サジタリウス
DMとDCの戦いから数カ月・・・
咥えた鉄の棒が印象的なクチートはシンオウ地方のとある森にいた。
「おお、これはいい甘さ。甘党の僕にはたまらないなぁ。」
『彼』がかじっているのはこの地方では有名な「森のヨーカン」である。
森のヨーカンを食べながら『彼』はシンオウ地方観光マップを取り出してチェックを入れ始めた。
「うーん、テレビコトブキにもいったし、炭鉱にもいったし…」
どうやら行った名所にチェックを入れているようだ。
「三つの湖にもいったしな…もう大体の観光名所は行ったかな。あとは―」
目の前の館から上がる悲鳴を聞きながら、『彼』はマップを放り投げた。
「―あとはお馬鹿な敵さんを倒すだけですね。」
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館では一匹のサーナイトを、ニヤニヤ笑いを浮かべた数匹のポケモンが取り囲んでいた。
「わ、私をどうするつもりですか!?」
震えながら訊くサーナイトに、この集団のリーダーらしいバクオングがニヤニヤ笑いをより一層強めながら答える。
「いやいや、お前には天国に行ってもらおうかなァと思ってよォ。」
「ま、まさか殺すつもりですか…!?」
「別に殺しゃあしねェよ。ただなァ、俺たちと気持ち良くなって天国に行ってもらおうと思ってなァ。なァ?お前ら。」
バクオングの言葉にほかのポケモンたちも「そうそう」「気持ちよーくな」などと言いながら狭めていく。
「ひっ…キャーーー!」
悲鳴を上げるサーナイトに詰め寄りながらバクオングは楽しそうに言う。
「そんな悲鳴上げても誰も助けなんて来ねェよ。」
その時、扉の外から声が聞こえた。
「それ…フラグですよ?」
扉が蹴破られ、鉄の棒を咥えたクチートが中に入って来る。
「な、なんだてめェ!」
バクオングの言葉に応えるように『彼』は答える。
「只の…DMの残党潰し屋です。此処にDCの残党がいると訊いて来ました。」
「DMの…残党潰しィ!?」
その素っ頓狂な声に『彼』がうなずく。
「はい、素直にお縄につくなら痛い目には合わせませんよ?抵抗するなら多少は手荒にさせて頂きますが…」
「ハッ!お前一人なんかにやられてたまるかってンだ!てめェら、やっちまえ!」
命令を受け向かってくるポケモンたちを見て、彼は溜息をついた。
「はぁ、しかたないな。」
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数分後、『彼』によってバクオングを含むDCの残党達は全員気絶させられていた。
「はい、シンオウ地方の森の洋館で何匹か気絶しているのでテレポートできるポケモンに回収させてください。はい、では。」
ポケギアでしばらく会話していた『彼』は通信を切りサーナイトに話しかける。
「えーと、ひとりで帰れますか?」
「は、はい…」
「よかった、では僕はこの辺で…」
そのまま出口に行こうとした『彼』にサーナイトが訊く。
「あ、あのっ!名前教えてくれませんか!?」
『彼』はその質問に鉄の棒を咥え直し、答えた。
「僕の名前は―――」
―fin―
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しまった…出遅れた…
2011/05/03 Tue 20:22 [No.316]