Makoto
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「ふぅ、助かった…。こんな所に洞穴があったなんて」
滑りこむようにして洞穴に入ったリュカたちは、ホッと安堵のため息をつく。偶然見つけたとはいえ、それなりに人並みの大きさであったため、隠れる場所にも打って付けとなっていたからだ。
「と、まずその前に…… “フラッシュ”!!」
リュカは深く息を吸い込むと、ほっぺの電気袋を光らして“フラッシュ”の閃光を洞穴の中へ照らしていく。これで暗闇で目を凝らさないと見えにくいような場所も、たちまち明るくなって問題なく見渡せるようになった。
「一先ず応急処置を済ませなきゃ…… 今はこれ位しかできないけど、ちょっと我慢して?」
「うぅっ…… 痛いよ、足が痛いよぅー……」
痛む足を押さえながらすすり泣いているシフォンを優しく気遣いながら、リュカは先ほどきのみバッグから落ちた時に拾っていたオレンのみを使って傷を癒し、止血を進めていった。
擦り傷の痛みが引いて行って、悲しい気持ちも少しずつ平静を取り戻していく。
「……ありがと、リュカ兄ちゃん。ぐすっ……まだちょっと痺れが残ってるけど……」
「これで幾らかは安心だな……。ぬれた体を乾かさなくちゃ」
「あーん、ビショビショだよー……」
濡れた体を震わせて水気を払ってから、リュカたちはしばらく雨宿りをすることに決めた。雨は未だに止む気配が見えない。でも、このまま野宿で水浸しになったまま眠るよりはまだマシというべきか。
雨の中をずっと走りまわっていて疲れ切っていた二匹は、くたくたの身をごろりと横たえ、何も食べずにそのまま眠ってしまった。
2011/07/15 Fri 00:29 [No.437]