杉さんぼく
龍馬の本家になる才谷屋文書(六代直益順水日記)の記述に、日下茂兵衛と言う土佐のネズミ小僧なる、享保の頃の怪盗の事が記されています。
本当にいたのだろうか、と伝説説、実在説の論議がある中、才谷屋文書に実在説の記載があったのです。
享保六年九月四日夜、蓮池町牢舎の罪人日下茂兵衛といふもの、相牢の者の銀を盗み取り、牢をぬけ欠け落ち仕る…。
貧農に生まれた茂兵衛、奉公した庄屋の娘との恋仲を阻止され、死に場所求めて、とある洞窟に入りました。
そこで、天狗か仙人にかに救われ修行、忍術の奥義を極めた、というわけです。
この忍術で、豪商や殿様の屋敷に忍び込み、盗んだお金はネズミ小僧のように貧しい人々に施したとされ、伝説ヒーローになりました。
なお、数十年前に丹中山(たんちやま)で、順水日記を残した直益さんのお墓発掘に出会えました。
その折り、拵えも立派な銀のキセルが、炭をひいた土の中から出て来ました。
このキセルを使いながら、土佐のネズミ小僧の事を順水日記に書いたのだと思うと、なかなかに感慨深くもあります。
参考
伝説の里を訪ねて(高知新聞学芸部編1994)
2016/01/20 Wed 06:43 [No.239]