宮野
「神威……俺は……」
「……何もいうな」
終了後、シンとタクトは能力者の姿で話しかける。というよりシンより年下の癖に……。
「もういいでしょ。あんた達が戦うわけないのに」
「姉さん……」
あたしはタクトを励ます。と―――――
ガチャ……という音が聞こえて、中から入ってきたのは―――――――
「あれ、もう終わっていたの?」
「ツ、ツナシさんっ!!??」
入ってきたのは、シンの養父、ツナシ・リクさん。どうしてここにっ!?
「あれ、3人いるじゃん。神威はシン、詩樹玖はタクト君。そして……どうしてここにユウちゃんがいるの?」
「うっ……そ、それは……」
焦るあたし。事情を話すと……。
「か、勝手にここの扉が開いて……それで……」
「なるほどね。それと、そろそろ2人とも、変身を解除して。そんな格好じゃ疲れるよ?」
「お、俺は……」
「わかった」
最初にシンが変身を解除した。タクトは戸惑っていた。
よくみると、神威とシンの時では瞳の色が違うのがわかる。でも性格が変わるのって、何かあったのかな……。
―――あたしが不本意にここに入ってきたのは、あたしが何か特殊な能力を持ってるのかな……?
「……お、お父さん!? ……うわっ!」
シンが勝手にこける。なんでこけるの……?
「先輩……しっかりしてくださいよ!」
タクトに突っ込まれる。ボケとツッコミのコンビだなこりゃ。
「シン、いじられてるよ。さて、そろそろ話そうか。ここの施設について」
「ううっ……」
ツナシさんはここの施設――図書館に何度かかよっている。そしてもう一つの姿―――ナイトバニシング内で起こる聖戦。あたしにはよく分からないけど……。そして、エレイシアは色んな願いをかなうもの。10個集めれば願いを叶える事ができるが、それを狙っている人物もいる……。シンとタクトはそれを巡って聖戦に参加していたんだね……。
「よ、よくわからなかったけど……ありがとうございます」
「いいんだよ。……あれ? タクト君。解除しないの?」
「い、今します!!」
「姉さん……今まで隠しててごめんなさい」
能力者の事を隠していたタクト。あたしは涙をうかべてしまった。
「いいんだよ……もう……」
「うん……姉さん、好きだよ」
「……そろそろ帰ろうか。僕もうお腹ペコペコだよ」
「父さん……子供みたいに言わないでください」
ツナシさんの発言にシンが突っ込んだ。いじられ役とツッコミ役っていいよね。……って何を言ってんのあたし。
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図書館を出たあたし達4人は、それぞれの家へ戻った。「夕食はまだ?」というあたしの発言に、タクトは苦笑いをして「はいはい、作りますよ」という。ちょっとムッとしたけど、姉弟っていいよね。これから続くと良いな……。
2011/11/12 Sat 18:38 [No.712]