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Re: 次回作ドリメ プロローグ用スレッド

ロサラ

「ららら、ららら、らららっらー」

 ちゃんと言葉になった歌詞でも歌えばいいのだが、彼女が口ずさんでいるのは見事に「ら」の一文字だけだった。
 彼女は廊下を歩いて行く。六つに分かれてボリュームを増した金色の尾を揺らして、足音も立てずに四足歩行で廊下を歩いて行く。
 歩く度に、首にかけられたペンダントが揺れる。金色の毛並と対照的になるような銀色である。
 そして、とある一つの扉の前に立つと、前足で器用に扉を開けて、部屋に入った。
 一匹の金色のロコンは、部屋に入った瞬間に歌を止め、代わりに飛びだしたのは大声だった。

「ケイター! ケーイーターー! いるですでふかー!?」
 語尾の余計な「でふ」さえ除けば、「少し敬語を間違えたかなー」程度の日本語。
 それに呼応するように、別の声が部屋に響いた。
「ロサラかー? どうした?」
 高めのボーイソプラノだった。「ケイタ」と呼ばれた一匹のイーブイは、手にしていた資料のような物を置いて、ロコンの下へ歩く。
 「ロサラ」と呼ばれた色違いのロコンは、ケイタが居る事を確認すると、話を始めた。

「なんだか、私と同じ『元人間』がじゃかじゃかこっちにやって来ましたでふ。なんかすごいですでふ」
「『なんかすごいですでふ』じゃねぇよ。情報ソースは?」
「ゆなさん」
 その「ゆな」という名前を聞いて、ケイタは後頭部にオレンジ色のリボンを付け(見る度に思うが自身の炎で燃えないのが不思議だ)、右目にモノクル(という名前らしい。本人に尋ねたら教えてくれた)をかけたシャンデラを脳裏に思い浮かべる。
 彼女はこの『ドリームメイカーズ』の幹部(の中でも更に偉い所)である。――ロサラと同じ元人間なはずなのだが、正直に言うと純粋なポケモンの自分よりもポケモンらしい。何かおかしい言い方だが、これ以上の表現の仕方を彼は身に付けていなかった。

2011/09/14 Wed 16:56 [No.675]