Net4u レンタル掲示板を作る
池田
快諾したキュレムに、スイレンは、疑問を1つずつ追求していく。
「えっと、あんた、何しにここに来たの?」
「あんたを誘うため。あんたの仲間の残りを襲って回ってるんだけど、なかなか出てこないからさ。ま、こいつら皆殺しにしたから、もう仲間は残ってないんだけど……いやあ、調度良かったよ、あんたが出てきてくれて!これで来なかったら、正直どうしようか考えてなくてさ!!」
今、恐ろしいことを口走ったが、それに関してスイレンは流した。
もうご覧の方々はお気づきだろう。スイレンは、語尾も忘れ、ネット上で作っているキャラから素に戻っているのだ。
今やリアルの人格に戻ったスイレンにとって、仲間が全員殺されようが、知ったことではなかった。
二人は、さらに問答を続ける。
「なんで、私のことを待ち伏せしてたの?」
「そんなもん……恨みを晴らす為じゃん。ぜってーぶっ殺すし!」
相変わらず、明るい調子で恐ろしいことを喋るキュレムに、スイレンは半ば呆れながらも、質問を続ける。まだ、キュレムの行動の核心を掴むことは、できないでいた。
「分かった。じゃあ聞くけど、あなたなんで私のこと知ってるの?ていうか、あんた、誰?」
「は?分かんねーの?うけるー!!あたしだよ、あたし!霧島真白!!同じクラスの!あ、こっちでは『アルビノ』ってなまえでやってるけど……これで、恨みが何かわかったよね」
「え……」
分かったよね?と言われても、何も分からなかった。ただ、キュレムの正体は分かった。霧島真白。同じクラスの、女子。言われて見れば、話し方も、声も、完全に同じだった。しかし、そうなると、益々分からない。スイレンは、霧島真白に恨みを買うようなことをした覚えがないのだ。
「ごめん、わかんない。霧島さんが、何の恨みで、こんな異世界まで追ってくんの?なんかキモいんだけど……」
「え!?」
アルビノという名のキュレムは、心底驚いたような表情をした。
「エ……エ!?わかんないの!?あ、私にしたことで恨まれる筋合いはないってこと?」
「いや……そういうことじゃなくて、マジでわかんないんだけど。私、なんかしたっけ?」
「ウッソ……何こいつ。キモ!!ひくわ……じゃあアンタ、今まで私が何モンかも分からずに、クラスメートのお友達してたってこと?すげー!!馬鹿じゃねーの!!」
いきなり笑い始めた真白に、スイレンはいらついてきた。
「はいはい!!バカで悪かったわね!で、アンタは一体、私にどんな恨みを持ってるってのよ!?」
「あー……あたしさ、アンタの妹なんだよ」
「は……え!?はいぃ!?」
アルビノの口からでた言葉は、余りにも意外、予想の斜め上を行くものだった。にわかには信じられないどころか、何を言っているのか一瞬理解できなかった。
驚いて目を見開き、口をパクパクさせているスイレンを差し置いて、アルビノは続ける。
「あんたとあたしは、腹違いの姉妹なんだよ。アンタのおとーさんってさ、たぶん、アンタの前では誠実なパパを演じてるんでしょ?でも、裏では愛人作って、ヘーキで危険日に生ハメするような奴なんだよ。で、そうやって出来たのがアタシ。ま、愛人にガキが出来たとなったら、めんどくせーから当然……捨てるよね。捨てられたアタシの母親は、自殺しちゃってさ。アタシは親戚たらい回しにされながら大きくなったんだけど、どこでも煙たがられて、今はエンコーしながら一人暮らししてます、と。でまあ、探偵にいろいろ調べてもらって、今のアンタが居る学校とか家を見つけたわけ。それで、アタシの復讐計画が始まったんだね、これが」
ふう、と一息ついて、真白はさらに話す。
「まず、アメリカで『異世界に行けるプログラム』てのが開発されたって訊いてさ。知り合いのエンジニアに頼んで、それを『ポケモンの世界へ行ける』ように改造してもらったわけ。ほら、あんたポケモン好きっていってたでしょ?ぜってー食いつくとおもったからさ。で、アンタと一緒に何人かにメールを送ったんだけどさ、あろうことか、アンタだけがそのメールを迷惑メール扱いで、よみもせずに削除しやがった!!でまあ、作戦変更。メールに食いついた、ヤグルマってバカをそそのかして、世界征服みたいなことをさせることにしたんだよ。で、『助けてください』って掲示板に書いたら、今度はアンタが食いついたってわけ!まあ、他にも余計なのがぞろぞろくっついてきたのは計算外だったけど……最終的に、こうやってアンタだけが残ったんだから、まあ結果オーライだね」
なんと、この瞬間に、全ての真相が語られてしまった。しかし、まだ話は終わらない。
2011/09/16 Fri 21:16 [No.695]