ルナサ・クリスティ
「……」
ルイージが質問をすると同時に、べビィポケモンたちは一斉に黙り込んでしまった。まさかとは思っていたが…
「ぼくたちのおかあさんは… でぱーとこんくえすたにころされたんだ…」
「でも、おれたちだけは…」
「……」
彼らの親はDCによって殺されていた。彼らは戦災孤児だったのだ。
彼らのリーダー格であろう、ピチューは他のポケモン達が泣く中で泣かまいと堪えていたが、感情が抑えきれなくなったのか、泣き出してしまった。
「おまえら! なくんじゃ… うわああん!」
「お、おい… …よし、よし」
ルイージは泣き出すべビィポケモン達を宥めるかのように一匹一匹ずつ頭をなでる。
彼らを放っておくわけにはいかない。そう思ったルイージは決意した。
彼らが成長して大人になるまで彼ら戦災孤児の面倒を見てやろう。
それが唯一自分にできることであり、DCに所属していた自分への贖罪である。
「俺が… お前たちの親代わりになる!」
「え…」
この世界に生まれて今もこうして生きている。
何も知らない小さな子供達が、大きくなって一人だって歩けるのだ。
いつか自分にも命の終わる時が来るだろう。だが、彼ら子供達が大きく成長し、次の未来へと託すように…
「色々と、不慣れなこともあるけど… よろしくな」
「ありがとう、おにいちゃん!」
「そういえばおにいちゃんのなまえは?」
「そういえば名乗ってなかったな。俺は…」
まずは小さな一歩から始めよう。
この先起こるのは楽しい事ばかりではないかもしれない。だけど、悲しい事も皆で乗り越えてみせる。
心の死んでいたルイージの心は再び活動を始めようとしている。彼の目には、久々に笑顔が宿っていた。
「こいつらの成長を見届けるまでは… まだ、満足できないぜ…」
2011/05/04 Wed 10:57 [No.321]