ゆとり
そこは多くの家が並ぶ住宅街だった。道路が真っ白で、3階建ての家がずらりと並ぶその町を初めて見る人にとっては綺麗だなと感じるかもしれない。
そしてその町の中の噴水がある広場に一匹の眼鏡をかけた生き物がいた--
(ここは・・・・・・どこ?)
その生き物はこう疑問に感じていた。
(一体どこなんだろここ・・・・・・。さっきまで電車の座席に座って携帯の画面を眺めてたのに・・・・・・)
彼女はこのような事態に焦っていた。しかし、ふとこんなことを考えた。
(もしかしたら・・・・・・あのURLにクリックしたのがいけなかったのかなぁ)
その生き物は、思い返していた。少し前にやった行動全てを----
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(さてと、どんなことが書かれてるんだろうか)
一人の眼鏡をかけた制服姿の少女は下りの電車の座席に座りながら、携帯でポケボードというサイトを開いた。
そのサイトは彼女が毎日欠かさず訪れているサイトの一つである。
そこで彼女は【ゆとり】というHNで言葉遊びをしたり、キャラを作って投稿したりするのだった。
彼女の携帯からでは残念ながら投稿は出来ないものの、毎日そのサイトを見ていた。
しかし早速小説運営・感想専用の板--ラティオス部屋を開いたものの、一番上に【助けてください】の題名のスレッドが。
(【助けてください】? 変なタイトルだなぁ・・・・・・)
彼女はそう思いつつそのスレッドを開いた。が、一つのURLが貼ってあるだけ。
何処にも作品の大まかな内容や、キャラ募集用のテンプレなんて書いてなかった。
(なんだ、ただの荒らしか)
そう思いつつクリアボタンを押そうとした。しかし、このURLをクリックすると何処に繋がるんだろうという疑問と好奇心が次第に高まっていった。
(まあウイルスをばらまくようなあくどいサイトだとしても、これ携帯だから大丈夫だろう。まあ、これがグリーン姉さんやモタ男みたいなグロ画像に繋がってたら泣くが)
そしてグロ画像対策として薄目になってから、迷うことなくすんなりとそれをクリックした。しかし数秒後、彼女の姿は電車の座席から消えていた----
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----そして今に至る。
(やっぱあのスレッドをクリックしたのがいけなかったんだ・・・・・・)
ゆとりは深く後悔していた。軽々しくURLをクリックした事に。
(まあ、とりあえず歩こう。歩けば何とかなる)
2011/08/26 Fri 23:46 [No.588]