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Re: 決意

ジャグラー

※途中アイビス視点から別の視点に変わります。

「らああああああぁぁ!!」
叫び声と共にジャグラーの腕から波動が放出される。
ルカリオが得意とする“はどうだん”だ。
しかし、私にその程度の技は通用しない。
「ふんっ」
“はどうだん”を“リーフブレード”で真っ二つに切り裂く。
さらに、そこから“サイコカッター”を連続で繰り出し、一気にジャグラーを追い詰める。
「ッ!」
「何!?・・・“かげぶんしん”と“みがわり”を複合させた!?・・・どこでそんな技を・・・!?」
・・・やはり、甘く見すぎていたか。
“かげぶんしん”単体では時間がたてば消滅する上に、攻撃されればすぐにばれてしまう為、時間稼ぎにはあまり向かない。
しかし、そこに“みがわり”の効果を加えれば時間がたっても消えず、本物そっくりの分身が出来上がる。
しかし、それには身代わりの効果と影分身の能力を調整する必要がある。それを軽々こなすとは・・・。
「言っただろ、クール。俺は大切な人を守るために戦い続けると。
そのためなら俺はどんな技だって使う。」
「なんとでも言え。貴様がその正義が口だけでないか、今ここで確かめてやる!!」
正義正義と叫ぶあの男に、分からせる必要がある。
奴は大切な人がいると言っていた。・・・ということは、だ。
その大切な人は・・・あの中にいる!
本当に正義を持った男ならば、奴は必ず守りに入る!
「はあぁぁ!!」
「っ!?・・・しまった!」
どうやら成功のようだな。
私の放った“サイコカッター”は、奴がいた部屋に向かっている。
あのまま放っておけば扉を貫通して部屋の中で眠っている奴らに当たってしまうだろう。
だが、奴が本当に自分の正義を貫くというのなら・・・

「ぐっ・・・!」
「・・・ほう」
やはり、予想通りだ。
私の放ったサイコカッターは、ドアの前に立ったジャグラーによって防がれた。
だが、それこそが私の望んだこと。
この隙を突いて、私は一気にジャグラーの懐へ入る。
「どうやら、本当に貴様なりの正義を貫くつもりだったようだな・・・だが、それが命取りになった。」
「ふざ、けんな・・・!」
「・・・何を言おうとも、貴様はここまでだ。貴様の首をガウリイル様に届けねばならんのでな!」
そして私は一気に“インファイト”で奴を吹き飛ばした。
鳩尾にくらわせてやった上に、効果は抜群だ。そう耐えられるものではない。
「さあ、ジャグラー。年貢の納め時だ。」
「ごほっ・・・くそっ・・・」

――――あれ、ここはどこだろう?確か、朱鷺さんにやられて・・・そのあとに誰かがラプラスさんが死んだなんてことを言ってきて・・・

――――あれ・・・?何か、見える・・・?ルカリオと、エルレイド・・・?あれ、でもあのルカリオは・・・

――――いけない。ここで見るだけなんて・・・助けなきゃ!

この時、どうしてボロボロだったのに動けたのかわからなかった。
不思議に思った。普通なら動くことすらままならないのに。激痛を感じるのに。
ただ助けたい、その気持ちだけで動いた。痛みは感じなかった。
そして、私はドアを思い切り開け、今まさに刃が振り下ろされようとしているエルレイドの前に立ち――

一体、何が起こったのか自分でも理解ができなかった。
突然ドアが開いて、一匹のエーフィが俺の目の前に現れ、リフレクターで俺を庇ってくれた。
だが、このエーフィは・・・もしかして。
「“シャドーボール”!!」
「ぬぅ・・・!」
間違いない。この人は、俺が絶対に守り抜くと決めた――
「フィリット・・・さん・・・?」
今まで俺は何度か、歴史の資料でジャンヌ・ダルクなどの戦う女性を見たことがある。
その時俺はキレイだな、と何度か思ったことがある。
しかし、そんなのとは比べ物にはならないくらい、今の彼女は美しかった。
「く・・・だが、まあいい。奴を倒すことはできなかったが・・・最低限の目的は果たせた・・・!」
「待ちなさい!!」
クールが去っていく。最低限の目的とは何なのかは知らないが、多分俺の戦闘不能だろう。
だが、今はそんなことはどうでもよかった。
「フィリットさん・・・フィリットさん!・・・わああああああぁぁぁぁぁ!!」
「え、ちょ・・・じゃ、ジャグラーさん!?」
思わず俺は、フィリットさんに抱きついて泣いてしまった。
正直、泣きたいほど怖かった。・・・せっかく最愛の人と出会えたのに、ここで死ぬのが怖かった。死にたくない。生きたい。
普段は泣かないのだから、ここで思い切り泣いておこう。そう思った。
「大丈夫だよ、ジャグラーさん。大丈夫・・・もう何も怖いものはないから・・・」

あれから何分か経っただろうか。
俺の涙も止まり、フィリットさんはさっきからずっと笑顔でこちらを見つめている。
「ねえ、ジャグラーさん。」
「ん?何だい、フィリットさん。」
「一つ聞きたいことがあるんだけど・・・」
「?」
「なんでGTSで治療してたジャグラーさんが、ここにいるの!?」
・・・え、今まで気づいてなかったの!?いや、それともあえて突っ込むのを待ってた!?
まあ・・・どっちにしろ、驚いても仕方ないよな。だってあの時はすでにフィリットさんはいなかったし。
「実は、GTSに突然押し掛けてきたヨマワルとニャースの行商が来てな。そいつらに、アイテムをもらったんだ。それを使ってここまで元気になったんだ。」
「そうなの・・・よかった・・・本当に、無茶ばかりして・・・あの時、私がいなかったらどうなってたかわかるでしょ・・・?」
フィリットさんの目から、涙が出てくる。
・・・やっぱり、無茶したのがまずかったのかな。
「ラプラスさんも死んで・・・ひっく・・・ジャグラーさんまで死んじゃったら・・・私、どうすればいいのかわからないよ・・・!」
「え・・・?ラプラスさんが・・・!?」
あのラプラスさんが死んだ・・・?ウソだろ・・・?
いや・・・でも、あの時のクールはわずかだが、波動が違っていた。ということは、ラプラスさんと戦って・・・。
でも・・・あのラプラスさんが死ぬはずが・・・。
「フィリットさん」
「・・・!」
俺はフィリットさんを引き寄せて抱きしめる。
ポケモンとは言え、温かい。人と同じくらいだろうか。
「フィリットさん。俺は、あなたが俺に思いを告げてくれた時、俺は嬉しかった。あなたがそんな風に思ってくれることがうれしかった。
俺も、あなたのことが好きだ。」
「・・・!」
「だから、フィリットさん。俺はあなたを守り続ける。あなたを残して、死んだりはしないよ。」
「ジャグラーさん・・・」
俺はフィリットさんを強く抱きしめた。
俺はもう彼女を悲しませない、心の中でそう誓った。

あとがき
とりあえず一言だけ。
なぁにこれぇ。

2011/03/22 Tue 00:30 [No.203]