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第八話 輪―クライマックスジャンプ― その1

Joker

人との出会い、その度にわたしは「この人は何を考えて生きているのだろう?」と思う。
しかしわたしはそれを知ろうとは思わない。
ただ、人間とは何をして生きるべきなのか? その答えが知りたいのだ。
そんなことを考えているときに手に入れたこの力、スタンド
この力を手に入れた理由、この力ですべきこと、
この力でわたしがしようと思うこと・・・

朝、
オトヒメのスタンド使い・竜宮一姫との戦いでボロボロになった部屋から別の部屋に移った浄芽たち。
「――んっ・・・」
朝日に照らされて暁が目覚める。
「ん、起きたか暁。」
「おお、浄芽か。おまえ寝てないみたいだな。一晩中起きてたのか?」
「ああ。」
「そこで縛り上げられてる竜宮を見張るためか?」
「いいや、ただゲームの続きが気になってな。」
浄芽が胸ポケットから携帯ゲーム機を取り出す。
「相変わらず好きだなあ。鋭司は?」
「鋭司なら・・・ほら、今日日曜だろ?で、今7時半。」
「なるほど・・・戦隊ヒーローか。
あいつも一見クールな不良(ワル)だが実際はものすごい特撮オタクだからなあ。」
隣の部屋から熱いOP(オープニング)テーマが聞こえてきた。

そして浄芽たちはホテルから出た。
「――俺たち3人が泊まるのに300万、クロウを無理やり泊めるのに700万、部屋の修理代に2000万、合計3000万・・・俺たちの旅って金かかるのな。(まあ、俺の財布にはちっとも響かないがネ)」
暁が言った。
「ところでお前たち、今日は学生服じゃないんだな。」
クロウが言う。
「ああ、学生を装ったほうが今までは行動しやすかったからな。
だがこれからはSPW(スピードワゴン)財団の力を直接借りられる・・・」
ホテルの入り口にSPW(スピードワゴン)財団の者が数名並んでいた。
「お待たせいたしました、神城御一行様。
これが今回手配させていただいた車でございます。」
キャンピングカーだった。中にはテレビ、パソコン、冷蔵庫・・・調理台まであった。
なおかつゆったりとくつろげそうな広さ・・・
まさに動くリビング・アンド・キッチンといえるようなものであった。
「おお!すげぇぜ!!こいつでこれからいろんなとこを旅すんのかよ!
見ろよ、クロウのための止まり木までぶら下げてあるぜ。
――ん?何だ、あれは?」
暁は後ろに積んであるマウンテンバイクに気がついた。
別に自分たちはマウンテンバイクを頼んだわけでもないのに何故?
「それはわたしの持ち物です。」
現れたのは幼い見た目の女であった。
「何だ?ここはガキの来るところじゃないぜ。関係のない奴はうせな。」
鋭司が冷たく言い放つ。
「失礼な。わたしは三英 輪(みひで りん)、これからあなたたちのそのキャンピングカーのドライバーを務める者です。
それにわたしはガキじゃありません。あなたたちより4つも年上の20歳ですよ。」
三英と名乗った女は言った。
「なッ何!俺たちのドライバーだと?!」
「しかもこのどっからどう見ても小学校低学年の女が?!」
鋭司と暁がそれぞれ驚く。
浄芽 身長・185センチ、鋭司 身長・183センチ、暁 身長・178センチ、
輪 身長・138センチ・・・
身長の差は年齢以上であった。
おまけに彼女は童顔で体つきも子供のようであった。とても年上には見えない。
「しかしあんた・・・本当に運転できるんだろうな?」
浄芽でさえ疑っている。
「まったく失礼な人たちですね。大丈夫です。わたし用にカスタマイズしてありますから。」
確かに見てみれば運転席は高くなっているし、アクセルやブレーキも長くなっている。
それにしてもこの輪という女は高い声で子供のようなろれつの回らないしゃべり方をする。
「―――で、この自転車はあんたの持ち物だって?」
暁が問う。
「はい、正確には自転車と一体化しているわたしのスタンド“クライマックスジャンプ”です。」
一瞬、彼女のマウンテンバイクが輝いて見えた。

2010/01/24 Sun 01:46 [No.63]