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クロム/ブレディ

覇王樹

クロム
 どうやら無事のようだな、
 良かった…!

ブレディ
 …と、父さん!?
 あんた父さんなのか?
 実は生きてた…わけないよな?
 まさか、幽霊か…?

クロム
 いや…俺はこの世界で死んだ
 お前の父ではない。
 俺は別の世界のクロム。
 一時的にお前を助けに来たんだ。

ブレディ
 別の世界から…俺を助けに?
 そ、それじゃ、頼みがあるんだ!!
 俺の仲間たちを助けてやってくれ!

クロム
 さっき敵地に残った奴らのことだな?
 だが、あいつらが残ったのは
 お前をただ逃がすためではないんだろう?

ブレディ
 あ、ああ…
 宝玉を俺に運ばせるために…

クロム
 なら俺はそれを
 完遂する手助けをしよう。

ブレディ
 な…なんでだよ?
 あいつらを助けてやってくれよ!?

クロム
 屍兵を倒す術の無いお前を
 置いてくことなどできない。
 お前が託された物の
 重さを考えると、尚更だ。
 それに、ブレディ。さっきお前は
 仲間たちが死なないと信じていると言ったな。
 あの言葉は…嘘だったのか?

ブレディ
 嘘なわけ…あるかよ。
 俺は、あいつらを信じてる。
 けど…けどよ、もしかしたらって思いが
 どうしても離れねぇんだよ!
 …俺は、いつも周りに守られて生きてきた。
 家族に、仲間たちに、民たちに。
 俺が、父さんの息子だから…
 イーリスの王子だから!
 でも、俺は非力なせいで
 いつも何一つその恩を返せねぇんだ!!
 もうそんなのは、嫌なんだよ!

クロム
 ブレディ…

ブレディ
 俺は父さんの息子なのに、
 聖王の血を引く王子なのに、
 仲間を守ることすらできねぇ!
 こうやって逃げることしかできねぇんだ!
 それが俺の役割だってわかってても、
 あいつらを守る力を望んでしまうんだよ!!

クロム
 …そうか。お前はそれほどまでに
 強い思いを持っているんだな。
 俺がここに来た理由が、
 今少しわかったような気がする。
 俺は、お前の望む力となるために、
 ここに呼ばれたのかもしれない。

ブレディ
 …………
 父さん…

クロム
 …わかった、ブレディ。
 俺が、お前の戦う力になる。
 お前の代わりに、
 お前の仲間たちを助けに向かおう。

ブレディ
 !! 本当か…!?

クロム
 あぁ。お前の仲間たちが
 生き残っていたなら、必ず守る。
 その代わり、お前も絶対に死ぬな。
 仲間の覚悟を無駄にしないためには、
 お前は前を見て走り続けるしかないんだ。
 それが俺の息子として…
 イーリス王子として、今すべきことだ。

ブレディ
 …ありがとう、父さん。
 ひと目父さんに会えて…良かった。
 あいつらのこと…頼んだぜ。

クロム
 涙はぬぐったか?

ブレディ
 ああ…もう平気だ。

クロム
 …いい顔になったな。
 無事にイーリスに帰るんだぞ、ブレディ!

ブレディ
 ああ…!

2012/10/12 Fri 01:47 [No.25]