一周して頭に乗っかるくらい。
 何故太ったのか、未だに思いだせない。幼いころ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ポテト、ピザ、ピザ、ピザ、ハンバーガーという何とも健康的でバランスの取れた食生活を送っていたものだから、原因不明だ。
 最近は、ピザ、ポテト、ハンバーガーに加え、コーラをよく飲むようになった。やせたいという願望はないが、さすがに頭に腹が乗っている状態は不便なので骨が溶けると噂の炭酸飲料を飲んでみている。
 ――舌が溶けた。
 もとい、しびれただけだが。
舌の機能を失ってしまうと、ピザを食べられなくなるので炭酸はやめた。
 やせる方法を調べるために、グー●ルで検索することにした。キーワードは『ドミ●ピザ・新メニュー』。これでやせるスポーツの名前が出てくる――こなかった。
 私は疑問に思う。何故ピザでやせれないのか。
 私は試行錯誤した。ピザを食べながらできるスポーツはないのかと。そして行きついた答えが――

2011/09/02 Fri 22:19 [No.616]

大阪かヒウン、どっちが都会やと思う?

あんびしゃん(氷河期の賢者

音楽が好きだ。
 俺の周りには常に音楽が流れていた。親父も、母親も音楽家というわけじゃない。でも音楽が好きや。おそらく遺伝子やろ。最初は子どものための歌。次はポップス。洋楽、ロックと来て今はR&B。音楽を聞いている時の俺は普段とは何か違うものがあった。なぜか、それを考えたことはないんやけど。
 音楽を聞いている時の俺が自然体。そして歌っている時の俺は進化形。自分に酔っていると言われればそうなんやろうか。
 俺は歌手になる――歌手になって音楽を届けるんや。多くの人に。

「ヒィイーア!」
 ラップを歌っている俺は、周りが見えない。家ではかなり迷惑なようだが、気にしない。
「静かにしなさい!」
 たとえ母親の怒号が鳴り響こうと。
「黙らんか! 演歌が至高だ!」
 父親がラップを否定しようが。

 俺は音楽を聴き続ける。歌い、奏で。これほど楽しいことが他にあるか。――ないやろ。
「いいよな……歌って」
 一人の部屋で浸っているだけなら誰も文句は言うまい。
 高層マンションの五十三階。大阪市一帯を見渡せるような高さ。ベランダに出る。手元にはスマートフォン。うちの家自体が金持ちだから買ってもらえたもの

 これすごいで。ネットもできるし。マスコミが持ち上げるだけあるわ。
「ポケボードっと」
 音楽サイトをめぐっていたら、ポケモンの主題歌に出会い、おおなかなかいいやんと思ってネットサーフィンしていたらであったサイト、ポケ書。
 俺はポケモンについてはせいぜいルビーサファイヤくらいまでしか知らないにわかやし、このサイトのコンテンツはあまり楽しめるもんではない。
 しかし、このポケ書の掲示板、ポケボード。一般的に雑談やらワイファイやらアンケートやら言葉遊びやらという部屋があるのだが、その中で小説を書く為の部屋というのがある。俺はそこに興味を持ってから、このサイトに通うようになった。今思えばな。
 素人が小説書いて、評価貰えるなんて素敵やん?
 でも、俺は小説を書けない。いや、俺は歌で勝負するし、どうせなら歌の部屋もできたらええのにとか思いながら眺めてるけど、ここ二年でできたことはあらへん。
「歌いたいわ。久々にカラオケ行きたい」
 通天閣は節電中。光らへん。阪神買ったやろうか……
「ん、なんやこれ」
 小説部屋に、タイトルなしのスレッドが立てられている。
「またたちの悪いあの荒らしやろうか。でも、小説部屋に来るのは珍しいなあ」
 そのスレッドは、それ以外の部屋にも。
「なんや、スレッド見てみるか」
 そこには、URLが一行だけ。
「あれ、あの荒らし違うやん」
 俺は画面を下にスクロールしようとして、タッチパネルに触れる。そしてスクロール――やばい。URL押してもうた。これウイルス来るかもしれんで。
 あれ、おかしい眠い。なんでや――

 眠気と呼ぶには穏やかではない指示が彼の脳から出された――

「なんやもう……スマフォ壊れるんちゃうか思うたわ……」
 彼はまず、晴れているということに疑問を持った。彼はさっきまで闇に空間を包まれた夜という世界で生活をしていた。なのにどうして日差しが届いているのだろうと思う。
「あれ、ビルやんこれ」
 彼はベランダにいたはず――なのに道路に横たわっている。
「俺、浮くねんけど」
 彼は浮いている――
「足ないねんけど」
 彼は尖ったもので全身を支えていた。
「腕が氷なんやけど」
 以下省略である――
「これって……どういうことや!」
 彼は近くの窓へと走る。自分の姿を映す。するとそこには――
「アイスやないか……」
 バニラアイスがいた――

2011/08/27 Sat 23:42 [No.599]

Re: 創造せよ! 次回Dream Makers!

あんびしゃん(氷河期の賢者

名前:あんびしゃん
性別:男
種族:バニリッチ
性格:明るく、攻撃的。恋病にかかりがち。
口調:関西弁 一俺 二お前 三あいつ
参考台詞:
「聴け...俺のジャズビート!」
「お前、ホンマにそれでいいんか?何も奏でんと、ここから去ってええんか?」
「これが恋なんやろうか。胸が痛い。音が奏でられへん」
備考:もともと中学生ながら音楽が大好きで、よく歌っていた。そんな中イッシュに来てしまい、ヒウンシティでライブを始める。そこであっくんと出会い、ユニットを組む。でも技のうたうは使えないという不便仕様となっている。バトルセンスは当初微妙。晩成型。当初は歌ってばっかりだし。
役割:元人間(味方)

名前:あっくん
性別:男
種族:アーケオス
性格:優しい。がバトルになると豹変する。怖い。
口調:何故か関西弁。一俺 二お前 三あいつ
参考台詞:「お前も歌うたうんか!気合うな!」
「戦え!戦わんか!!!」
「死ぬ時は...笑って...ビートを...奏でて!」
備考:ヒウンシティで「歌うアーケオス」として知られている。ずっと一匹オオカミだったが、あんびしゃんと出会い、ユニットとして音楽活動を始める。バトルの腕前はあんびしゃんをも上回る。
役割:味方ポケモン

2011/08/25 Thu 21:37 [No.578]

Re^4: 短編 白旗の少女

あんびしゃん(氷河期の賢者

「おばあちゃん……」
「ニホンノミナサン、ワタシノハハオヤハニホンジンデス。シンジテクダサーイ! ハヤクデテキテクダサイ! ソウシナイトバクハシマス! ハヤクデテキテクダサイ! ワタシニホンジンコロシタクアリマセン!」
 再び鳴り響くアメリカ兵の説得。老夫婦は富子を急かした。
「早く行きなさい。いい、富子。外に出たら、もっと南に向かいなさい。そこにたくさんのアメリカ兵がいるだろうけど、怖がらないでね。富子、さようなら……」
「おばあちゃん、さようなら」
「白旗を持っている限り、大丈夫だ。富子、さようなら」
「おじいちゃん、さようなら」
 富子は名残惜しくガマを後にした。二週間ぶりに外に出ると、そこは一面に広がるサトウキビ畑。珍しく爆撃を受けておらず、風になびいている。沖縄らしい、サトウキビを富子は踏みしめ、白旗を掲げつつ南へと歩いて行った。

「コッチニキテクダサイ!」
 アメリカ兵が、日本人を誘導している。富子は、とうとう住民が投降する場所までたどりついた。
「富子は、大丈夫。殺されない。白旗があるから、大丈夫」
 富子は自分に言い聞かせ、アメリカ兵の前をゆっくり歩いた。
 しかし、富子は恐ろしいことに気がついた。アメリカ兵が、自分に何かを向けている。
「あれは、銃! だめ、殺される! 富子、死んじゃう……」
 動揺する富子だが、過去のことを思い出した。父、兄、老夫婦の言葉を。
「死ぬ時は……笑って死にたい……泣きたいときは笑う……命どぅ宝! そうだ、白旗があれば大丈夫! 怖いけど笑おう! 泣きたいときは笑うんだ!」
 富子はとびきりの笑顔を見せた。そして手を振った。
 ――パシャリ。

 こうして、白旗の少女は生まれた。

 富子は、何もなかったことに喜び安堵の息をついた。
「よかった。おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう」
 富子が見上げた人ごみの中に、暗い表情をしているヨシ子と初子がいることに気がつき、富子は駆け寄った。
「ヨシ子ネエネエ! 富子だよ!」
「富子ぉおおおお!」
 姉妹は再会を果たした。そして泣いた。なぜか。お互い一人ずつ欠けている。直影と直裕がいない。それでも生き残ったことにないた。泣いて、抱き合った。そして、白旗の少女は、今も生きている。

 彼女はあの時笑った。それは、彼女の周りの人々がそうさせた。
 白旗も平和の象徴だが、笑顔も平和の象徴ではないか。
全ての人が笑顔でいられることが、平和なのではないか。

少女は、笑う。

2011/08/16 Tue 19:07 [No.568]

Re^3: 短編 白旗の少女

あんびしゃん(氷河期の賢者

翌日。富子は老人に今までの話をした。
「父ちゃんはね、優しかったよ。富子が弁当を落としちゃっても、食べられるからって、ありがとうって言ってくれたの」
「優しいお父さんだなあ」
「だから、富子も優しい子なんだねえ」
「富子優しいの?」
「富子は優しい子だ。富子はいい子。いい子。お豆を食べよう」
 老婆は頷き、富子を抱きかかえ、棚の方に向かう。
「おばあちゃん……ねえ、さっきから音が聞こえるんだけど」
 小さな狭いガマのため、歯ぎしりのようなその音はよく聞こえていた。
「ああ、それはね、おじいさんの傷にたかるウジの音だよ。おじいさんの傷を食べているんだ」
「ウジ……」
 富子の顔から血の気が引いた。人を食べる虫……富子は自分も食べられるのかと思ってしまう。富子が突如として静まり返ったのに気がつき、老婆はあわてて補足する。
「で、でもね、ウジは悪いところを食べてくれるんだよ。おじいさんの中に入り込む、悪いものを退治してくれるんだ」
「本当に? おじいちゃんをいじめてるんじゃないの?」
「うん。おじいちゃんも痛がらないから、大丈夫なんだよ」
 富子は安堵の表情を浮かべる。それが見えなくとも、老婆もにこやかにほほ笑んだ。
「富子は、本当に優しいねえ」

 そんな平和な毎日が二週間も続き、富子はすっかり老夫婦になじんでいた。
 富子は地面に絵を描いていた。その時、頭にひらひらと紙が落ちてきた。
「これなあに?」
「富子、持ってきなさい」
 老人が富子から手渡され、その紙を見た。チラシである。
「なんて書いてあるのです?」
 盲目の老婆は老人に聞いた。
「数日の間にガマからでないと爆破する……アメリカからだ」
「とととととと富子、富子はここにいるよ」
「駄目だ。富子は行きなさい」
「やだ! おじいちゃんとおばあちゃんと一緒にいる!」
「富子は優しい子。だから私たちと一緒にいようとするのもよくわかる。でもね、富子はお父さんとお兄ちゃんとお姉ちゃんの分までいきなきゃいけないんだよ」
 富子ははっと思いだした。あの決意も、全て話した。この老夫婦は、富子の決意を尊重している。
「明日、ここから出るんだ。でないと――」
 老人の声は、拡声器による大声で遮られた。
「ニホンノミナサン、ワタシノハハオヤハニホンジンデス。シンジテクダサーイ! ハヤクデテキテクダサイ! ソウシナイトバクハシマス! ハヤクデテキテクダサイ! ワタシニホンジンコロシタクアリマセン!」
 アメリカ兵の説得が始まる。富子には悪意にしか思えない。
「……おばあさん、ふんどしと木の棒を持ってきなさい」
「はい」
 老婆はそれらを持ってきて、富子とおじいさんの間に置いた。
「富子、ふんどしをちぎって、木に巻きつけて、白旗を作りなさい」
「白旗を……?」
「そうだ、時間がない。はやくしなさい」
 老人は焦っていた。いつ爆破されるか分からない。富子は生き残らせなければいけないという責任を感じていた。

 あっという間に日がくれ、夜が更ける。富子は反射的に眠りについてしまい、老婆が残りをとり繕う。そして翌朝、老婆の声で富子は目が覚めた。
「できました! 富子、どうぞ」
 老婆は白旗を手渡す。手は傷だらけだ。盲目の老婆にとってこの作業は苦痛だったであろうが、富子のことを思ったからだろう、早くできた。
「でも……富子はもう行かなくちゃいけないの?」
「そうだ。いつ爆破されるかもわからんのだ。お前は生き残らなければいけない」
 老人はいつになく厳しい口調で言ったが、堅い表情はすぐに崩れた。富子がまた目に涙を浮かべているからだ。
「ああ、ごめんよ」
「……うん。でも、富子外に出たからって生き残れるの?」
「大丈夫。その白旗を持っている限りは大丈夫。その白旗は、平和の証だ」
「平和の……証?」
 富子が首をかしげると、老婆が補足する。
「そう。平和の証。それを持っていれば、アメリカも襲ってこない」
「八つ裂きにされないの?」
「されやしないさ。富子を八つ裂きにしようなんて人は誰もいない」
 老婆は富子を抱きしめた。
「いいか富子。命どぅ宝じゃ。富子の命こそ宝じゃ。命を宝だと思えば、お互いに仲良くなれる。命を宝だと思えば、お互いを助け合うことができる。命を大切にするんじゃ。わしらはもう、外に出ても動けない。外に出れば命を捨てることになる。だから富子、わしらの分まで生きてくれ。その白旗は、生きるためのものじゃ。命を大切にするためのものじゃ。平和のためのものじゃ」
「おじいちゃん……」
「富子、行きなさい。富子は優しい子。だから、命を大切にできる。命は宝。忘れないでね」

2011/08/16 Tue 19:06 [No.567]

Re^2: 短編 白旗の少女

あんびしゃん(氷河期の賢者

一方日本不利で進む沖縄戦は、兵士だけでなく住民さえも追い詰めた。『投降すればアメリカ兵に八つ裂きにされる』という誤報が流れたりし、集団自決を迫られる事例も多かったのである。

 富子は、小さなガマの近くにやってきた。富子は服を引っ張られているのを感じ、振り向くと同じくらいの年の男の子がいた。
「遊ぼ」
 男の子はそう言うと走り出した。鬼ごっこを誘っているらしい。
「鬼ごっこか。よーし!」
 富子は走り出した。まるで直裕とかくれんぼをしているかと思うほどにこの瞬間は楽しかった。
「直裕! 来なさい! ……あら、遊んでくれたの?」
 母親らしき人が駆け寄り、男の子の頭をなでた。
「直裕? 富子のニイニイも直裕だよ」
 兄と同じ名前ということに気がつき、富子は聞く。母親は頷いた。
「そうかい。私たちはねえ、今からとってもいいところに行くんだよ? アンタも行くか?」
「え、どこどこ?」
「……天国」
 母親は遠くを見て話を続ける。その目に生気はない。
「大丈夫。手りゅう弾あるからすぐ楽になる。来るか?」
 富子は頷きかけた。ここ二週間、大した食べ物も食べることができず、ずっと一人ぼっちで歩いてきて、精神的にも限界が近づいていたからだ。
 しかし富子は首を振った。兄の遺体の前での決意を思い出したからだ。父と姉と兄の分まで自分が生きる。そう決意したことを。
「行かない。富子死なない!」
 母親は残念そうな表情をし、再び直裕を抱きかかえた。
「じゃあ、もしあなたが生きてたら、私たちのこと、覚えていてちょうだいね。お願いね……」
 母親は直裕を抱きかかえ、小さなガマに入って行った。そして富子がその場を去ってから一分後、ガマは爆発した――
 富子はあの母親が最期に見せた表情を思い出す度に胸が苦しくなった。

 富子の孤独な旅が続く間、沖縄戦は終盤に差し掛かっていた。沖縄の住民に残された選択肢は、投降か自決かというくらいまでに追い込まれていた。

 富子は、ある小さなガマにたどり着いた。というのも、外からでもわかるほどに油味噌のにおいがしたからなのだが。外はサトウキビ畑が広がっていて、見つかりにくいガマではあった。
「あった! 油味噌だ!」
 富子は油味噌をほじくり、思いっきり舐める。
 ――飛び上がって喜ぶ。
「おいしい! ……あ」
 が、視線に気づき隠れる。
「こっちに来なさい」
 太い、老人の声。座って富子を見つめている。
「誰か入ってきたのですか?」
 今度は老婆だ。
 富子はためらったが、老人があんまりしつこく言うものだから、仕方なく老人が座っているところにいった。――老人の両手と両足はなかった。
「ご……ごめんなさい!」
 富子は老婆に向けて頭を下げた。が、老婆の目は富子を捉えない。
「あら、女の子ね」
「目が見えないの……?」
「そうなのよ。おじいさんは戦争で両手と両足を無くしてねえ。二人でここに住んでるのさ。棚の上に食べ物があるから、食べなさい」
 老婆は立って、ぐらつきながらも棚に物を取りに行った。富子は老婆を制止し、自分で取りに行った。
「おいしい!」
 富子は豆を頬張った。逃亡生活を始めて以来の美味しさで、富子は驚いた。そして泣いた。兄、父、姉のこと。全て話した。老人と老婆は涙を浮かべながら聞いた。
「ひどいねえ。こんな小さい時には、もっといいものを見たいのに……」
「ずっと。ここにいていいんだよ」
 老人は優しく富子に語りかける。

2011/08/16 Tue 19:06 [No.566]

Re: 短編 白旗の少女

あんびしゃん(氷河期の賢者

「父ちゃん……ネエネエ……」
 その場で泣き崩れる富子を、直裕は抱きかかえた。直裕とてまだ十歳である。泣きたい気持ちは溢れているし、現に泣いている。けれど自分までもがここで泣き崩れ、この場を進まなければ、二人ともここで死ぬ。父親は子どもを守るという責任を果たして死んだ。だから自分も兄としての責任を果たさなければいけないという責任感だけを頼りに直裕は走る。
「富子、大丈夫だから、大丈夫だから。今は逃げなきゃ。おとうが残してくれた命を大事にしなきゃ」
 二人は力いっぱい走り、なんとか戦火から逃れ、静かな海岸にやってきた。
「うえーん、父ちゃん、ネエネエ……」
 岩にこしかけ、富子は泣いた。思いっきり泣いた。走ってきた間、兄に迷惑をかけまいと思いこらえていた涙を全て使って。
「泣くな。富子、泣くな……もしかしたら……もしかしたらおとうたちも生きてるかもしれん。今日はゆっくり寝て、南に行こう。きっと会えるよ」
「本当に?」
「本当さ。だからな、富子。泣きたくなったら、笑え」
 直裕はとびきりの笑顔を見せた。富子は直裕がどれほど頑張ってその笑顔を作っているかを想像しただけで涙が出そうになったが、兄の努力を無駄にすることはしたくないという意思が勝り、笑った。
「ありがとう、ニイニイ」
 富子はその場に寝転んだ。直裕は鞄に入れていた小さな布団を富子にかけ、自分は何もなしで寝転んだ。
「ニイニイ、掛け布団いらないの?」
「いいさ。富子が寝れればいいのさ」
「ニイニイ、お休み」
「おやすみ、とみ……」
 直裕が声をかけようとした時にはもう、富子は静かに寝息を立てていた。

「お父さん!お父さん!」
 炎に包まれる家から間一髪逃げ出した姉二人。しかしその命があるのは父の犠牲のおかげで、父が炎に包まれるのを二人は目にしてしまった。否、初子は見ていない。ヨシ子が初子の目を覆い、見せなかった。父親が炎に包まれていく姿など、見せたくはなかったのだ。
「初子、行くよ!」
 何とか難を逃れ、森に逃げた二人は、小さなガマに身を潜めた。
「お父さんが。お父さんが……」
 泣きすする初子をヨシ子は必死に慰める。
「お父さんが残した命、大切にしよう。南へ行こう。南へ行って、富子と直裕に遭わないと。二人を安心させないと。だから今日はゆっくり寝よう」
「ありがとう、ヨシ子ネエネエ」

 こうして松川家は二つに引き離されてしまった。昨日まで当たり前にあった平和が突如奪われる。これが戦争。

 翌朝、富子は爆音で目が覚めた。目を開けると、あたりいっぱいに煙が充満していた。富子でも分かる。近くで爆撃があったということは。
「ニイニイ、起きて。ここは危ないかも……」
 直裕の首元から激しく流血している。直裕は目を開けたままじっとしている。その目は虚ろで、何も捉えていない。
「ニイニイ……?」
 富子は直裕の体を揺さぶるが、その虚ろな目が他の何かを捉えようと動くことも、まぶたが瞬きをするために閉じようとすることもなかった。富子は不意に直裕のおでこを触った。
「冷たい……」
 生きている心地が感じられないほどの冷たさ。富子は母親を思い出した。
「母ちゃんと一緒だ……冷たい。死んだ人は冷たくなるって父ちゃんが言ってた……」
 母が死んだ時も、富子は不意におでこを触っていた。その時と同じ感触を、この時富子は覚えた。
「ニイニイ……死んじゃった」
 富子は死んだ人をどうすればいいのかわからなかった。
「ニイニイ……富子はどうしたらいいの?」
 兄が答えることはない。ふと、富子は昨晩の兄の言葉を思い出した。
「父ちゃんに助けてもらった命……でもニイニイは死んじゃった……ネエネエも死んじゃったかもしれない。じゃあ、富子がみんなの分まで生きるね! ごめん、ニイニイ。富子、行かなくちゃ!」
 姉らが死んでしまったと勘違いしてしまったことは、富子をさらに奮い立たせていた。
 兄を置いていくのに抵抗もあったが、絶対に自分が生き残って、また兄の骨を拾いに来る。そう決意した富子は、一人で歩きだした。波は激しく打ち寄せる。

 一人きりで南へと進む旅。幾度となく爆撃に遭うが、何とか難を逃れ続けて、また南へ。
 富子は当初、人の多い方へと逃げていた。しかしある日、直裕のことを思い出していた際に、兄とのかくれんぼを思い出した。

「富子はみんなと同じところに逃げるから駄目なんだよ。いいか、かくれんぼのコツはよ、人のいないとこ、いないとこに逃げることなんだ」

 直裕の言葉を思い出してからの富子は、昼間は隠れ、夜に食べ物を探すという生活をし始めた。

2011/08/16 Tue 19:05 [No.565]

  1. 前10件
  2. 1
  3. 2
  4. (1-10/11)
  5. 次10件