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文章力を見てもらいたくて

いぬ

命祈祷は、先程から何者かの気配を感じていた。
しかし、彼女が持つのは“白を操る程度の能力”。気配を感じる要素に白は連想出来ない。つまりは能力で感じ取ったのではない。
単純に言わば「直感」。
人ではあらず者達と共に住み、彼女自身も人外である故に、勘が冴えてるというのだろうか。それに、その直感は正解と言えよう。
理由は簡単。祈祷の目の前には――

 「御機嫌よう」

――敵と認識すべき者が居たのだから。

 「ご機嫌麗しゅうございますわね、ウナギ女」
 「あらまあ、鬼は口を慎められませんのね。貴方は“真っ白”ですのに、“真っ黒”ですわ」
 「あんたに当てる礼儀なんざ必要ねーんだよ、垂れ糞」

祈祷が右手の中指を突き立て、相手へと見せ付け、更にはガンを飛ばす。
だが相手は全く動じるどころか呆れたように溜め息を吐くだけ。それ処か、彼女の目つきは明らかに祈祷を見下すように見ていたのだった。

それを非常に不快に思ったのか、思い切り舌打ちをしたかと思えば、ソードカトラスを構えた。
カチャッ、と 銃独特の音を出したそれの銃口は、相手へと向いていた。
勿論、安全装置は外れている。更には両手の人差し指は、引き金に掛かっている。
少しでも力を入れれば発砲し、目の前に居る――祈祷が言う――ウナギ女は蜂の巣へと変貌するだろう。

しかし、銃を向けられたというのにこの女の表情は、一つも崩れていない。
目つきも蔑みの視線のままである。

 「……」
 「……」

表情以上にこれ以上に会話は無く、しばしの沈黙が走る。
……そして。

 「あんたをブッ殺せば万事解決なんだよ、――永江衣玖ッ!!」

――沈黙は、白い鬼が破った。

2011/04/26 Tue 00:06 [No.288]