宮野
桜の舞う市立桐鐫学園。始業式が始まった。
(校長の話長いんだよなぁ〜……)
といい、あくびをするタクト。中学3年となった彼は、来年で高校生になる。一方のユウというと……。
校長のスピーチが終わり、教室に戻る生徒達。ユウはタクトと廊下を歩いていた。
「相変わらずだよね、校長の話。長くて眠りそうだったよ」
「あんた、深夜に何やってたのよ?」
「いや、ゲームを……」
「目悪くなるからやっちゃダメでしょ! 昔母さんに言われたでしょ。『ゲームは1日1時間』って」
「母さんの話なんか聞きたくないし……。姉さんはお母さん気質だし……。それじゃ俺は中等部の校舎に戻るよ」
「悪かったわね」
姉弟の会話はこうである。
高等部の校舎に戻ったユウ。転入生が来るといい、テンションが上がっていた。
「おはよう、ユウ!」
声をかけてきたのはエリ。ユウとは中等部時代からの同級生だ。
「おはよう、エリ。今日転入生来るんだよね」
「そうだね。あたしも楽しみだよ」
★桐鐫学園 - 高等部2年2組 - 教室内
「うわあ。見た事無い人達がいっぱい……」
新しいクラスはユウとエリ以外、新しい人ばかり。早速挨拶をする2人。
「あら、初めまして。私は城財閥の令嬢、グスク・リオと申します。宜しくお願いしますわ」
「ぼ、僕はシンク・ミナです……」
「ミナ、そんなに緊張しなくても良いんじゃないのか? 俺はユキジマ・ファード・ケント!」
「私はユウ・エトミヤ。みんなよろしくね」
「あたしはイズミ・エリ。友達増えてラッキーだよ、あたし!」
と自己紹介。
リオは城財閥の令嬢。シンクは内気で大人しい少年。ケントは日系アメリカ人でシンクの親友。どれも個性的な人ばかりだ。
「転入生ですか?」
「うん。3人は知ってるの?」
「いや、聞いてないけどな。お、先生が来たぞ」
教室のドアが開き、担任が入ってきた。
「今日から君達のクラスを担当する事になったヒトミ・イリノです。皆さんよろしくね」
担任の名前はヒトミ・イリノ。担当教科は国語だ。
「始業式に続いて、転入生を紹介するわ」
「誰だろう。ワクワクしてきた」
ユウは楽しみで仕方が無かった。
「ナギくん、入ってちょうだい」
彼女の一言で、転入生が教室に入る。
「え、ええっ!?」
「ウソ!?」
「そこの2人、静かにして!」
驚くユウとエリ。ヒトミに怒られたが……。
「今日からこの学園に転入生として来たシン・カミナギです。宜しくお願いします」
ユウとエリが、金曜日に出会った少年が転入生だったのだ。良く見ると、右腕には包帯が巻かれているのが分かる。
「じゃ、ナギくんの席は……。ユウさんの席の隣ね」
席はユウの隣席。ユウは最初は驚いていたが……。
「あ、リオさん。お久しぶりです」
「ナギ様、お久しぶりですわ。私も驚きましたわ」
「ナギ君、リオさんと知り合いなの?」
「はい。隣の県で出会ったんです」
「俺はユキジマ・フォード・ケント。でこっちがシンク・ミナ」
「ナギくん、よろしくね」
「はい、皆さんよろしくお願いします!」
こうして、彼女達の青春を謳歌する学園生活が始まったのだった―――。
2011/07/17 Sun 01:30 [No.451]