すら
フレデリク
あなたはこの世界のノワールさんですね。
ノワール
ひっ!?
と、父さん…どうして?
フレデリク
私は貴方をお守りするためにやってきた、
別世界のフレデリクです。
ナーガ様の力によって、一時的に
この世界へとやって来ました。
ノワール
い、異界…?
フレデリク
えぇ…信じがたい話かもしれませんが、
これはまぎれもない真実なのです。
ノワールさん…この世界の
私はどうして死んだのですか?
ノワール
そ、それは…
屍兵に襲われた時に、街の人や
子供たちの身代わりになって…
最後まで自分より他人のために
尽くして死んだと聞いているわ…
フレデリク
そう、なのですか…
ノワール
父さんが死んだ時の母さんは
見たことがないぐらいに取り乱して…
そして父さんを殺した屍兵を
何としてでも見つけると言っていたわ…
そんなの…見つかるはずが無いのに
ずっとずっと…探し続けて…
そして、父さんの後を追うように
母さんも死んでしまった…
フレデリク
あぁ…なんてことでしょう。
我がことながら情けない。
そうして家族を悲しませ、
愛する妻を復讐に駆り立て、
今では娘を
独りにしてしまっているのですね…
ノワール
いいえ、父さんは最期まで
必死に戦ってくれたの…
だ、だから父さんを悪く言わないで…
フレデリク
すみません…確かに正確には
あなたの父は私ではありませんでしたね。
ノワール
………
フレデリク
でも…そうですね。この世界の私は
きっと幸せだったのでしょう。
ここまで自分を大切に想ってくれる
素晴らしい娘に恵まれて…
ノワール
父さん…
フレデリク
彼は町の人を守って散ったことに
悔いはない事と思います…
ですが、最も守りたかったのは
愛する妻と、娘の貴方であったことでしょう。
だからせめて彼の代わりに、
今だけは父親として貴方を守らせて下さい。
ノワール
うっ…ぐすっ…父さんが
そう言ってくれるなんて…
うぅっ…嬉しい…
父さん…来てくれてありがとう…
2012/10/28 Sun 14:48 [No.41]