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新人賞に応募しようと思っている小説のあらすじです

T-850

月光化身
主人公 夜行 奏(やこうかなで)苗字は仮です。
     佐藤勝哉(さとうかつや)
あらすじ
勝哉は館山の中学に通っていたが、ある事情で3年生になるのをきっかけに、東京に住む叔父と暮らすことになった。事情とは、勝哉の好きな年上の女性真理子が、美容師になるため上京したことだった。
勝哉は転入先の学校へ登校する途中、同じ制服を着た少年にぶつかってしまう。その少年は見たこともないようなきれいな顔をしていて、月のように冴えた青灰色の瞳をしていた。
「前見て歩けよ」少年はそれだけ行って去ってしまい、勝哉と少年はそれ以上関わることがなかった。
だが、勝哉が少年、奏の秘密を知ってしまう。その秘密とは、少年が「月華」と呼ばれる人間ということだった。
月華は月と同じ目の色をしている。よって、皆既月食のときは赤銅色になってしまうのだ。それを、奏は勝哉に見られてしまったのである。
奏は非の打ち所のない少年だった。運動も出来、勉強もトップクラスで、何より見た目もいい。性格もよく優しいので、それなりの人気もあった。
だが、奏には強烈な個性があった。それは、人称のことだ。奏は容易には人に心を許さない。許した相手には、自分のことを「俺」と呼び、それ以外には「僕」と呼ぶ。勝哉は最初から「俺」だった。
二人は少しずつ付き合うようになり、やがて勝哉は月華のことを奏から聞かされることになる。
月華は大人まで生きられない。奏は勝哉にそう打ち明けた。自分は大人になるまえに死んでしまうのだと。それは成人するという意味、つまり20までという決まりではなく、真実の意味での大人なのだという。精神的にも肉体的にも大人になりきってしまえば、たとえ何歳であろうと死んでしまう。月に召されるのだ。
勝哉は驚き、そして奏にそれでいいのかと問いかけた。自分が大人になるまで生きられないとしっておきながら、どうしてそう平静でいられるのだと。奏は、「自分には別れたくない大切な人間がいないからだ」と答えた。だが、勝哉は「自分の存在は、どうでもいいものなのか」と奏に問い詰め、奏は自分が既に勝哉を大切な友達として必要としていることに気がつく。
それから、少しずつ「死にたくない」という思いが生まれてきて、ついに奏は勝哉とともに、助かる方法を見つけるべく「月華」について調べることに決めた。
そのころ、二人は街中で中年の男に無理やりナンパされている女性を見かけ、奏がその女性を助けた。女性が去ったあと、その女性にそっくりな少女がかけてきて、「うちの姉を知らないか」という。
女性の妹であるらしい少女に女性の行った方向を教え、少女と二人は一旦別れた。だが、そのあとまたすぐに出会い、次第に仲を深めていく。
少女は住吉緑という名で、あの女性は住吉茜という名だった。京都の出身なので、少々なまっている。茜はつい最近上京したばかりなので、完全に京訛りである。音楽一家で、姉妹揃って名門の音楽校に通っている。茜は声楽をやっており、緑はサックスを吹いているそうだ。そのせいか緑の指は綺麗で、奏はその細くて繊細な手が好きになった。
徐々に奏は緑に惹かれていき、緑も美しく知的な奏を忘れなれなくなった。しかし緑は恋愛経験が皆無なため告白することができず、奏は自分が死ぬという運命に邪魔されて、想いを伝えることができずにいた。しかし、それでも必然的に二人は惹かれあい、緑が恋愛がわからないことと、奏には重くのしかかる運命があることが重なって、想いは伝わっていない、相手が自分を好いていないと思っている状態にも関わらず恋愛的な行為(つまりチューとか?)をする、奇妙な関係へと育っていった。
そしてある日、緑が姉が京都の古本屋で買ったという小説、「月華の呪」という本を持ってきた。奏はそれを見て驚き、緑に借り、勝哉と二人でその書を読んだ。
その書は、ファンタジー小説の扱いを受けていた。明治時代に描かれた書で、奏たちにはそれが小説などではないことが解るが、内容があまりに突飛であるため、小説とみなされたものらしかった。その書には、月華のことについて人の身として限界まで真実に近づいた、見聞録だった。

2011/04/24 Sun 10:32 [No.273]