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[ 編集 ][ 返信 ]ヴィオール/セレナ

覇王樹

ヴィオール
 ふぅ…何とか間に合ったようだね。
 ごきげんよう、セレナくん。

セレナ
 えっ…?

ヴィオール
 セレナくん…
 そんな傷だらけの姿でかわいそうに…
 これで間に合わなかったとしたら、
 私はもう貴族失格になる所だったよ。

セレナ
 その話し方は…父さん!?
 まさか、生きてたの…!?

ヴィオール
 いんや。私は異界から来た人間だ。
 君の父親とは別人だよ。
 この世界が危ないと聞いて、
 華麗に君を救いに来たというわけだ。
 この世界で果てた私の代わりに、
 共に手を取り合い戦おうではないか。

セレナ
 た、助けに来てくれたのは嬉しいけど…
 ここは危険なのよ!?
 別世界から来たのなら、元の世界で
 父さんがすべきこともあるんでしょ?

ヴィオール
 そうだね…もちろんあるとも。
 こう見えて暇ではないのでね。
 だが、我が娘の危機とあらば
 例え異界からでも駆けつける。
 それが美しき貴族としての
 有り方だとは思わないかね?

セレナ
 もう…そうやっていっつも
 のらりくらりとかわすんだから…
 じゃあはっきり言わせてもらうわ!
 向こうには父さんが愛する
 仲間たちがいるんでしょ!?
 こんな、実の娘とは別人の…
 あたしみたいな存在よりも大事な人が!
 それなのに、ここで死んだりしたら
 どうするつもりなのよ!

ヴィオール
 なんと…私の事を
 気にかけてくれているのだね。
 優しい子だ…このような世界でも
 優しく真っすぐに育ってくれて私は嬉しいよ。

セレナ
 だから今はそういう話を
 してるんじゃなくて…!

ヴィオール
 …娘よりも大切なことなど、
 あるものか。

セレナ
 え…?

ヴィオール
 先程…君は私に、自分よりも
 大切な者がいるだろうと言ったね?
 確かに、私には元の世界に
 大切な人たちがいる。
 だがね…それに優劣をつける気は無い。
 どれも等しく、一番大切なのだよ。
 別人であろうとなかろうと関係は無い。
 だから君が私の大切な人である以上、
 ここがどんな世界であろうと、
 君が別人であろうと…
 君よりも大切なことなど、無いのだよ。

セレナ
 と、父さん…
 それ、本当なの…?
 あたしなんかが父さんに頼っても…
 迷惑じゃないの…?

ヴィオール
 もちろんだよ。
 さぁ、涙を拭きたまえ。
 その奥ゆかしいところ、そしてその涙が
 何よりも君の優しさの証だよ…
 さぁ、私が力を貸すから、
 共に未来を掴みに行こうではないか。

セレナ
 …うん!
 父さん…ありがとう。

2012/10/19 Fri 00:08 [No.39]

  1. [39] ヴィオール
     ふぅ…何とか間に合ったようだね。
     ごきげんよう、セレナくん。

    セレナ
     えっ…?

    ヴィオール
     セレナくん…
     そんな傷だらけの姿でかわいそうに…
     これで間に合わなかったとしたら、
     私はもう貴族失格になる所だったよ。

    セレナ
     その話  ・・・・ >> 続き
    ヴィオール/セレナ
    覇王樹 2012/10/19 00:08