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コンテスト用シナリオ (微調整予定 1)

Makoto

コンテスト用シナリオの途中経過にて。
少しずつ、シナリオのボリュームを増やしてくつもりですナリ。
まずは序盤から……

――――――――――――――――――――――――

 そよそよと風が草を靡くとある小さな森の中。
 水色のポシェットを左肩にかけた一匹の“こねずみポケモン”がしきりに辺りを見回しながら、二つ足でパタパタと走っていく。その小さな手には桃のような形のきのみを抱きかかえている。

「お兄ちゃん、こっちこっち! チーゴのみが落ちてるよー!」

 淡い黄色の体毛と黒のギザギザ模様の持つ、そのこねずみポケモン――ピチューは、地面に落ちてるきのみを見つけては、ぴょんぴょんと後ろに向かって呼びかけた。

「今行くよー! ちょっと待っててー!」

 ここで、後ろから緑色のリュックサックを背中にかけたもう一匹の“ねずみポケモン”――ピカチュウが返事を返しながら、せわしく跳びはねるピチューのもとへ駆けつける。
 右肩に収穫したきのみを入れるためのバッグを掛け、両手に黄色い梨みたいなきのみとサクランボのように葉っぱの付いたきのみ、それぞれを抱えながら。

 合流したピカチュウたちは、ふと手に持っているきのみを互いに見つめ合い、クスッと微笑む。それからバッグの中に、収穫された数々のきのみを次々に入れていった。

「シフォンってさ、いつも決まってモモンのみを中心に持ってくるよね。本当に甘いものが好きなんだ?」
「えへへ、最初に拾うのは桃色のきのみからって決めてるのー! そういうリュカ兄ちゃんもさ、一度にきのみたっくさん持ってきすぎだよー」
「あは、バレちゃったか。実は、知らないきのみが無いかなーって夢中で探してたら、いつの間にか手元にはこんな風に」
「こういうの、“ケンキュウネッシン”っていうんだよね。もうシフォンにはとっくに気がついてたよ?」
「こっちはいっぱい拾いまくっててそれ所じゃなかったんだぞー? まぁ、数ではキミには負けてないけどね」
「あ! もう、また兄ちゃんのイジワルが始まったー」

 ピカチュウとピチュー――リュカとシフォンは互いにそう言って顔をふくらます。言葉ではじゃれ合いながらも、怒ってる様子はみじんもない。
 彼らは二つ違いの兄妹だった。幼いころから仲良しで、野原で友だちと遊ぶ時も、今のように森にきのみを拾いに行く時も、小さなポケモンバザーの店まで必要な冒険セットを買いに行く時も、いつも一緒にいて離れるときは滅多にないのである。

「うーん。もうちょっと集められるかな? まだバッグの中余裕があるし」
「え、結構いっぱい拾ったと思うんだけどなぁ……。いつもの道だったらもう調べ尽くしちゃったもん」

 リュカがバッグの中のきのみを眺めながら、そっとシフォンに声をかけた。そんなシフォンの方は、あまり乗り気でない様子。

「じゃあさ、もうちょっと森の奥まで行ってみようか? 探検の一つだと思えば、きっと楽しいよ」
「暗くなったら早く帰ってきてってパパ言ってるのにー…」
「大丈夫だよ! パパにはボクがよく言っとくから。“森のきのみがいっぱい落ちてたよ”ってさ!」
「まぁ、兄ちゃんが一緒だし。大丈夫だよね!」

 好奇心いっぱいなリュカの言葉に、シフォンは半ば押し切られる形で了解した。そしてリュカはきのみバッグを掛け直すと、シフォンと一緒に森の奥へどんどん進んでいく。
 その時、道端に生えている雑草たちが風にあおられ、身を横に垂れていった。

――――――――――――――――――――――――

 森を奥へと進みこんだリュカたちは、散らばっている自然の恵みのきのみを二匹がかりで集めていき、先ほどと同じく合流してバッグの中へ入れていった。途中小腹が空いた為、両親がお弁当にと持たせてくれたリンゴを半分ずつ食べ、残りは後で食べようと思い思いのバッグにしまった。それぞれリュカは小さなリュックサック、シフォンは小さなポシェットの中へ。
 もうきのみバッグはこれ以上入り切らないほど、きのみが頭まで乗っかって――あ、上からポロッとオレンの実が落っこちた。それにしても、きのみに対しての執念はすごいものがある。とりあえず二匹とも。少しは加減ってものを知りなさい。
 そんなツッコミも空しく、リュカはきのみバッグを力強く閉めていく。

「ねぇ、行ってみてよかったでしょ! これなら、家のきのみ料理の材料には当分困らないな」
「そうだね、パパとママもきっと喜んでくれるよ! リュカ兄ちゃん!」
「さ、日が沈み切る前に帰ろ、シフォン!」

 二匹は、意気揚々と森から出て帰ろうと帰り支度を整え、そして歩き始めた。無事に家が帰れたかどうかは―― ここからが本当の物語の始まりとなるのである。

2011/07/12 Tue 23:59 [No.423]