Joker
1983年
神城浄芽は生まれた。
母は日本人、父はアメリカ人でリサリサの子供だった。
浄芽が生まれる瞬間にはリサリサも立ち会っていた。
白血病にかかった後、リサリサはジョースターの血が流れるようになったことに運命を感じ再び波紋を使うようになった。
そしてリサリサはベッドで母親に抱かれている浄芽を見て感じた。運命を。
生まれて間もない浄芽がすでに波紋の呼吸をしていたのだ。オーラがほとばしるほどに。
浄芽が2本の足で立てるようになってからリサリサの修行が始まった。家族はみなリサリサの事情を知っているので反対はなかった。
そしてリサリサは驚かされる。
浄芽はまるで公園の遊具で遊ぶように次々と修行をこなしていった。
あのジョセフとシーザーが61時間もかけて登った「地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)」でさえも、浄芽にとってはジャングルジムと同じ。30分たたずに登り切ってしまった。
そして浄芽は波紋を極めた。いや、新たな波紋を開拓したのだ!
1989年
浄芽はスタンド、アメジスト・ゴーレムに目覚めた。
浄芽の父、そしてリサリサもジョースター家の血が流れていたためにスタンドを得た。
同じ頃、ホリィや仗助が倒れていたのに対し浄芽はピンピンしていた。波紋の修行で鍛えられていたからだが、リサリサは後に待ち受ける運命のことを考えると逆に不憫に思えてならなかった。
そして今、浄芽は・・・
東京にいた。
「ところで浄芽、何で東京なんすか?」
仗助が聞いた。
東京に来た浄芽たちはチームに分かれて行動することになった。
そして浄芽と仗助、億泰のチームが来たのは海の近くの公園だった。
「ああ、それがな・・・」
浄芽は仗助の質問に答える。
「最近この辺で妙なものが空を飛んでいるらしい。」
「妙なもの?!」
「何でもカラスのようなんだが、一羽だったのが突然十羽になったり、その後百羽になったり・・・しかもそのカラスが人の言葉を話しているのを見たなんてのもある。とにかく異常だ。」
「それってやっぱりスタンドなんすかねえ・・・。」
「わからない。だが調べる必要はある。」
そういって浄芽は懐からハンバーガーを取り出した。
どうやらカラスは食べ物を持っている人を襲うらしい。
とりあえず様子見ということで、最初は何も仕掛けていないハンバーガーをセットした。
3人固唾を呑んで草むらのハンバーガーを遠巻きに見ている。
すると紫色の羽、冠のような金色のとさかをしたカラスが寄ってきた。
「あれ、あからさまに怪しくないっすか」
「そうだな。もう少しほうっておこう。」
カラスはハンバーガーを食い終わると飛んでいった。
「よし、追うぞ。」
しかし、浄芽は何かがおかしいことに気がついた。
暗い
自分たちの周りが妙に暗いのだ。
その理由は空を見上げるとすぐに気がついた。
今まで見たことのないような数のカラスが宙を舞っていたのだ。
しかも、そのすべてがさっきの紫色のからすと同じ見た目である。
そして浄芽が先ほどのカラスに目を戻すと、そいつはすぐ目の前にいた。
「お前が神城浄芽カ?!」
カラスが問いかけてきた。
2009/11/25 Wed 19:12 [No.45]