No.164へ返信

記事投稿フォーム
題名
名前
補助
本文
他の入力項目
編集キー
  
送信

気になる人々 続-大塩平八郎〜三代目中村仲蔵

杉さんぼく

幕末期に活躍して人気を博した歌舞伎俳優(ワザヒト)に、三代目中村仲蔵(1809〜1886)が書き残した一代記・手前味噌(日本演劇文献研究会編1944/青蛙書房1969復刊)があります。

それによるとこの仲蔵さん、景気が悪い上に大塩事件でよりいっそう景気が悪くなった大坂の町に、活気と景気を盛り上げようと、役者たちによる盆踊りを挙行して成功した、と書いています。

大塩事件のさかのぼる事の文政12年、江戸は大火にみまわれ、芝居小屋も三座失いました。

江戸役者たちは困ります。
そこで諸国や上方に興行を持ち、仲蔵も諸国を巡っていました。

そして当時仲蔵は、鶴蔵として上方にいました。
そこで、天保8年2月19日大塩事件が起こり遭遇、その大火に遭ったのです。

それからすぐの夏、鶴蔵(仲蔵)は、役者たちによって景気付けに市街地で盆踊りを挙行しようと考えた訳です。
道頓堀より屋台を出し、この屋台には4代目中村歌右衛門等役者たちが乗り込み、市内を練り歩きました。

初日は7月11日(1837/8/11金)、人気役者が間近く見れると言うことで、評判になり、15日までのこの興行で、大坂庶民は祭礼気分に酔いしれました。

思わぬ余波は、堂島米相場が下がった事です。

大塩事件直後の高騰から、3〜4割も下落したのは、仲蔵たちにとっても予想外の何ものでもありません。

「…12日、堂島の米相場少しさたるゆゑ、弥々イヨイヨ今度の盆踊りは豊年の吉兆なりとて悦びあふ…益々世直しと言ひ囃し、大塩が噂も終に薄らぎ、太平の元に復したる」(手前味噌「天保の飢饉に一役をかふ」・青蛙房1969)

以上、大塩事件余話でした。チャンチャン。

なお、この仲蔵一代記を元ネタにした小説なら、仲蔵狂乱(松井今朝子)がお薦めです。

2015/10/16 Fri 04:49 [No.164]