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Re^3: KS『Knight Turtle's Story』テストアップ板

宮野

第二章「再会」

★桐鐫市・某所 エトミヤ家・2階 ユウの部屋(土曜日・朝)

 小鳥のさえずりが聞こえる。
 少女はベットからゆっくりと起き上がる。とそこへコンッと音が何回も聞こえた。

「タクトでしょ、入って」
 ガチャっとドアが開いた。入って来たのはユウの弟・タクト・エトミヤ。中等部3年の少年だ。

「姉さん、ご飯作ったから。それと俺、用事でいないから」
「ありがと、タクト。今日はあたしも友達と一緒に買い物行くから」
「……そう。それじゃ、行ってくるよ」
 と言い、タクトは1階の玄関に向かって外に出た。

「さてと、あたしも行きますかっ!」
 パジャマから私服に着替え、髪止めをし、階段を下り外に1階のリビングで朝食を取り、出かける。

★桐鐫市・桐鐫公園(土曜日・朝)

 親友・イズミ・エリを待つユウ。待つ間に、ユウは昨日の夜の事を覚えていなかった。

「あの時、確かあたしと同年齢の子が……あれ、覚えてないや……」
 悩むユウ。そこに、エリが合流した。

「お待たせ、ユウ! 待った?」
「待ってないよ。あさっては始業式だね」
「そうだけど、嬉しい事に転入生が来るって!」
「うそ!? マジで?」
「本当よ。あさってが楽しみだね!!」
「うん!」

 月曜日は桐鐫学園の始業式。同時に新入生が来る事に楽しみにしている2人。

★桐鐫市・大樹の森(土曜日・昼前)

「エリ、何買ったの?」
「えっと、アクセサリーと後色々。ユウは?」
「ヘアピンと帽子」
 買い物を済ませた2人。店を後にし、移動すると……。

「ニャア……」
「子猫が! どうしよう……」
 大樹に子猫が降りられなくなっていたのだ。慌てるエリ。ユウは決心する。

(あたし、子猫を助ける!)
 心に誓い、ユウは木を登る。

「あ、あんた何やってんの!?」
「子猫が降りられないから可哀想だもん! だからあたしがやる!」
 エリの制止も聞かず、ユウは子猫を救出する為に木を登る。

「ほら、もう大丈夫だから。あたしが守るから」
 子猫に話しかけるユウ。

「無茶よ! あんた体力が無いって……」
「平気だって! ……あっ」
 子猫を助けたのは良いが、誤ってバランスを崩し、落下してしまう。

「いやああああああ!」
「ユウ!」
 子猫を庇い、自分だけ死ぬしか無い……。そう思うユウは目をゆっくり閉じる。そこへ……。

「危ないっ!」
 フードを被った少年が駆け寄り、ユウをお姫様だっこして、間一髪でユウと子猫を救助した。

「大丈夫ですか……?」

 ユウが目を開けると、そこには一人の少年が。髪の色は紫がかった漆黒で寝癖が立っており、瞳の色は明るい赤色。フードを被っていたが、彼女を救助した時に外れ、アホ毛が露出。年齢はユウ・エリと同年代だろうか。

「ううっ……」
「ユウ! 気が付いたのね!」
「エリ……。そうだ、子猫は大丈夫なの!?」
 目を覚ましたユウは子猫を心配する。

「大丈夫よ、ユウ。この人が助けてくれたから」
「良かった、無事で……。助けてくれてありがとう」
「とにかく無事で良かったです……」
 子猫は怪我無く、ユウも少年に助けてもらった。

「名前……聞いて無かったよね。あたし、ユウ・エトミヤ。よろしく」
「私はイズミ・エリ。ユウは無茶するからいけないのよ。よろしくね!」
「僕はシン・カミナギです。こちらこそ、よろしくお願いします」
 お互いに自己紹介する3人。とそこへナギの携帯が鳴る。

「す、すいません。電話が……」
 慌てて携帯を取り出すナギ。

「はい、もしもし。あ、お父さん?」
 電話の声はナギの義父・リク・ツナシ。声・容姿はナギとそっくりだ。

『ナギ、今どこに居るの? 早くしないと帰るよ』
「あ、はい。今行きます!」
 電話を切るナギ。

「さっきの電話はお父さん……?」
「あ、はい。それじゃ、僕はこれで……」
「うん。さっきは助けてくれてありがとうね! また会えると良いね!」
 フードを被るナギ。ユウとエリは彼を手を振りながら見送る。

 ユウが家に帰って来ると、玄関にはタクトの姿が。

「遅いよ! 姉さん!」
「ごめん、いっぱい買い物したから……」
「それはいいけど……」
 苛立っていたタクトだが、ユウの笑顔を見てイライラしていた表情は消えた。

「月曜日は始業式! そして、高等部に転入生が入ってくる! あたし楽しみでさぁ!!」
「そう……。ごめん、テンション上げられないんだ俺……」
 転入生が来る事にテンションが上がるユウ。対照的にタクトは低かった。

 そして月曜日―――。

2011/07/17 Sun 01:29 [No.450]