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Re^3: サイサリス

あきはばら博士

『闘いだ! 戦争だッ! 殺し合いだッッ! それによる混乱ッ! 我々は長き刻を待ち続け、ついにこの瞬間を迎えたのだッッッ!!!』
 そう、僕達の長く待ち望んでいた、殺戮の時が来たのだ。
 行う意味や理由は異なるけれども、殺戮を望む部分は一致した僕等にとって待ち望み続けたその瞬間。

『戦ってッ! 戦って! 闘ってェエエエエッ! そして……殺せッ! 殺せッ! 殺せェエエエッ!』
 その通りだ!
 他の奴等がどんな理由で殺すかは知らない!
 だが僕は、相手の苦しむ絶望とも言える不幸な姿を見たいからこそ殺す!!
 だからこそ、殺して殺して殺してまくろうじゃないかッッッ!!!!

『この世は弱肉強食、一握りの強者だけが、弱者を支配し、頂点に立つべきなのだッ! そう、支配だッ! 負けた者の気持ち等察する事無く、弱者に対する欲望のままに行動するッ!』
 そうだ、そうだ、そうだ!!
 僕等は強者、僕等は支配者、僕等は欲望の主!!
 だからこそ、弱者で欲を満たす!
 弱者に不幸を届け、絶望へと突き落とす!!!!

『弱者が苦痛によがり、トドメを刺す時を想像したまえ、それは絶頂すら覚える最高の瞬間なのだッッッ!』
 そう、それこそこの“不幸宅急便”が最も望む最高の瞬間!!
 複数もの苦痛、複数もの悲劇、複数もの……不幸ッ!!!
 それらを与え、悲鳴をあげ、トドメを刺される弱者の声こそ史上最高の快楽、いや、絶頂たるもの!!

『諸君、今一度問う、諸君等の求める物は何かァアアアアァアッ!?』
 僕が望むのは……殺戮による不幸の叫びッッ!! そして史上最高の快楽だッッッ!!!!

 ツバサは己の回想で演説するゼロに答える、否、己の欲望を言葉にして実在させる。
 彼が望むのは殺戮、虐殺、弱者の悲鳴、……全てを含め「不幸」と呼べる悪夢を生み出し、その快楽を見る事。
 彼が優先するのは人を絶望の不幸に陥れる事。その為ならば手段を選ばない。
 漸く全てが不幸になる時が来た。そう、ジェノサイドクルセイダーズが望む“世界の混乱”という不幸の時が!
 ツバサは興奮が冷めないまま、言葉を叫ぶ。
「僕が宅配してあげた不幸を受け取らなかった彼に、タップリと慰謝料を払ってもらわないとねぇ!」
 脳裏に浮かび上がるのは、かつて一度だけ己が届けてやった不幸から逃げ出したニャース……レオードの姿。
 彼が人間の相棒を連れているのは報告で知っている。だからこそ、彼は嫌でも巻き込まれる運命になるだろう。
 そう、このジェノサイドクルセイダーズの企みに。
 巻き込まれてしまった彼を、誰よりも深い深い絶望の不幸に叩き落してやろう。
 猫旅堂のレオード、そして彼の連れている相棒――yunaを!!
 ツバサはここにはいない二人に向かって、何よりも重く歪んだ思いを口にした。

「真っ先に絶望の不幸を与えてあげるよ……!」

 ツバサは興奮と楽しみから来る笑みを深めながら、準備を行う為に部屋から出ていった。

2011/09/06 Tue 00:20 [No.649]