覇王樹
フレデリク
ロランさんですか?
無事で何よりです…!
ロラン
ま…まさか父様、
でも一体どうして…?
フレデリク
私はこの世界の
フレデリクではないのです。
異界と呼ばれる別世界からやってきた
貴方の父とは異なる存在なのですよ。
留まれる時間は
決して長くはありませんが、
その間だけでもどうか
父親として、貴方を守らせてください。
ロラン
そうだったのですか…
…父様。
お気持ちはとてもありがたいです。
ですが、この世界は今にも
闇に包まれようとしています。
せっかく生き延びた父様にご迷惑を
おかけするわけには参りません。
僕は父様とお会いできただけで十分です。
さぁ、早く元の世界へ戻って下さい。
フレデリク
いえ、そんなわけには…
ロラン
…だめです、父様!
フレデリク
…まったく、その生真面目で
融通のきかない所は誰に似たのでしょうね。
ロラン
え?
フレデリク
ですが、同時に貴方は愚かしい程に
他人の事を想う…優しい子です。
そんな貴方が、この世界を生きるのに
どれほど辛い思いをしたでしょう。
私は、貴方に幸せになって欲しいのです。
今まで苦労をした分まで。
この世界の私が…
幸せにしてやれなかった分まで。
ロラン
父…様…
フレデリク
だから…ロランさん。
こんな時くらいは、
私に…父親に甘えてはくれませんか?
ロラン
いえ、ですが、それでは…!
フレデリク
大丈夫ですよ。息子を置いて、
誰が二度も死ぬものですか!
…この世界で倒れた私の分まで、
貴方を守り通すと約束しますよ!
ロラン
…………
わかりました。
ではそのお力、お借りします。
憧れだった父様と共に戦えるなんて、
光栄ですよ。
フレデリク
さぁ、では行きますよロランさん!
共にこの世界の希望を取り戻しましょう!
ロラン
はい!
2012/10/18 Thu 16:56 [No.34]