宮野
『……あなたに興味はありません。先に失礼します』
学校の帰り道。タクトは結局、中等部の友達と一緒に帰ってしまった。あたしはナギ君と一緒に帰った。何でナギ君にそんな態度で怒っているの? あたしにはさっぱり分からないよ……。
「……あの、タクト君ってどんな人なんですか?」
「え!? うーん……」
ナギ君がタクトの事をあたしに問いかけた。そういえばナギ君はタクトの事を知らなかったんだっけ。
「あいつは単純でバカで体力があって頭が悪い!」
「えっ!?」
ナギ君が驚いた。そんなに驚かなくても……。
「……でも、あたしが小学6年の頃、病気になった時にタクトが必死に看病してくれたんだ。あいつは料理もできるし、結構面倒見はいいんだよ? でも……」
「……どうしたんですか?」
「この頃から、何かあいつの様子がおかしいんだ。最近あたしに辛く当たるし……」
「僕が来たから、そのせいでしょうか……」
「そ、そんなに落ち込まないで! 第一、ナギ君が落ち込んだら……あたしも辛くなるよ……」
「すみません……」
ナギ君はあたしに対して謝った。優しく慈悲深く芯の強い性格。あたしはナギ君とは正反対の性格だけど。
2つの道の左側に、ナギ君の家がある。あたしとタクトの家は右側。左側に人影が見える……。とすると声がする。
「シン! ここだよ。迎えに行くって言ったじゃないか」
「と、父さん!?」
え、え―――――――――っ!?!? この人がナギ君のお父さん!? そっくりなんですけど―――!! あたしは驚きを隠せなかった。
「ユウ・エトミヤちゃん……だっけ? 初めましてだね」
「え、ええ……は、初めまして!」
緊張するあたし。全身が震えてしまった。ううっ……。
「僕はリク・ツナシ。よろしくね」
ナギ君のお父さん、リク・ツナシさん。身長と瞳の色以外、外見そっくりで見分けがつけらない……。
「今日はありがとうございました、エトミヤさん。木刀、直していただいて」
「へ? 木刀? あの子に直してもらったのか?」
「え、ええ……」
直すのに何時間もかかったけど、まいいか……。
家に帰ったあたしは、タクトの様子を見る。
「ね、タクト……って、何処行くの?」
「……姉さんには関係ない」
「もうすぐ暗くなるのよ! あたしは……」
「姉さんは先輩の事が好きで、俺の事が嫌いなんだろ!?」
タクトの発言に、あたしは驚きを隠せない。
「ちょ、何言ってるの!? ナギ君は……」
「姉さんなんか、大っっっ嫌いッ!!」
と言って、彼はドアを強く叩きつけて何処かへ行ってしまった……。
「何よ……バカ……」
2011/09/20 Tue 02:56 [No.697]