ゆとり
いのりは、こんな独り言をいいながらハッサムを倒すタイミングを見計らった。
しかし、いのりより数倍動きが速いハッサムに攻撃を確実に当てることは、いのりにとって難しかった。
せいぜい避けるのが精一杯だった。
「ふん、さっきから避けてばっかだな。少しは攻撃しようという気持ちはないのか」
ハッサムはいのりに攻撃を繰り出しつつ、軽く挑発してきた。
「うっせえ、し・・・・・・」
しかし、いのりが最後まで言う前に【シザークロス】を受けてしまった。
「・・・・・・っ!」
「ふん、これで終わりだ!」
そしてハッサムは秒速5mの速さでいのりに攻撃を喰らわせようと向かってきた。
「くそっ、一か八かだ」
いのりは早口で何かを呟いた。
だが、呟き終わると同時にいのりの腹にハッサムのハサミが食い込んだ。
「ははははっ!
これで俺の勝ちだなっ」
ハッサムは高らかに笑った。
「勝手に決めつけんな、しね。」
すると急に、ハッサムの立っているところからいのりが、勢いよく顔を出してきた。
「な、何っ!?
うわああああっ!」
叫び声と共にハッサムは、天井にたたき付けられた。
そして床に落ちたハッサムは、打ち所が悪かったのかそのまま意識を失った。
「ふぅ、あそこで【身代わり】を使っておいて正解だった。」
そして、いのりは誰もいないことをしばらくの間確認した後、ポケギアを取り出した・・・・・・が、さっきハッサムの攻撃を喰らってしまったせいか、そのポケギアは粉々に砕けていた。
「冗談じゃねえよ、しね」
いのりは少し怒りを膨らみながら、呟いた。
これでもうシャイン達と連絡を取れることができないことをがっかりしつつも、すぐに前に走っていった。
------------
「はぁ、まさかこんな所に敵がいたとは・・・・・・」
ブリザはしばらく進んだものの、敵に見つかってしまった。
そして、現在五匹のポケモンに囲まれていた。
「おい、そこのグレイシア。お前を倒して俺は本部に戻って、そのまま大出世するんだから、絶対にそこから動くんじゃねえぞ!」
一匹のカイロスがドスを聞かせたような感じで喋った。
しかし、それを聞いた他のDCのポケモンはものすごく呆れた顔をしていた。
「あの・・・・・・あなたの言ってる意味がわかりません。正直、私を倒したいからって動くな、と私に発言するなんて些か強引じゃありませんか?」
2011/03/04 Fri 23:48 [No.159]